最強のテントメーカーの超軽量ソロテント ヒルバーグのエナンの徹底レビュー
ヒルバーグのテントはどれもが強靭な耐候性と耐久性があるために一般的な山岳用テントの中では重量がとても重い製品がほとんどになります。
今回紹介しますテントはそんな重量級ひしめくヒルバーグのラインナップの中でもっとも軽量なエナンになります。
それでは今から詳細にこのテントを紹介していきたいと思います。
特徴
●軽量性に特化した非自立式
●前室が広く室内の使い勝手も良い
●夏季にも対応可能なベンチ付き
●耐候性があるのに軽量である
公式サイトの情報
ENAN エナン - YELLOW LABEL
¥ 90,200 (税込)
SIZE & SPEC
スペック :●付属品/アルミポール(φ9mm)293cm×1本、ペグ(Vペグ)×8本、スタッフバッグ、ポールバッグ、ペグバッグ、スペアポールセクション、リペアスリーブ
重量 :●最小重量(総重量)/970g(1.2kg)
収容人数 :ソロテント
製品の詳細情報
まずはこの製品の収納内容を見てみましょう。
※今回紹介しますエナンはイエローレーベルに属するテントで現在販売されておりますKerlon1000(アウターテントの生地が20デニール)ではなく、エナンが最初に登場した時に販売されておりましたKerlon600(アウターテントの生地が10デニール)のモデルとなります。
付属品
右から順番に
①テント本体とフライシート
②スタッフサック
③テントポール
④ポール収納袋と予備ポール
⑤トライペグ×8本と収納袋
次に上記を全て入れての総重量は1,093gと一般的なテントとしては非常に軽量になっております。
それぞれのパーツを細かく実測した数値が下記になります。
|
標準重量 |
|
最小重量 |
フライシート |
372g |
フライシート |
372g |
サイドポール |
32g |
サイドポール |
32g |
ガイライン |
31g |
ガイライン |
31g |
ポール |
161g |
ポール |
161g |
インナーテント |
357g |
インナーテント |
357g |
ポール収納袋 |
41g |
ポール収納袋 |
0g |
スタッフサック |
17g |
スタッフサック |
17g |
ペグ |
82g |
ペグ |
82g |
フットプリント |
267g |
フットプリント |
112g |
合計 |
1,360g |
合計 |
1,164g |
最小重量が軽く公式ページに掲載されていたりしますが、それはフライシートとポールとインナーテントだけの重量で私が所持しているテントで890gとなりますが、実際にはサイドポールも必要ですし、ガイラインもペグもフットプリントも不可欠なのでやはり上記のような組み合わせで1,164gとなると思います。
設営方法
それでは次に設営の仕方をみていきましょう。
初めに断っておきますが、このエナンのフットプリントは純正品を他に持っておりますアクトの製品を流用できるのですが、とても丈夫で良いのですがこのエナンの特徴である軽量性を考えると自作のフットプリントを使用した方がメリットを活かせそうだったので上記のようなブルーシートで運用しております。
1、最初にフットプリントを広げます。
2、テントの両端2箇所のリングにペグダウンします。
※風が強い場合には風上側を先にペグダウンしましょう。
3、テントを広げてポールを展開します。
4、ポールをスリーブに入れていきます。
※ここのスリーブ部分はレッドレーベルであるアクトに比べると生地の厚みを減らしておりやや強度を落としてます。
5、ポールを奥までしっかり入れます。
※この部分は入り口側から入れるだけではきちんと入ってくれることがあまりありませんので面倒でも反対側に行って奥まで入れましょう。
ちなみにこの袋とじの部分はアクトに比べるとやや強度を落として少し軽量にしておりますが、それでも一般的なテントより何倍も強靭だと感じます。
6、ポールをエンドのカップに入れてバックルを締めます。
※この部分を増し締めするとフライシートに張りが出て強度がでます。
