厳冬期の雪山登山にも使用できる化繊ダウンパンツ OMMのMountain Raid Jacketの徹底レビュー
登山やキャンプなどに出かける際には何かしらの防寒対策としてジャケットなどは持っていかれるのではないでしょうか。やはり肌寒い時期や積雪時などになりますと必須の装備となるでしょう。
今回紹介しますのは前回紹介しました化繊ダウンパンツのマウンテンレイドパンツと同じくOMMのMountain Raid Jacketを紹介したいと思います。
製品の特徴
1、プリマロフトゴールドの化繊ダウンを採用しており行動中に着用しても荒天時や汗濡れなどに非常に強い
2、ボディ部分には厚めのプリマロフト、腕の部分は薄めのプリマロフトと必要箇所に応じて使い分けている
3、ダブルジップ採用しておりオーバーヒート時には素早い換気が可能である
4、Mountain Raid PantsやMountain Raid FootPodと組み合わせてシュラフの様な使用が可能になる
公式サイトの情報
※ムーンライトギアさんの情報より
極寒期の行動着としても注目 ギミックありの厚手パーカー
patagoniaのDASパーカーを彷彿とさせる 厚手のPrimaloft 100g/m2をボディに使い、袖部分のみ80g/m2を使用した 暖かさ重視の化繊パーカーがOMMから登場。
休憩、就寝用インサレーションとして
ボディだけでなくフードにもしっかりとしたボリュームがあるので休憩中はもちろん、就寝時は暖かさを追加するブースターの役割としても最適で寝袋の使用限界温度の引き上げに役立ち、キルトやハーフバックと相性が良い作り。 濡れに強いのでテント内の湿気や夜露を気にしない化繊モデルの良さを同時に体感できるアイテムです。
行動着として
太陽が出るまでは寝袋からでた格好でそのまま歩き出したい… 冬はだれもが願うことですが このフードパーカーは390gと軽量に仕上げていることから行動中に積極的な着用可能。 日中でもマイナス5℃の雪の上の朝や風が強い稜線でもバラクラバと合わせれば安心感を持って 行動をすることができ、暑さを感じてもダブルジッパーですぐに換気を促すことができるのも特徴です。運搬中は羽毛ダウンほど気を使わなくてよく、脱いだ後、ザックの取り出しやすい場所に入れておけるのもGoodです。
寝袋いらずというスタイル
また最大の特徴としてOMMのMountainLaid PAという半身用シェラフを内部アタッチメントで組み合わせれば 寝袋要らずのビバークシステムを作り出すことが可能。3シーズン5℃くらいまでの気温であれば この組み合わせで充分対応することができ、濡れに強くシェラフカバー要らずの攻めた寝床を 作り上げることができます。これは是非シリアスなファストパッカーやアドベンチャーレーサーに注目してもらいたい組み合わせです。
PRIMALOFTのダウン封入量のバランスとしては 他メーカーよりかなり軽量に作られているのが一番のポイント。 OMMらしくフード周りの作りも秀逸で素晴らしい暖かさを提供する一枚です。
素材 生地: POINT ZERO fabric 中綿: ボディ Primaloft Gold100g 袖部分Primaloft Gold80g カラー BLACK GRAY
OMM MountainRaid Hood Jacket / OMM マウンテンレイドフードジャケット - MoonlightGear - ムーンライトギア
製品の実測情報
まずは私の持っておりますXSサイズの重量を見てみましょう。実測値で355gとあまり軽くはないですね。
持ち運びは上の様にフード部分に丸めて収納できますので袋は不要ですが、私はモンベルのULスタッフサックに入れて持ち運びも致します。まぁ行動着としての使用が多い時期にしか使用しませんのであまり意味がないですね。
次にジャケットの構造を見ていきましょう。
