史上最高傑作の2人用シェルター HyperLite Mountain Gear Dirigo2の徹底使用レビュー
先日スペックと設営のレビューをしましたが今日は実際のフィールドで使用した感じを私なりに徹底的にみていきたいと思います。
●設営編はこちらをご覧ください。
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結構いろいろなテントを使いたくて目移ろいしてしまいますが、このシェルターは購入して2ヶ月も経たない間ですでに6度も使用してきました。いろんな条件で試してみたいと言うのもありますが、本当に良い製品だったのでもっともっと使っていきたいとなってくるものです。やはり設営しやすく、雨に強くて、風に強いのはとても心強いです。
それではここからできる限り詳しくみて行きたいと思います。まずはおさらいでこのテントの良いところと、いまいちなところをみていきたいと思います。
● 長所
・軽い
・風に強い
・雨に強い
・耐久性がある
・簡単に設営できる
・とても快適な居住空間
・非常にカッコいい
●いまいちな点
・設営場所が限られてくる
・破れに弱い
・熱に弱い
・入手しにくい
・高額である
・パッキングがコンパクトにできない
以上が私の感じた良いところといまいちなところです。ただこの長所短所は調べてくればわかってくるので今まで6度ほど使用してきて感じたポイントを細かくお伝えしていこうと思います。
●寒さに関して
このシェルターはハイブリット式のシングルウォールなので普通に設営するとやはり隙間から冷気が入ってきたり、暖かい空気が逃げやすく思います。入り口のフライシートを前室のスペースを広く取れるようにガイラインを長めにとりますと8cmほどの隙間が空いてくるので
シュラフの対応温度にゆとりがあれば全室の広さを確保するためにそのままにした方が良いかとは思いますが、寒さが苦手な人だとフライシートをギリギリまで低く設置してあげると多少暖かく感じてきます。体感的には2度位は上がるのではないかなと思います。
※この部分を細いペグか石でも乗せると隙間が出来にくくなります。
●雨天時の使用
この製品開発コンセプトは雨にも強いことでしてDCFなので耐水圧は10,000mmと非常に強力でありますが、シームテープを使用して補強しておりますので剥がれて来た時どのようになってくるかちょっとだけ不安です。
ですが大雨で使用した時は、夜の9時ぐらいから翌5時ぐらいまでの使用でしたが浸水はなかったように思います。ただ設置した場所が道路脇の砂利のような場所でペグがうまく刺せなかったので、入り口のフライシートがピッしと張れずに雨の跳ね返りや中の結露が流れてきておそらくですがその水滴がフロアに少し流れてきたように思います。
※水が侵入してきてもとても拭き取りやすいフロアなので吸水タオルを持っていると全くもって大丈夫です。
しかし気温が0度近くで大雨だったのに大量に結露が出なかったのはよかったように思います。
※ここの白くなっているフライの立ち上がり部分がe-ventを使用して結露を抑える役目を持たせています。
残念ながら真っ暗な時間に設営して撤去したので写真は取れていないです。また大雨の中で使用する機会があれば撮ってみたいと思います。
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あとキューベンファイバーの素材を理解してる方はわかるかと思いますが、雨音がビチビチ打ち付けてくるので結構音が大きくて寝にくいと思います。私はテント泊するときは基本的に耳栓を使用して寝るのであまり気になりませんでしたが、そこは結構気になる人がいるかもしれません。
また設営し横からみたらハの字になっているので、大雨の時はジッパーを上まで上げてしまったら雨が入ってきました。私は折り畳み傘を持っていたのでそれを使用して中に吹き込みにくいように入りました。それなら特に出入りには問題はありませんでした。
●風が強い時
写真では山の稜線上(1,100m近く)で張っていますが、今までで強かった時はおそらく風速8m/sぐらい(天気と暮らしの検索で付近の山のでそれぐらいでした)ではあったかと思いますが、 きちんとペグダウンもできていましたのでこれぐらいの風速でしたらびくともしていませんでした。もう倍ぐらいの風速が出ていても問題ないでしょう。ただ少し生地がバサバサと音が鳴って少しうるさかったです。フライのガイラインもきちんとテンションをかけてしていましたが、やはり音がするのは致し方ないみたいです。
※この時の夜中に風が強くなりましたが、事前に少し強くなるとわかっていましたがあえて風が吹くところで設営してみました。
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●耐久性が強い