7、反対側の両端のリングにペグダウンします。
※ここは可能な限り強めに引っ張りテントを張りましょう。
8、両端のガイラインをペグダウンし自在を引きます。
※この自在は徐々に両側を調整しながら可能な限り引っ張ります。ちなみにこのフライシートは薄い10Dのシルナイロンなので雨や結露で濡れると水分を吸い込んで生地が伸びるので強風時には定期的に増し締めするとさらに風に対して強くなると思います。
9、両側のガイラインをペグダウンして完成です。
※ここのガイラインは邪魔にならない範囲で可能な限り長くし、やや緩めに引っ張ります。長く、緩めに調整することで風への抵抗がよくなるらしいです。
設営完了
設営完了です。青々とした芝生のテントサイトにこのヒルバーグの真っ赤なテントは非常にカッコいいです✨
360°周囲から撮影してみました。
ホントにこの赤色のテントってありそうであまり採用しているブランドは少ないので本当にテントサイトで映えて良いですね✨
撤収方法
それでは次は撤収方法を紹介します。
1、ポールのバックルを緩めます。
2、両側のガイラインを抜きまとめます。
3、両端のガイラインを緩めてペグを抜きます。
4、メインポールを抜きます。
※ここのポールは必ず反対側から掌で押し出して抜いていきます。
なぜかウナやアクトに比べると少しでもポールを引っ張ると途中でポールがつっかえて抜けません。
5、両端のペグを抜きます。
※風速15m/s以上などの強風時にはザックなどにガイラインを取り付けてテント本体が飛ばされないように注意しましょう。
6、サイドポールを揃えてポールも一緒に丸めていきます。
7、スタッフサックに入れて完了です。
テントの細部の紹介
①フライシートについて まず初めに気になる方も多いかもしれませんがフライシートが地面まで降りているかみてみましょう。
ヒルバーグのイエローレーベルテントは3シーズンの使用を基本としているために換気性能をかなり重視した製品が多いのです。
その特徴はフライシートが地面まで付かないように緩やかにカーブ(カテナリーカーブ)しており内部の空気を循環できるようになっております。
しかしこのエナンは上記の様にほぼ地面にまでフライシートが降りてきております。
※厳密にみたら1cmぐらいは隙間がありますがほぼ地面についているといえるでしょう。外から風が入ってくることはほぼないです。
その代わりに両端は大きめなメッシュが付いており空気が循環できるようになっております。
このメッシュは息を吹きかけてみたらきちんと空気がとおる様になってます。また雨が降ってきた場合はあまり雨脚が強くなく風がなければこのままでも問題ないかと思います。
フライシートを締め切っていたら夏場にはあまり虫は入ってきにくくは思います。
フライパネルについて 次に出入りする際に邪魔になりやすいフライシートですが、これは長辺の真ん中ぐらいにトグルがついております。
これをくるくると巻き取りとめます。
ただ雨天時の出入りにはややフライシートが長くて出入りしにくいなと感じてしまいます。個人的にはソウロが一番出入りしやすくは思います。
②インナーテントの取り付け
次にインナーテントの取り付けを見ていきましょう。
まずインナーテントを広げて両端の下側2箇所のリングに取り付けます。
次に両側の上部を取り付けます。
ここの部分はアクトは四角形に対してエナンは三角形にして軽量にしております。
ただその分ここの立ち上がりがアクトより長く40cmとザックに入れるには基本縦収納になってしまいます。
次にセンターポール部分に計6箇所取り付けていきます。
このエナンは全高がやや低いので風に対してアドバンテージがあるのですが、その分居住性が低くて165cmの私でも高さがもう少しあればと感じてしまいます。
でもこの様に少しだけトグルを外してあげるとかなり快適に使用することができると思います。
③フライシートのフラップについて
ヒルバーグのエナンには常時換気できる構造になっておりますが、同じ夏季シーズンでも北アルプスの高山のテントサイトでの利用となるとやはり風が強くなり気温も10℃以下と寒く感じる状況が出てきます。