まずは内側ですが、裾の部分に絞るためのドローコードがついております。やはりこれがないとせっかく温まった空気が下から逃げていってしまいますので、ダウンウェアとしての性能が弱くなってしまいます。以前持っていたモンベルのプラズマ1000ジャケットは軽量化のため裾を絞る機能がなかったので残念に感じましたので必須の装備だと私は思います。
あと左右両側に4段のスナップボタンがついており先日紹介しましたマウンテンレイドパンツや半身用シュラフMountainRaidPA1.0などと組み合わせての使用が可能となります。
次にポケットですが、左右の両側にあり内側は半分がフリースとなっております。個人的には全面にして欲しかったですが、それでも必要十分で暖かく感じるので嬉しいポイントです。
次に胸ポケットが一つありましてここにはiPhoneXと小さな財布(モンベルのトレールワレット)などと一緒に入れられるほどの大きさがあります。
肌に近い部分にあるので厳冬期の登山に携帯を入れておくには良いかなと思ってここに収納していたのですが、先に八ヶ岳に行ったときは保温性能は全くなく、さらに私のバッテリーの弱ったスマホででは力及ばすに30分で70%→8%まで一気にバッテリー残量が減ってしまいビックリしてしまいました。ちなみにこの時の気温は-15度ぐらいです。
ご参考にしてください。
次にこのジャケットの素晴らしいな思う機能ですが、これは珍しくダブルジッパー仕様になっており上の写真の様に開けると非常に手軽にジャケット内の空気を入れ替えることができます。
これ非常に便利でして、ザックを背ったままでもこの様にできますし、締め直す時も一瞬で保温モードになるのでめちゃくちゃ重宝しました✨
頭のフード部分ですが、コードとコードロックがついております。ここを引っ張って絞ることができる様になっております。
一番絞るとこの様になります。
あまり違いが分かりませんが、この様に絞った状態にするとフードをかぶっていても首を振ってもフードが邪魔にならず視界が確保することができる様にはなっております。
シュラフとしての使い方
次にこのマウンテンレイドジャケットを使用してシュラフとしての使い方を紹介したいと思います。実際使用してみた感想はまた別の記事で記述したいと思います。
先日紹介しましたマウンテンレイドパンツと内容は重複しますので飛ばしてもらっても構いません。
まずはジャケットの他にマウンテンパンツ(28,050円)とフットポッド(7,700円)を用意します。
まずはパンツを筒状にジッパーを付け替えてフットポッドに装着していきます。
連結はスナップボタンが4箇所前後左右についておりますのでパチパチとできます。
これがまずは半身ができた状態です。フットポッドはやや厚めのプリマロフトゴールドを使用しておりますので若干ですが暖かめになっております。若干ですが・・・
パンツの方が外側にきてフットポッドを包み込むような感じになっております。
次にジャケットと連結させていきます。実際には先に下半身を着てからになりますがわかりやすいように床に置いて撮影しました。
ジャケット側の内側にはご覧のように4箇所ほど高さが調整できるようになっております。ちなみに私は下から二番目を使用しております。
パンツ側にループがあるのでそれを出して左右に装着します。
これ気分的には後ろ側にちょっと欲しい感じですが、あまり意味がないのか就寝時にボタンが当たって痛くなるからかついてはおりません。
でも表側でもズレる事はないように思います。
シュラフとして完成です✨キワモノ感満載ですね😅こんな格好で野宿してる人を見かけたらビックリしてしまいます🤣
ちなみに手はジャケットのポケットに入れるとフリースがあるのでちょっと暖かくなるかとは思います。
実際にシュラフに入ってみて足元側の写真です。少しはイメージして頂けるでしょうか。
胡座は全くできません💦どうしてもと言うならジッパーを開ければ可能かも・・・
ジャケット側を開けるとこんな感じにはなります。正直これだけで熟睡するには野宿慣れしてる人でないとキツいかもですね・・・
