超軽量自立式シングルウォールテント ヘリテイジ クロスオーバードーム2の使用レビュー
今回は国内メーカーのヘリテイジのクロスオーバードーム2を紹介したいと思います。
このテントを購入したのは自転車輪行した時など、主にペグが使えない場所での設営を想定した時に超軽量にして持ち運びをしたかったので、このテントを購入しようと思いました。
ちなみに2020年の新製品で生地の性能をかなり改良したバージョンのセカンドジェネレーション(2g)が登場しております。
今から紹介しますのはその先代モデル(1g)となります。
●特徴
①自立式では770gと超軽量である
②シングルウォールタイプで簡単にスピード設営可能
③耐水圧1,000mmと雨には少し弱い
以上が私が思いますこのテントの特徴だと思います。
●公式サイトの情報
クロスオーバードーム 2<1G> ¥47,300(税込)
●オンラインショップでは完売 2020春より新モデル<2G>販売中です。
乾燥時平均重量 770g(本体、ポール、スタッフバッグ込 乾燥時平均)
生地 本体:15Dナイロンリップストップ・透湿ポリウレタンコーティング(耐水圧1,000mm/平方センチ、透湿量8,000g/平方メートル/24hr)
ポール アルミ合金中空ポール(7001-T6)7.5mm径ショックコード内蔵
カラー フォレストグリーン
https://heritage.co.jp/Gears/COD.html
●製品の詳細
まずパッキングした状態になります。
付属品はなくテント本体とポールのみになります。
●各種重量
総重量 実測769g
公式とほぼ同じ重さです。
本体は461g
サイズは24cm×φ10cmとコンパクトです。
ホールは308g
長さは38cmぐらいになります。ザックの中に横向きには収納しにくいのでやはり縦にしてサイドポケットとかに私は収納します。
ポールの繋ぎ目はこの様になっており7.5mm幅でもジョイント部分を強くする様に工夫しております。
ただ個人的には色々とテントを使用してきて思ったのがこれではかなり中途半端なポールだなと減点ポイントでした。
軽さにこだわるならカーボンポールにすればいいでしょうし、強度はDACと比較すると少し軽いぐらいであと質感が微妙で、強風には耐えられないでしょうからとても半端な性能には思ってしまいます。
もう50gちょっと重くなってもDACのポールに私はしたいなととても思えてしまいます。
ポールの長さは355cmとなっております。
●設営手順
次は設営を紹介したいと思いますが、非常に簡単なので迷う事はないでしょう。
①グランドシートをひいて本体を広げます。
※このテントは上面も底面も同じ生地でフロアは非常に貧弱なので保護する意味でもフットプリントは必須だと思います。
②ポールを2本スリーブに通します。
※スリーブの入り口は入れやすい様に赤色の目印がついております。
クロスする部分はきちんと1本の筒状になっておりそのまま端まで通せます。
※注意点としては軽さにこだわりすぎているので非常にスリーブの生地が薄くおそらく10Dぐらいで破れない様に注意が必要です。
上の画像の様に交差部分は強引に行くとそのまま入れて生地を破いてしまう可能性があるので十分注意しましょう。
その点ヒルバーグは100Dぐらいの頑丈なスリーブなので生地が破れる可能性は非常に低いです。
そしてそのまま端まで差し込みます。ポールエンドは袋状になっておりますので反対側まで行ってグロメットなどに差し込まなくて良いので簡単です。
※しかし途中のガイラインを付ける部分に上の様に引っかかることが多いのでここも注意がとても必要です。
私の場合は2回に1回はこの様になってしまいます。
③ポールを組み上げテントを立ち上げる
ポールを2本とも通してペグループなどをもちポールエンドに差込み立てていきます。
※私はポールを入れる時に輪っかに指を入れてした方がやり易いです。
ポールを入れたらバックルを軽くひいて張り具合を調整します。
※あまり強く締めすぎるとバランスが崩れてテントの形が歪んでしまいます。
④ペグを刺して設営完了
端の4カ所をペグダウンして設営完了です。
さらに端のガイラインを張って終わりになります。
※室内で設営したのでガイラインは使用しておりません。
●詳細な寸法と使い勝手
まず入り口のドアはL字型になっており、雨が侵入しにくい様にフラップはついております。
入り口のドアにはマジックテープがついており開けた時は上の様に留めて落ちてこない様になっております。
ただ個人的にはとても使いにくいのでここはせめてトグルを付けて欲しかったです。
頂上のクロス部分は隙間が空いているのでここを利用して衣類を引っ掛けて干したり、強風時はここにガイラインを巻きつけてさらに補強することができるのは便利かと思います。