その様な環境になるとこのメッシュを閉じたくなりますが、このエナンにはサイドの上部にフライシートと同じ素材のフラップが収納されております。
これは両端にトグルがついているのでそれをインナーテントやフットプリントを取り付ける用の輪っかに引っ掛けて展開させます。
だたこれインナーテントをつけた状態だと奥側が取り付けれないので一度上側のテントを外してそれから付ける必要があります。
またこれは内側にありますので外部から作業することはできません。
まぁこのフラップを付けたくなる状況は天候が急変して急遽取り付ける状況なのでわざわざ危険な外部に出て作業することはしたくないのでやはり内側に設置してあるのは理にかなっていると思います。
次に収納の仕方ですが、適当に突っ込んでもできますがまずはポケットの幅に合わせて畳んでいきます。
次にそれをくるくると巻き上げてポケットに入れれば完了です。
アクトの場合は使い勝手を考慮してジッパーになっておりますが、エナンはより軽量にするためこの様な簡単な仕組みになっております。
ちなみに外から見てフラップを開けた状態になります。
これが締め切った状態です。普通の風が強めで雨が降ったことがありましたがその程度だとサイドの隙間から雨水が吹き込みはしませんでした。
しかし風速20m/s以上の暴風雨だとさすがに浸水してきそうには感じます。
この画像に写っておりますサイドにループが付いておりますがこれは強風時にさらに耐えれる様にここもガイラインをつけてペグダウンするともう少し風に対して強度が出る様になっております。
④サイドポールについて 次にこのエナンの最大の特徴のサイドポールの仕組みについて説明していきたいと思います。
このポールはおよそ42cmで重さは16gとなっており両サイドに計2本となります。
ちなみにアクトは36cmの14gのポールが4本となっております。アクトの場合は背を低くして本数を増やして構造的にかなりの強度を出しておりますが、エナンは居住性と軽量性を出すためのバランスを出すためにこの42cmの長さに行き着いたのだと思います。
ポールの取り付け方はまず上部のスリーブに入れます。
エナンのポールは両端に大きめなゴムがついていてやや入れにくく感じます。
次に地面側のスリットに入れます。これはアクトに比べるとスリットがやや浅く入れやすく改良されております。
アクトの場合は基本的に取り外すことがほぼないので非常に取れにくい構造ですが、エナンはいつも取り外す事を想定していてやり易くなっております。
実際に私は使用するザックによってはこのサイドポールも取り外してコンパクトにパッキングしたりすることも多々あります。
エナンは軽量で良いのですが、唯一の難点がこのポールによってパッキングサイズが長くなってしまうのが残念な点になります。ここをもう少し設営の際に簡単に取り外しできる様に更なる改良を期待したいところですね。
詳細な寸法について
それでは次にエナンの詳細な広さをみていきましょう。基本的にアクトとほぼ同じサイズ感にはなってきますが。
全長は230cmになります。
次に室内高は93cmになります。
ただ両側に下がっていきますので数値は高いですが、実際に室内にいるとやや狭くはなります。
しかし、まだアクトに比べれば若干の差ですが改善はしているかと思います。アクトのポールは36cmでエナンは42cmと紹介しましたが、その6cmの違いによってセンターから端に向かっての傾斜はやや緩やかになっていると思います。
サイドパネルは三角の形状で高さは40cmで横は60cmほどになります。
次に前室の高さですが、一番高い場所で95cmほどになりますが、個人的に一番重要に感じます前室部分の真ん中付近の高さが78cmと非常にゆとりのある空間になります。
これだけ贅沢な空間があると寒い時や雨天時に前室を締め切っていても抜群の使い勝手があります。
靴を前室に置いていても調理スペースは十二分に確保できます。またセンタージップなので上部を少し開けて火器の使用が可能ですので換気も十分です。
あとエナンはフライシートが地面までに降りているので風が強くても風防を使用しなくてもお湯を沸かせますので便利です。