実際に使用して感想
このMountain Raid Jacketを行動着として先日厳冬期の八ヶ岳に行った際に使用していきました。
この日はこの時期にしてはやや寒くて11時ぐらいの渋ノ湯登山口で気温がおおよそ-7℃ぐらい、13時過ぎに黒百合ヒュッテに到着した時には−12℃ぐらいな感じでした。
着用したのはベースレイヤーにおたふく手袋の夏用インナーに、このマウンテンレイドジャケット、アウターにバーグハウスのゴアテックスジャケットという装備で行きました。
行動中は上りで早めの速度でしたので下半身はマウンテンレイドパンツを着用しており少し暑い程度でそこまでではなかったのですが、上半身はこの気温で樹林帯の中を登っていくのでは登り出して10分ほどで汗だくになってきてすぐにレインウェアのジッパーを開けて、マウンテンレイドジャケットはダブルジッパーを中程にして換気を行ったのですが、それでも私の運動強度のスピードではまだまだ暑く、結局ザックのチェストストラップを外して、マウンテンレイドとレインウェアのジッパーはフルオープンにして行動しておりました。一応この時の気温は-8〜-9℃ぐらいではあったのですが・・・
個人的には厳冬期の樹林帯だとインナーとレインウェアだけで十分な感じがしました😅
そしてテント場に着いてキャンプの利用と昼食をお願いして窓越しのテラス席でザックを下ろしてその時ようやく着ていたマウンテンレイドジャケットを脱いだのですが、レインウェア共々背中の部分がびちゃびちゃに汗で濡れていてビックリしました😵
本当に相当濡れていて一瞬これもう乾かないのでは💦と思うほどだったのですが、予備のモンベルのEXアルパインジャケットをザックの中から出すのも面倒でしたのでとりあえずマウンテンレイドジャケットを再度着直して昼食を食べることにしました。
ちなみにマウンテンレイドパンツの方はちょっとだけ汗が滲みていましたが、こちらはおおよそ15分ほどで乾いてくれました。さすがプリマロフトゴールドを使用した化繊ダウンパンツです✨
そして次にまだジャケットは濡れていましたが、テントを設営してようやく落ち着けたのでテントの中に入って寒かったですが中でボーッとしておりました。着替えるのも面倒だったので行動中と全く同じでそのままの格好だったのです。
そしてテント場に到着(13:30)してから1時間以上経った15時ぐらいにマウンテンレイドジャケットの様子を確認するために脱いで見てみてびっくりしました。もうその時点でほとんど乾いておりました。
この時の気温はおおよそ-15℃近くです。一度も経験のない人だとそんな乾燥したりしないでしょって疑うかもしれませんが、さすがはプリマロフトゴールドの化繊ダウンを使用したジャケットですね。自身の体温できちんと乾いてくれました。
さすがにテント内でじっとしているとレインウェアとマウンテンレイドジャケットと夏用インナーだけでは寒いのでEXアルパインジャケットを出してきて着用してぼ〜っとしておりました。
いやぁでもほんとこの化繊ダウンの速乾性能はあまり実感として体感しておりませんでしたが、この時初めてこのプリマロフトゴールドの機能性を実感できてよかったです。普通こんな厳冬期の極寒の中でダウンが濡れるなんて遭遇したくないでしょうが、今回私の使用した状況では保温性能が下がることもなくきちんと乾いてくれるのだなと体感できたのが本当に嬉しい収穫でした✨
実際に使用して良かった点
1、行動中に積極的に使用できる マウンテンレイドパンツの時もそうでしたが、このマウンテンレイドジャケットも上記の写真の様な厳冬期の登山や暴風雨の中で発熱量が上がらない様な状況だと行動中にでも着用したくなる様なインシュレーションが欲しくなるでしょう。
ですが行動中に着用するには濡れる可能性が一気に上がってきますので羽毛を使用した天然ダウンはまず着用しない方が良いでしょうが、このマウンテンレイドジャケットだとそこまで神経質にならずに使用できるのは大きいですね。