DCF(Dyneema Composite Fabric ダイニーマ コンポジット ファブリック)、通称 Cuben Fiber / キューベン・ファイバーはUL好きの方には説明不要かと思いますが、重量に対して強靭な強度を持っていてさらにUV樹脂をコーティングしているので紫外線に対しても強いので経年劣化がとても少ない生地になっているのでとても長持ちするかと思います。
しかしシームテープは剥がれてくるでしょうから張り替えなどは必要になってくるでしょう。
※ここのテープはとても綺麗に貼ってありすごく強靭に見えます。なかなか剥がれそうにはないです。
※フロアも超強粘着のテープを使用しているので浸水するようには全く思えません。またつるつるしてる感じがして私は結構気持ち良くてこの感触は好きです。ただ少し傾斜してるところだとエアーマットは滑りそうに思います。私の普段使っている山と道のマットでは大丈夫でした。
●設営が簡単
これは前回の記事に詳しく書いておりますのでそちらをご覧ください。
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●とても快適な居住空間
通常ストック(トレッキングポール)を使用して設営する幕体は真ん中にポールが来て室内空間に制約があったり、入り口にあって出入りに邪魔だったり(以前ジュウザフィールドギアのE&Lシェルターは入口に邪魔にならないようになるタイプで持っていましたが、設営がとても面倒で135cmものストックを使用しないといけなくて使い勝手が非常に悪くてすぐに手放しました)、または室内空間を快適にするために両端にポールを建ててするタイプがありますが(今期ヒルバーグの新作のアナリスなど気にはなっております)耐風性のためにガイラインをかなりしっかりしないといけなかったりしますが、このDirigo2はハの字にストックを持ってきてさらに一番上の部分に頑丈なカーボンポールを支柱に使ってかなりしっかりとした強度を持っております。
周りの4箇所をかなりしっかりと固定できれば手で強く揺さぶってもビクともしないです(写真では結構ぐいぐい押していますがかなり頑丈です)。この頂上部分のポールは約30cmほどの長さがあり、中からは23cmほどの幅になってきます。
※このポールはスポンジで支えられていて安定しますが、よく設営時にこのカーボンのリッジバーがスポンジどこ回転する様にずれてしまうのできちんと直してあげないと綺麗に建てられないです。カッコいいテントはカッコよく設営したいですからね。
※一番上はこれでもかと頑丈にしてありテープもがっしりしてあるので漏れてくる心配は全くないです。
※下から上の覗いた感じです。公式ホームページやよく紹介されているものはループフックがついてますが、これにはありませんでした。不思議に思って購入した方に聞いて見た所、すぐにメーカーに聞いていただきそしてすぐに返答があり、その回答によるとその部分から浸水する報告があったたので今出荷しているものはつけていないそうです。
※どうしても欲しい方はこうすればいいかもしれません。ストックのストラップにポールを通してハンガーを掛けてみました。これなら中にレインウエアなどが干せそうです。
※このメッシュポケットは割と使いやすいですが、横向きにはiPhoneXは無理でした。
※中にランタンやヘッデンを置いて室内灯に使うのが一番です。
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室内の有用な高さはだいたいこのあたりからみて
およそ90cmの高さになります。これなら2人が向かい合って座ってちょうどいいぐらいになりそうです。
※一番高いところで実測で110cmほどになります。
次にフロアの広さを見ていきたいです。
※一番端からできる限り室内がわかりやすく撮って見ました。このように結構ゆとりある広さで、親子、夫婦でしたら十分な広さでしょう。
長さは実測で223cm
幅はちょうど真ん中のポールがある部分で125cmになってきます。
フロアの立ち上がりはおよそ14cmぐらいになります。浸水する恐れはないですしこの高さでしたら雨の吹き込みも大丈夫かと思います。
ポールの部分ですが本来はバスケットを外して設営しますが私の持っているのは取れないタイプですので、
このようにショックコードを巻きつけてしてます。こうすることで空間が結構広くなる感じがしてきます。
次は前室の広さですが正直私は狭くて使いにくいです。火器を使用して幕体が溶けたら嫌だなぁって思ってしまう広さです。まだヒルバーグのウナの方がかなり使いやすい大きさです。
幅はおよそ40cmぐらいで十分なように見えますが、
ウインドバーナーを置くとこれぐらいの感じでギリギリです。幕体が溶けたりしない様に細心の注意が必須です。