MSRのウインドバーナーを使わなくても影響はないですね。
全幅はおよそ175cmとなります。
前室が広くて室内も広くて良いのですが、山岳の狭いテントサイトだと張れる場所が限られるので土日や連休にはこのテントは持っていくのは難しい幅になります。
次に前室の奥行きですが74cmほどとなります。室内幅は公式通り95cmとなります。
これは個人的には十分すぎるぐらいでソロテントが初めての方でも荷物が整理しやすいスペースがあり2人用のテントを選択しなくても良いと思います。
インナーテントの詳細
エナンにはセンターに大きめと小さめの2個のポケットがついております。これはちょうど良い位置にありますし、とても使いやすく重宝しております。アクトはドアパネル側に1箇所しかないので使いにくかったです。
また室内に大きめのマットを敷いたとしても十分なサイドのスペースができるので色々荷物をおいたとしても問題ないと思います。
また両サイドは低く狭くなっておりますが10cmのマットを使用してもインナーテントにシュラフはギリギリ付かない程度になります。
ただサイドパネルを締め切って使用すると盛大に結露が発生しインナーテント内まで結露の影響が出てきます。その状況が予想される時は足元にレインウェアを被せるまたはザックを置くなどしてシュラフが直接濡れないように対策は必要になります。
インナーテントの全長は215cmほどあるので185cmのマットを置くと頭上にこれぐらいの荷物を置くスペースはできます。
これだと自分はサイドと併せて全く問題ないです。
インナーテントのドアパネル ヒルバーグのエナンは積雪時の使用を想定していないためインナーテントの入り口部分は軽量も考慮してメッシュになっております。
正直自分はこれだと寒くなるから自作の布でもカーテンみたいに垂らして冷気の侵入を遮ろうかなと考えておりました。
しかし、実際に寒冷な環境で使用してみても意外に外部からの冷気も入ってこなくて想定以上に寒くならなかったので少し驚きました。嬉しい誤算です。これは積雪時にも持っていってこのエナンを使用してどれぐらい冷気が入ってこないか続けて検証して見たいと思います。
実際に使用して感じた良い点
①デザインがカッコいい やはりヒルバーグのテントの赤色はテント場ではあまり見かけない色合いなので非常に目立ちますので使用していて嬉しくなります。もちろんこのエナンのデザインは他にはない形状もあって唯一無二に思います。
②超軽量で耐候性が強い
ペグも含めて1.1kg以下とダブルウォールタイプでこの居住性を思うと非常に軽量だと思います。そして何が良いかと言うとこの重量なのに耐候性が同じ重さの製品に比較して非常に強靭である点だと思います。
実際に使用してみた感想ではステラリッジテントよりよほど強靭だと感じました。
もちろんレッドレーベルのテントの方が更に強靭なのですが、でも国内の無積雪時や積雪時の樹林帯などでしたら困難な状況になることはそうそうないでしょう。
やはりヒルバーグだとこんな軽量テントでも安心感がすごくあります。
③前室が広く使い勝手が良い
先日、テント泊登山で奥穂高岳に行き穂高岳山荘にて宿泊しました。
夕方になってきて少し肌寒くなってきたのでフライシートも締め切って前室で調理して夕食をとりましたが、やはり前室が広いとほんと何かと楽でついつい散らかしがちになってしまいますが、ストレスなく使用できるのでとてもありがたいです。
④室内は暖かい
穂高岳山荘に宿泊した日ですが、この日は夜の22時ぐらいからザーッと2時間ほど雨が降っていたみたいでした(同行者の方にそう聞きました)。
夜の19時に就寝して朝方3時半ぐらいまで熟睡して寝ていたので、残念ながら夜間の気温は変動は分かりませんでしたが、起床してから撮影したのが上記の温度になります。
外気温はほぼ0℃で前室に置いていました腕時計の気温計は7.8℃で両サイドのパネルを締め切って外気が入ってこないようにしておりましたが、想定していた以上に暖かくびっくりしました。
外気温はおそらく0℃近くになるのは想定どおりだったのですが、気温差は3℃ぐらい、可能なら5℃近く差が出れば良いかな?と思っていただけにこの気温差は驚きました。