●室内の実測値
横幅は125cm
全長は200cm
全高は110cm
となっております。しかし個人的には長さが200cmと少し短くは感じてしまいます。私の165cmでも短く感じるので普通の人は結構ギリギリになるとは思います。
しかしこの短い全長なので槍ヶ岳や奥穂や涸沢なので狭いサイトでは有利ではあると思います。
●テント内の使い勝手
テント内の様子なのですがまず通気口が左右に2箇所あり基本的には換気のため常時開放している方が良いです。
そしてご覧の様に室内にはポケットもランタンを付けるフックすらありません。
非常に使いにくかったので私は頂点部分にリペアテープを貼り付けてランタンを引っ掛けられる様に改良はしました。
しかし開発者の方は一体どの様に室内を照らして使用していたのでしょうか?上向きに照らすorヘッデンを常時使用するから必要なかったのでしょうか?
それでも微々たる重さなのでポケットは仮になくてもせめてランタンフックは必須だと思うのですが・・・・・
●撤収手順
①バックルを緩めてペグを抜きます
②ポールをまとめて持って両方とも抜いていきます
※ポールを抜く時は面倒でも反対に廻って押していきましょう。半分ほど抜けたらスルリと抜けてしまうと思います。
③テント本体を畳みます
ここで問題なのがこのテントの生地が非常に空気の抜けが悪く今まで使用してきた中で一番抜けにくいです。
なので綺麗に折り畳もうとしてもまずテント場での撤収時にはとても丁寧にする事は不可能だと思いますので、入り口ドア側に向かって空気を抜きながら、さながらエアーマットを収納する要領でクルクルと丸めて行く必要があります。
あと少し寒いと結露は絶対発生してきますのでバサバサして少し落としてからタオルで拭き上げてからしまった方が良いと思います。
④スタッフサックに収納
付属の収納袋に入れて完了ですが割とギリギリの大きさのですので個人的には結構入れにくいです。
雨天時や結露がひどいと本当に入れにくいです。
●実際にテント泊した時の感想
今までだいたい4,5回ほど主に自転車輪行キャンプなどで使用してきました。
自立式でどこでも野宿できるので自転車輪行の旅だと本当に軽くて適当に場所を選ばずに可能ですのでとても助かります。
まだ使用してきた中では雨だった事はありません(自転車で走る予定なので雨予報の時には行きません)のでどれぐらいまで耐えれるか未知数ですが、多少の雨でしたら大丈夫でしょう。
耐風性は一応ガイラインもできて補強できるのである程度は大丈夫でしょうが、正直この7.5mmぐらいのポールだと非常に心許ないので私は強風の予想の時に稜線上のテン場では使用したくないです。
あと夏場に使用することが多かったのですが、オプションでモスキートネットが販売されておりますが、標準でついておいて欲しかったです。
しかし1人での自転車輪行の旅で使用するなら私はまたこれを使用しても良いかなって思える軽量さはとても重宝しました。
登山の時も軽い方がいいですが、自転車に乗っているともっと軽い方がさらに良いのでその点ではおすすめです。
●まとめ
それではここから少し長くなりますが私になりにこのテントを利用して感じて思ったことを書いていきたいと思います。
まずこのテントというよりメーカーはツェルト寄りの製品として使用してくださいと販売しておりましたので重々承知で使用はしてきました。
その上でこのテントを評価するなら私の感想としては
★★☆☆☆
の総合評価になります💦
それではここから気になった点を書き出していきたいと思います。
①超軽量だが使い勝手に対するメリットがない
とても軽くはありますが、770gぐらいだとそこまで劇的に軽いわけではなく、前室もありませんので、雨天時は非常に使いにくいでしょう。
現在ではメーカーでオプションのフロントフライを販売してそれを利用して前室を作る事は可能ですが、それだと両方合わせて66,000円ぐらいで重量も910gほどになります。
それだと正直私は非自立式ですが、先日紹介しましたテレマーク2ULWを使用する方がよっぽど快適に過ごすことができますのでこっちも持って行ってしまうと思います。
②室内の使い勝手が悪すぎる
テントではなくツェルトなので当然でしょうが、メッシュネットもなく、2人で室内を利用すると靴を置く場所もなく、小物を置くポケットもなく、さらにランタンフックすらないので夜は本当に使いにくいです。
私はテント内ではあまりヘッデンを使用して過ごさないのでランタンを吊り下げられないのは結構困るのでこの点でも結構マイナスです。
そしてドアのパネルをマジックテープで固定って、それぐらい巻きつけれるトグルぐらい付けておきませんか?
