ヒルバーグ ソウロとウナの徹底比較
ヒルバーグのソロテントはソウロ、ウナ、アクト、エナンと4種類ありますが、どれを購入しようか迷う人がいるかと思います。今現在こんな状況ですが外出制限が解除された際にテント泊したい人にぜひヒルバーグのテントを使って快適な一夜を過ごせるアイテムを入手してもらいたいと思います。一時金が入るかと思いますがこの際そのお金で丁度購入できるかと思いますので私の記事が参考になれば良いかと思い今から比較をしていきたいと思います。
新たにソウロとウナとアクトの比較をしてみました。よりこちらがわかりやすいかと思いますのでぜひご覧ください。
ソウロ | ウナ | アクト | エナン | |
レーベル | レッド | レッド | レッド | イエロー |
自立 | ○ | ○ | × | × |
総重量 | 2.4kg | 2.2kg | 1.6kg | 1.1kg |
最小重量 | 2.0kg | 2.0kg | 1.2kg | 870g |
前室 | ○ | △ | ○ | ○ |
価格 | 96,000 | 89,000 | 74,000 | 82,000 |
税込 | 105,600 | 97,900 | 81,400 | 90,200 |
特徴 | 重たいけど耐候性が最強 | インナーテントが広く快適 | バランス型 | アクトのメッシュ版 |
それぞれの税抜きの価格差になります。
ー |
ソウロ | ウナ | アクト | エナン |
ソウロ | ー | △ 7,000 | △ 22,000 | △ 14,000 |
ウナ | 7,000 | ー | △ 15,000 | △ 7,000 |
アクト | 22,000 | 15,000 | ー | 8,000 |
エナン | 14,000 | 7,000 | △ 8,000 | ー |
以上が簡単な比較ですが、アクトとエナンは比較的違いがはっきりしているので迷うことが少ないと思います。
●アクトの特徴
・4シーズン使用を前提にしているので寒さに強い作りになっている。
・ポール1本の使用なのでソウロやウナに比べて軽量
・ガイラインをしっかり張れたら風にも強い
・比較的広い前室を持っている
・地面の状況に設営が左右される
・混み合ったテン場では設営しにくい
●エナンの特徴
・暑い時にはメッシュが多いので比較的快適
・軽量なアクトをさらに軽くしているモデル
・ガイラインをしっかり張れたら風にも強い
・比較的広い前室を持っている
・地面の状況に設営が左右される
・混み合ったテン場では設営しにくい
と暑い時に使うか寒い時に使うかで決めればいいのであまり迷わないでしょう。
●ソウロとウナの違いについて
さてここでとても問題になり難しいのがこの2つの違いです。実際私も購入する時に非常に悩み結果的にウナを新品で、ソウロを中古で買うことになりました。
ソウロもウナも同じレッドレーベルの4シーズン用で共に自立式で、最小重量は共に2.0kgで違いは前室があるかないかぐらいです。販売金額が96,000円と89,000円とウナが少しだけ低く7,000円の差ですが、この金額ぐらいになってくると僅かの違いに思って来るでしょう。
ですのでここからは実際に2つとも所有し、使用したことのある私が細かく違いを検証してみたいと思います。
まず最初に結論を簡潔にまとめてみますと
●ソウロ
絶対的な安心感が欲しくてカッコいいテントがいい方に
●ウナ
2人で使用することもあり、荷物が多く快適にテント内を過ごしたい方に
となります。ではここから私なりにこの違いを徹底的にみていきたいと思います。
●設営面積の違い
・ソウロは220cm×160cm
・ウナは260cm×140cm
なのですがソウロは六角形で数値よりはコンパクトで、混み合っていたり設営場所が小さくても比較的大丈夫です。
そしてウナですがスウェーデンのサーミ人の言葉で小さいという意味らしいですがこの言葉に騙されて、実際に購入して注文から到着まで4週間かかりさっそくウキウキワクワクの気持ちで室内で建てた時に思っていたよりかなり大きくてびっくりしました。
どこを探してもインナーテントのサイズが記載されているだけで、それによると230cm×110cmとしか出ていなくてコンパクトでいいなと思ったのですが、実際には260cm×140cmもあり一般的な2人用の山岳テントより大きいぐらいで衝撃を受けました。ですのでソウロに比べると混み合ったテン場や設営面積が狭いサイトの場合は困ると思います。おそらくアルプスの槍ヶ岳山荘や涸沢キャンプ場などではだいぶん設営しにくい大きさになるでしょう。
●設営時のスペースの違い