ですのでシュラフはナンガのミニマリズム180でいつもの就寝環境で寝たのですが、カイロは使用していなくて日付が変わるぐらいにはカイロを投入しないといけないかなと思っていたので嬉しい誤算でした。
おかげでぬくぬくで一瞬夜間に目が覚めましたが、すぐに眠りについてしまい危うく寝過ごしそうになるほどでした。
今シーズンの雪山のテント泊でもこのエナンを利用してテント泊登山に出かけてみたいので追ってまたどれぐらい暖かく過ごせれるのか報告したいと思います。
実際に使用して感じたいまいちな点
①収納サイズが大きい 軽量なのは良いのですが、いかんせんサイドポールの42cmの長さがネックとなりどうしても収納袋に入れると実測値で50cmぐらいの長さになってしまいます。
せっかく軽いのにこの大きさが使用するザックを制限してしまうことになりかねません。
②パッキングしにくい この収納サイズになるのでザックに入れるにはかなり知恵を絞らないといけなくなってしまいます。一つの手段としてはきつく横方向に巻き細くしてザックのサイドポケットなどに入れてしまう方法もあるかと思います。
ただ私の場合は設営撤収時に少し面倒になりますが、サイドポールを外してしまいメインポールと一緒にまとめて、フライシートとインナーテントに分けてパッキングするようにしました。
これだと197gの超軽量ザックのハイパーライトマウンテンギアのメトロパック1800にも収納できるのでベースウェイト3kg以下で行くことが可能になると思います。
ただやっぱり設営時に面倒なので他に良いパッキング方法がないかまだ模索中ではあります。
③結露が多い やはりフライシートが地面までぴったり降りていて両サイドの換気をできないようにフラップを閉めての使用だと結露は絶対に避けられないでしょう。
もちろんシュラフのスペックをもう1段階暖かいものを使用してバンバンに換気できるようにすると結露は幾分抑えられるかもしれませんが、北アルプスなどの標高の高いテント場だと夏でも5℃以下に冷え込むとおそらくあまり効果がないかもしれません。
それならもう必ず発生するものだと思って使用してシュラフの濡れ対策をして、撤収時にもきちんと吸水タオルで拭き上げてからパッキングするようにした方が良いかと思います。
その場合まだ翌日以降も使用するならきちんとインナーテントを取り外してから分けて閉まった方が良いでしょう。
おそらくフライシートの水分がインナーテントまで移ってびちゃびちゃになるでしょうから乾かす時間がないと次の宿泊時に不快な状況になるかと思います。
④専用のフットプリントが重い エナンのフットプリントはアクトと共通なので1種類しかありません。
このフットプリントは強靭なのは良いのですが、私みたいに短期間のアルプスのテント泊登山などの使用だとかなりオーバースペックになってしまうのです。
また重量が267gとせっかく軽量なエナンを導入したのにこの重さだとあまり恩恵を感じなくなってしまうのです。
もちろんフットプリントを使用しない方法もありますが、テントは丁寧に使用するタイプなので未使用はありえないのでブルーシートを自作で作って軽量化することにしました。
これだと112gと155gも重量削減できエナンの軽量さを活かせるかなと思います。
少し見栄えは良くないですが、これでしばらく使用してみることにしております。
⑤室内高が低い 先にアクトを持っておりましたし、これよりもっと低いノルディスクのロフォーテンを使用しておりますので低い室内高のテントには慣れておりますが、やはり単純に低いのは確かです。
個人的には山と道などのクローズドセルマットの使用だと室内高の低さはあまり気になりませんが、ニーモのローマーやコズモ3D(上の写真のマットです)を使用すると厚みがあって寝心地が良いのですがやはり10cm厚のエアマットなどでは私の身長でもかなり窮屈に感じてしまいます。
なのでやはりエアマットを使用したい方はこの室内高の低さのデメリットは気に留めておいた方が良いでしょう。
ただアクトに比べればほんの僅かですがサイドに向かっての落ち方が緩やかなので室内の広さは上に感じます。