いちいち出入りの度に止めるのはやりにくくて使いにくかったです。
③室内にいると息苦しくなる
撤収時に困ることで書きましたが、この生地は本当に空気を通さないので普通に換気口を開けていても過ごしにくいですが、雨や結露が付いたりすると本当に密閉状態になりますし、換気口の形もおそらく雨が降ってくると開けたままだと降り込んでくる恐れがあると思います。
またモスキートネットは使い勝手が悪くすぐ外れそうですし、忘れた時とかはそこから虫がランタンの光とかに寄ってきて結構侵入してくるので、私は必然的にいつも締め切った状態で使用しておりました。
ですのでその状態でテント内で過ごしているととても息苦しくなってきますし、湿度が上がってきてジメジメする感じがして良いイメージがほどんどありませんでした。
他のテントを使用していてその様な気持ちになった事はありませんが、このクロスオーバードームだけが唯一不快な気分になってしまいます。
④意外といい値段がする
私が購入したタイプで47,300円と普通にモンベルのステラリッジ1型とかが買えてしまうので、デメリットを受け入れた上でこの軽量さがどうしても欲しい方以外には私はあまりおすすめできないと思います。
ちなみにセカンドジェネレーションになって空気の抜けが少し良くなって収納しやすくなったと聞きましたが、メーカーもおそらく室内の居住性に問題点があったので次世代の生地を使用したタイプを販売したのでしょう。
しかしその変わり金額が59,400円とさらに12,100円も値上がりして、もっと高くなったので個人的にはその金額を出すなら別のテントを購入した方が良いと思います。
⑤フロアが薄すぎるのでフットプリントが必須
この薄さのフロアですのでほんのちょっとした場所でもおそらく簡単に穴があいて浸水する可能性があるでしょうから少し丈夫なシートが必要でしょう。
そうすると結局トータルで見るとあまり軽くはなくなってしまいます。
デメリットを書いてきましたが一応このテントの良いところも書いてみます。
①自立式なので街中とかでも使用可能
あまりアスファルトや、コンクリートの場所で使用する事は少ないかもしれませんが、自転車での旅だと時には街中ので使用もあるでしょうからその場合はやはりペグダウンの必要のない自立式はとても助かるかと思います。
また、道の駅とかその様な場所の軒下などで雨天時にやり過ごす場合とかも非常に便利だと思います。
②室内高110cmで着替えやすい
こういったタイプのテントは普通は耐風性を考慮してだいたい室内の全高が90〜100cmぐらい多いですが、あまりそういった場所での使用を想定してないのか、あえて110cmもの室内高にして快適さを出しているのでしょう。
ですので輪行旅行とかでしたら室内で着替える際はとてもしやすかったです。
少ないですが上記の2点がこのテントの使用する上での長所だと思います。
ですので以上のことを踏まえて私の意見を参考にして頂いて購入する際の情報になってくれれば嬉しいです。
ピンポイントすぎるスペックではありますが、条件が会う人にはこれに変わるテントがないと思いますので、その条件に完璧にマッチした場合は非常によい買い物にはなるとは思います。
だた私には少しハードルが高かった様に思いました。