ソウロはフライシートがハイブリット式で先端を刺し込みその後フックをかけていくのであまりスペースを使わずに設置することができます。家の中で試し張りするときもポールを全部伸ばしきってからでも普通に設営することは問題ないです。
それに対してウナはスリーブ式でポールの長さが387cmもあるので普通にポールを伸ばしきった状態で設営するとすでに設営しているテントや他の人に迷惑がかかったりと、狭い場所ではやりにくいと思います。
ちなみにものすごく狭い場所での設営はスリーブに1節づつ組みながら差し込む事で対処は出来るでしょう。実際私の部屋の中で建てた時はこの方法でしかできませんでした。
●荒天時の性能
ソウロはポール3本を使用してさらにあえて少しずらして設計してあるのでテント上部に三角形ができ非常に頑丈になっていて、どの方角からでも耐風性がとてもありソロテントとしては最強でしょう。正直このテントでダメなら他の物でも耐えられないでしょう。
設営するときに普通のテントなら風向きを考えて設置しないといけませんがソウロの場合は特に考えずに地面の状況だけ考えて設営できます。
それに対してウナはスリーブ式のポール2本で設営するのでソウロに比べて耐風性は劣ると思います。ですがガイラインはきちんと6箇所にあり普通の山岳テントよりはかなり頑丈だと思います。おそらくスリーブ式で幕全体で風を受け流していくのでしょう。あくまでソウロと比べてであり普通に使うなら必要十分な性能だと思います。比較する相手が強すぎると思います。
●前室の使い勝手
まずソウロの前室ですが幅が約55cmで、高さが93cmほどで頑丈なポールによって支えられているのでどんな状況でもビクともしない空間となっていて、数値以上に快適な空間があります。靴を置いても十分な調理スペースが確保されています。
・次にウナですが、普通の状態なら約12cmほど ぐらいの幅で靴は縦に並べてならなんとか置けますが、ひと工夫をしてガイラインで引っ張ってやると普通のテントと同じぐらいのスペースを作ることができます。
こうすると数値としてはソウロとそんなに大きな違いはないように思うでしょうが、ソウロはR曲線で空間が出来るのに対して、ウナは直線的になっているので立体的な空間は2倍ぐらいの差を感じます。
ですがウナの場合はインナーテントのフックを3箇所ほど外してやるとかなりのスペースを作ることができ、
その状態ならソウロの倍ぐらいの空間はできます。1人での使用ならこの方法が雨天の時にはベストな使い方でしょう。
※グレゴリーのディバ70を置いた時のイメージです。
●フライシートのジッパーの位置
ソウロはジッパーがセンターに位置しているのでとても開けやすいように思います。使用した時に結露が発生した時がありましたが全く濡れることがなく快適使用できました。
あと外の様子を見るときにダブルジップになっているので上から開けて外を見ることができますが、その場合はちょっとだけ離れているのでわたしは若干見にくく思いました。
次にウナですが左端の一番下にジッパーがありかなり手を伸ばさないと届かなく、雨や結露などでフライシートや地面が濡れている場合は結構ストレスになるかと思います。
しかし外を見る場合には真ん中が開くので私はソウロに比べてかなり見やすいように思います。
●フルオープン時の開放感
ソウロはセンタージップで最小限にしか開かないので荒天時でもフライが巻き上がったりしにくくなっているので開放感はあまりないです。
それに対してウナはフライシートを全て巻き上げて全開にできインナーテントも4/5ほど開くのでテント内から外の絶景を眺めることができるので、このテントを持って行く場合はぜひ眺望の良い場所に設営するのが非常に良いと思います。
●インナーテントの広さ
公式サイトにもきちんとサイズが載っておりますのでわかるかと思いますのでここではより実際にマットを置いた場合と実測値をみてみたいと思います。
・ソウロのインナーテント
頭側は70cm
脚元側は60cm
真ん中の一番広い箇所で100cmぐらいになります。
それではソロテントで使用する場合で一番大きめのマットになるであろうニーモのローマーロングワイドを置いてみました。このマット詳しくはこちらをみてください。
中からも入って写真を撮ってみましたが、なんとかギリギリにおける感じでサイドに小物をちょこちょこ置いたらいっぱいいっぱいになります。さすがに198cm×69cmものマットはあまり置かないかもしれませんが、車で行くオートキャンプとかで快適に就寝したい場合でもこのニーモのローマーを使用できるのは非常に嬉しいことです。これはR値が6.0もあり厳冬期も大丈夫ですので一度これを持って極寒キャンプに行ってみたいです。