⑥設営面積が必要 アクトほどではないのですが、それでもこの6角形のフロア形状と230cmの全長、そして横幅175cmの大きさが影響して北アルプスなどの岩綾帯の狭いテントサイトでは本当にどこに張ろうかなり悩まされてしまいますし、混雑時にはまともに設営できない可能性もありますので困ってしまうことがあるでしょう。
積雪時ならやや広めの整地が必要になるかもしれませんがそこまで困ることはまぁないでしょう。
実際にテント泊登山で使用した感想
それでは先日9月5日(日)〜9月6日(月)に奥穂高岳に行き穂高岳山荘に宿泊した時の感想を紹介したいと思います。
※涸沢岳(標高3,110m国内第8位)を背景に雲の切れ間が見えたので撮ってみました✨
この日は日曜日で13時ぐらいにテントサイトの受付をしたのですが、"一番乗りでどこでも好きな場所を指定して選んで下さい"と言われましたのでお言葉に甘えて一番良さそうな広い場所にエナンを設営することにしました。
このエナンを設営するには穂高岳山荘のテント場の多くは150cm以下の幅でとてもこのテントをきちんと設営できないので、やはりこれは混雑が予測される場合には違うテントを使用せざるおえないでしょう。
この日の穂高岳山荘付近の天候の状況です。
テントを設営している最中も少し風が出ていて設営後ももう少し吹きましたが、体感的にこの予報通りほぼこの7m/sぐらいに感じました。
やはりこれぐらいだと両サイドをメッシュ状態にしていると寒そうだった(16時ぐらいに気温7℃)のでフラップを閉じて、フライシートも締め切って調理食事などをしておりました。
やはりこの軽量さなのに、荒天に強く、設営しやすく、室内でもすごしやすく、暖かいってなると思った以上に快適で非常に良かったです。
最近はテント泊登山でもトレッキングポールは邪魔でほとんど使用しておりませんでしたので、ハイパーライトマウンテンギアのディリゴ2は北アルプスのテント場で使用するにはやや寒いのであまり出番が減っていたのです。
もちろん軽さに特化して1泊程度でしたらノルディスクのロフォーテンの出番なのですが、3泊以上する縦走登山などになるとこのエナンの快適さは疲れを取るには非常に良いテントだと改めて思いました。
まとめ
エナンは非自立式でダブルウォールテントの中では今現在購入することのできるテントのラインナップでは平凡な総重量にはなると思います。
しかし、実際に大事なのは軽量であることはもちろんですが、テント本来の最大の目的は使用者を過酷な自然環境から保護し、いかに疲れがたまった身体を休息するために快適な就寝環境を作れるようにするかが一番大事なことだと思います。
その点エナンはこの重量なのに他メーカーでは1,500g、割合にして1.5倍は重くなるテントと同様の強度をこの重さで可能にしているのはさすがテント専門の製造メーカーだと思います。
多種多様なメーカーを使ってきて感じるのは総合メーカーのテントも必要十分なのですが、ヒルバーグのテントはそこからもう一歩踏み込んで更に使い勝手を追求したり、より壊れないように強度耐久性を高めるための工夫が目に見えない部分まで仕上げられている点だと感じます。
普通のメーカーはその様な手間のかかる工程はコスト削減のため真っ先に簡略化されますが、ヒルバーグは専門メーカーの誇りを持って世に製品を出しているのだなと思います。
正直同じ総重量でまだもう少し安く入手出来るテントはいくらでもあり、9万円もするこのエナンは高すぎると思う方もいらっしゃるでしょう。
実際に私もそう感じました。しかしこの重量でこの強度耐久性を出すためにはより高品質なマテリアル、縫製技術などコストのかかるものなのでこの金額になるのはしょうがないのだなと思います。
実際にテント泊登山で使用したらこの金額は妥当な値段で特には高価に感じなくはなりました。
万人に勧められるテントではないですが、使用用途が合致し在庫のあるタイミングですとこのエナンはおすすめ出来るテントなので是非候補のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。