バッグを置くとこんなイメージでメッシュの部分にもたれると不安定なのでストックのストラップぐらいに紐で吊るして支えた方が良さそうです。また靴は雨脚が強いと濡れないか少し不安な感じで私はビニール袋を前回はかぶせました。
このDirigo2は両側共フライをオープンできますが、トグルがインナーメッシュと兼用なので
このようになります。こうなるとメッシュだけ閉めたい場合やフライだけ閉めたい時などは私はちょっとストレスに感じます。これは改良して別々に止められるようにした方がいいように思います。
※片側開けた場合です
※両方とも片側を開けて※フルオープンした状態です。暑い時はとても開放的でしかも眺望の良い場所なら絶景が楽しめます。ウナの方がもっと開放感がありますが、こちらはなんかすけすけで違った気持ち良さがあります。
※ちょっと斜めからみたアングルです。
※真横から見るとなんのテントかわかりにくく1人用?って見えてしまいます。
細かいことですがフロアとフライの接続はこんな感じになっていてこの製品の細部対する作り込みがあるように思います。
※このメッシュの横にある白い部分がある事によってさらに雨が横殴りでも入りにくくなっております。
●とてもカッコいいデザイン
キューベン素材で真っ白いテントはなかなか見かけることはないので混みあったテント場でもすぐにわかるでしょうし何よりこの見た目なのでとても注目される様に思います。(紅葉の時期の涸沢とかに行ってみたいですね✨)
まだ虫がたくさんいる時期には行っておりませんが、何匹かよって来ていたのでやはり白色は集まって来そうに思います。
※虫の多い時期になり使用してくるとやはり白色テントの宿命で結構集まってくるのでメッシュを開閉する時に入ってこない様に注意が必要です。
真正面の見た感じもとてもいいですが、
やはり公式ページにも載っている画像のようにやや低めで少しななめから見るアングルが最高にカッコいいです。
やっぱり非常に好みのテントを持っていたらそれだけで野営に行きたいって思ってきますね。
夜は浮かび上がるような感じですごく素敵でした。夜景が綺麗に撮れるカメラが欲しいです(*´ω`*)
次にあまり多くはないですがいまいちに思う点を見ていきたいと思います。
●設営場所が限られてくる
やはり自立式ではないので設営環境に左右さるれるのは致し方ないです。
ただこの様にガイラインがちょっと長めになっているので、輪っかに通してあげて石に巻きつけてあげると問題なくできると思います。
●破れに弱い
伸縮性がない生地ですのでフロアの下とかに石などがあるともしかしたら破れたりするかもしれません。これはもう少し使用していて見てみたいと思います。
●熱に弱い
基本的にどのテントも幕内での火気厳禁ですが、悪天候の場合は慎重に使う必要があると思います。
●入手しにくい
今現在はムーンライトギアさんで取り扱いがありますが、やっぱり海外のガレージメーカーの製品ですのでいつでもすぐに購入できる物ではありませんね。ただこまめに見ていましたらフリマアプリやオークションなどで手に入れられそうです。
●高額である
やっぱりキューベンファイバーの素材自体が高額ですのでおのずと販売価格も高くなってしまいます。ですが私にとっては手放す事はないでしょうから使用年月を考えるとそんなに高くはなくなってくるでしょう。
ちなみに本国では$795プラス送料なので10万いかないぐらいでしょうか。国内では121,000円ぐらいでの販売しております。
●パッキングがコンパクトにできない
上の破れのところでも書きましたが、かなり丁寧に畳んで下の様な大きさになります。
803gでこの大きさですのでわりと軽く感じますが、撤収するときにきちんとこのような大きさにたためれるか少し難しい場合があるかもしれません。
また大雨の時に畳んだ時はバスに乗る時間も迫っていたので付属のスタッフサックに入れるのも苦労しました。
この状態で持ち運びたいぐらいめちゃくちゃカッコいい袋です。バックパックに外付けかメッシュポケットに放り込んでおきたいですね。
●まとめ
以上私になりにかなり色々と思った点を書いていきましたが、正直言って厳冬期の冬山は別としてこのテント以外使用する必要性がないぐらい魅力的でとても素晴らしい製品だと思います。やはり軽くて(気軽に持ち出す事ができる)、設営しやすく(特に悪天候の時にストレスにならない)、雨にも風にも強い(最近の中華製品の幕体も品質が上がってきていますがそれは普通のキャンプ場でならなんら問題ないですが、登山や長距離トレイルとかなら信頼性がとても大切で壊れないって言う安心感は絶大です)テントはあるようでなかなか巡り合わない物だと思います。手に入れるまで高くて入手しにくいですが、それ以上に素晴らしい相棒になってくれるテントになる事でしょう。ぜひ候補のひとつとして入れて頂けたら幸いです。