雪上に赤色のヒルバーグのソウロ絶対カッコいいでしょうね。
・ウナのインナーテント
次にウナのインナーテントの実測値は幅110cmで
長さが230cmとこれも記載通りのサイズです。
同じくニーモのローマーを置いてみました。さすがに1.5人用ぐらいの幅ですので余裕のある大きさになります。
ちなみに一度このテントで子供とキャンプに行きましたが、全然余裕で快適に過ごす事はできました。さすがに大人2人だと私は妻以外だとちょっと遠慮したくなります。
ちなみに横は約30cmほどのスペースがあります。
頭側はおよそ25cmのスペースがあるのでヘッドライトや携帯電話、メガネなどを置くのにちょうど良いスペースになるでしょう。
●インナーテントの使い勝手
まずソウロのフックの位置
次にウナのフックの位置
使用する上ではこれはあまり違いがないように思います。
・ポケットの違い
ソウロのポケット
ウナのポケット
ソウロは2つ付いてい便利です。ウナは大きいのが1つですが端にあって使いにくくて、私はソウロの方が使いやすいです。
●ベンチレーションの違い
ソウロは右側がかなり大きく開きます。
それに対してウナは上部1/3ぐらいの面積が開きます。 上の方だけなので寒冷時はとても良いですがウナは暑い時はちょっときついでしょう。これは若干ですがソウロの方が暑い時は少しはましに思います。たぶん微々たる違いでしょう。フルメッシュのインナーテントを購入するか真夏用に別の涼しいテントを使う方が良いかなと思います。
https://www.hilleberg.jp/product/accessories/detail/12770024998003/
そもそも私は真夏の熱帯夜の時に平地のキャンプに行きませんのであまり関係はないですね。
●インナーテントの取り付けの違い
まずソウロのインナーテントはフライシートに対してすぐに付いています。
対してウナは約24cmほど離れてフライシートに接続してます。これがウナの全長が260cmもある原因になっております。
最初はなぜ違うのかわからなかったのですがじっくり考えてようやく分かりました。まずは下の写真を見比べて下さい。
ソウロの場合はフライシートの立ち上がりに角度がついていてインナーテントがフライに付きにくくなっています。
それに対してウナは角度が緩やかになっておりソウロのような付け方をするとインナーテントがフライについてしまうので、そうならないためにあえて24cmほど離してインナーに結露が付きにくくしてるのでしょう。
またソウロはポールが剥き出しで3本も使って強固な作りでフライシートの角度がついてびくともしない設計になっています。
それに対してウナはポール2本のスリーブ式なのであえてフライシートを長くして角度をソウロに比べて緩やかにして風を受け流す設計にしているのだと思います。
●ガイラインの違い
ソウロは6辺のそれぞれ上部をポールに一度巻きつけてからペグダウンします。そして計12本ものガイラインを使用しています。ソロテントでこんなにもガイラインを使うテントは他にはないんじゃないでしょうか。
対してウナはソウロより長めのガイラインが6本付いています。ソウロよりは少し劣りますが必要十分な耐風性はあると思います。
●デザインの違いに付いて
ソウロはポールが剥き出しで屈強で機械的なデザインなのでその様なのが好きな人にはとてもそそられると思います。
対してウナは安定したドーム型テントって感じでバランスを求める人には良いと思います。
●重量の違い
ソウロの最小重量(フライシートとインナーテントとポールのみで、収納袋とガイラインとペグは含んでおりません)は実測値で1,960gほどです。
ウナの最小重量(フライシートとインナーテントとポールのみで、収納袋とガイラインとペグは含んでおりません)は実測値で1,920gほどです。
●それぞれの得意なシチュエーション
ソウロは冬山のアクティビティやエスケープルートがない登山の場合など
ウナはキャンプ、無積雪時登山やエスケープルートのある登山の場合など
が私が思うベストな使い方かと思います。
●最後に
私なりに様々な角度から可能な限りの違いを検証してみましたが、以上の点を踏まえた上で最後は自分の好きな方を選ぶのが一番良いと思います。購入価格がおよそ10万円と非常に高価な代物でおいそれと買い増すことは出来ませんので自分の直感で選んで良いと思います。
ヒルバーグのテントは正しく手入れして保管していましたら何十年と使用できる製品で重さには多少目をつむってもらうと絶対に満足できるテントだと思います。この重さは最高品質からくる物でしょう。ぜひ幸せな一夜をこのテントで過ごしましょう!!