やはりイギリスのOMMレースなどの寒く天候が悪い時期のレース中の使用を想定して作られているので最高だなと感じます。
それがやはり冬の時期や夏のアルプスの稜線などでの荒天時でも安心して使用可能なのだと感じさせてくれます。
やはり寒くなってきても普通のダウンだと濡れを警戒して使用できませんがこのマウンテンレイドジャケットだとそんな心配は無用です。
2、思っていたより暖かい 行動中は締め切って使用すると森林限界以下ではちょっとオーバーヒートになるでしょうが、それは反面停滞時や休憩中は一気に発熱量が減って寒くなってきますが、このパンツを−15度ぐらいのテントの中でじ〜っとしていてもパンツ越しにはそこまで寒くは感じませんでした。
やはりつま先が非常に冷たい方が大きかったので保温力が高いダウンシューズを履いていれば問題なく使用できると思いました。
あとそれでも寒いと少し感じる時がありましたのでその場合には持ってきていたシュラフを脚に掛けるか、シュラフの中に入ってしまいましたら大丈夫でしょう。
3、簡易シュラフとして使用可能 マウンテンレイドジャケットの他にマウンテンレイドパンツを持っているのでしたら追加でマウンテンレイドフットポッドの購入は必要ですが、この様にシュラフとして使用可能なのは大きいと思います。
個人的にはシュラフとして使用するにはかなりハードルが高いかと思いますが、普通のシュラフを持っていき追加でこれを使用することで快適使用温度をブーストしてあげるのが最良な方法なのではと思いました。
でもやっぱりシュラフとして組み立てる、ジャケットとダウンパンツを連結し戻すというのを繰り返すのは結構手間なのですが・・・
実際に使用していまいちな点
1、羽毛ダウンの様な暖かさはない このマウンテンレイドジャケットは基本的に行動中に着用することを想定したアクティブインシュレーションの部類になるのでやはり羽毛を使用したダウンジャケットみたいな圧倒的な暖かさはありません。
しかし行動中、樹林帯の登りだと私には-10℃でも暑くなりすぎるのでやはりこれは森林限界以上の強風吹き荒ぶ中でその真価を発揮すると感じました。
でもその時に着用するなら良いのですが、温暖な時だと軽量にできてるとはいえ355gも重量がありますし、大きさ的には3Lのスタッフサックにジャストサイズで収納可能な大きさなので個人的には使用しない時に持ち運ぶのに結構邪魔になってしまうため本当に寒い厳冬期登山用のダウンジャケットかなぁ〜って思ってしまいます。
スキーで滑走する時なんかに使用するには良さそうとも思いますね✨
2、入手しにくく高い OMMの製品自体流通量が多くなくさらにこのマウンテンレイドジャケットはやや手に入りにくくは感じます。またこの製品は31,900円(税込)とやや高く感じてはしまいます。
まぁでも同じ厳冬期用の行動着ダウンジャケットの代名詞であるパタゴニアのDASパーカに比べれば保温力は劣りますが、だいぶん入手しやすい金額ではあるでしょう。
個人的にはこのMountain Raid Jacketでも十分保温力があるのでそれ以上は必要はないかなと感じてしまいますが・・・
まとめ
化学繊維であるプリマロフトゴールドを使用した冬季のアクティブインシュレーションの製品はそんなに多くはないとは思いますが、このOMMのマウンテンレイドジャケットですと真冬には街着として使用できますし、厳冬期登山の行動中にも十分使用可能な高スペックな製品だと思います。
使用しない時は少し大きいものですが、ほんのちょっと高いぐらいな製品なのに濡れに非常に強くて、濡れた場合でも乾いてくれ、温度調整もしやすく、パンツとフットポットを追加すればシュラフにもできるというキワモノっぷりです。
こんな異色な製品は非常に珍しく変わったモノが好きな方には是非に使用してみて欲しいなと思わせるジャケットだと思います。興味を持った方はぜひ1着入手してみてはいかがでしょうか✨✨✨