ソロキャンプに快適なテント ヒルバーグのウナのレビュー
今回はソロキャンプにとても快適に使用することのできるテント、ヒルバーグのウナを紹介レビューしていきたいと思います。
以前にこのブログでソウロとウナを徹底比較して両者の違いをしておりまして、良くご覧になっている方がおられ参考になっているみたいでとても嬉しく思っております。
しかし、やはり改めて個別にウナの使用感をレビュー記事を書いておきたかったので今回してみることにしました。
まずは公式サイトの情報からご覧ください。
ヒルバーグ ウナの情報
ヒルバーグ社の最もシンプルなソロテントであるウナは、完全な自立型であり、岩場の岸辺、狭い尾根、密集した森林(もちろん「完璧な」テント設営場所でさえ)など、ほぼどこでも簡単に設営が可能です。
また、十分な室内スペースを誇っています。軽さが最も優先されるシーズンや、地形が設営条件を難しくするシーズンの旅に理想的です。
ウナには前室はありませんが、室内は人ひとりとギアを余裕で収容できる広さがあり、いざというときは2人を収容できます。
また、インナーテントのコーナーを取り外すことによって、仮の前室を作り、雨の中で出入りしながらもインナーテントを乾燥させることができます。
ドームデザインであるため積雪にうまく対応し、その広さと軽さは、毎日テントを設営するような移動の多い旅にとても役立ちます。
カヌーや自転車で旅する人、年中旅しているバックパッカー、登山家、気軽なキャンパーなどにも気に入られています。
「ウナ」 は、スカンジナビア北部に住むサーミ人の言葉で「小さい」を意味します。
サイズ&スペック
サイズ :
●室内最大高/100cm
●フロア広さ/2.5㎡
●収納サイズ/φ15×50cm
スペック :
●付属品/アルミポール( φ9mm)、387cm×2本、ペグ( Vペグ)×12本、スタッフバッグ、ポールバッグ、ペグバッグ、スペアポールセクション、リペアスリーブ
重量 :
●最小重量(総重量)/2kg( 2.2kg)
収容人数 :
ソロテント
https://www.hilleberg.jp/product/tent/detail/12770024/
実測重量
|
標準重量 |
最小重量 |
フライシート |
819g |
819g |
インナーテント |
674g |
674g |
ポール |
437g |
437g |
ガイライン |
136g |
ー |
スタッフサック |
39g |
ー |
ポール収納袋 |
41g |
ー |
ペグ |
137g |
ー |
ペグ収納袋 |
11g |
ー |
合計 |
2,294g |
1,930g |
設営方法
まずは設営方法を紹介したいと思います。公式動画をご覧頂くと誰でも詳しくわかりますでしょうが、写真で説明していきたいと思います。
ご存知の方が多いでしょうがヒルバーグのテントは全てインナー吊り下げ式になっておりますので、これも初めからつけた状態で収納しております。
テント一式は上記の内容で全部になっています。
まず最初にフットプリントを引き、テント本体を広げます。
※まだ純正のフットプリントを購入しておりませんので他の物で代用しております。
次に広げるとスリーブの袋とじになっている側をペグダウンします。
この時こちら側を風上側にしている方が設営はしやすくなります。
山岳地帯で張る場合はテントサイトの傾斜の影響でうまく行かないかもしれませんが基本はその様になります。
※この時ペグを本極めで打ち込んでしまうとパツパツになりうまく張れないかもしれませんので、テントが強風で飛ばないのであれば仮止めにした方が私はしやすいです。
ペグを差し込むペグループは少し華奢に見えるかもですが、ほど良い輪の大きさで結構丈夫ではあります。
軽量テントの場合はここが貧弱で良く破損する箇所ではありますので、やはりヒルバーグはこの様な細かい部分の作り込みがすごく思います。
次にポールを準備します。
ウナの場合は387cmの長めのポールを2本使用します。
ポールを差し込んでいきますが、どちらからでも構いませんが私はジッパーのある側から差し込む方がやり易くは感じます。
※ここは生地がスリーブとジッパーの浸水防止のフライシートの箇所が近接しているので厚みを感じ、差し込みにくく思います。
ちなみにヒルバーグのポールスリーブの生地は100Dもの厚みなのでそうそう差し込む際に突き破ってしまうことは少ないと思います。
以前紹介しましたヘリテイジのクロスオーバードームは極薄のスリーブ生地でしたので突き破った経験があります。
そしてポールスリーブは片側からしか差し込みできない仕様になっており、反対側の袋とじはさらに頑丈な生地になっております。
ソロテントでこんな分厚い生地使用しているメーカーはかなり少数なのではないでしょうか。
ですが一点注意が必要であまりに分厚い生地なのでここの部分がスムーズに末端まで差し込めることは稀で特に上の写真の様に微妙に差し込みきっていない場合もありますので十分注意が必要です。
面倒ではありますが必ず反対側までいき完全に差し込んでいるか絶対に確認する必要があります。
そうでないと風が強くなった場合にこのテントの性能を発揮できない可能性が十分考えられますので注意してください。
ちなみにポールスリーブのクロスする部分はこの様にきちんと1本づつ筒状になっておりますので非常に暗い場合でも簡単にできる様にもちろんなっております。
次に立ち上げですが、私はジッパーの内側がポールが上になって交差しておりますのでこちら側からした方がやりやすく思います。
※この立ち上げは非常にポールに負荷がかかる作業に思いますので力任せにするのではなくフライシートを手で持ち上げたりしてなるべく補助してあげた方が良いと思います。
強引に行くとポールがかなり湾曲するので、場合によっては折れたり曲がったりする可能性があるので慎重に行いましょう。
ちなみに2本目はかなり楽に立ち上げはできます。
ポールを立ち上げたらプラ製のカップにポールを入れます。
そして自在が付いておりますので強く引いてフライシートに張りを出し、ペグダウンして完了です。
※ここの自在が付いておりますが、そのままだとフライシートがたるんで風の影響を受けやすいでしょうし、降雨があった場合も雨水を綺麗に受け流しできなくなるので必ずピンッと張る様にしましょう。
設営完了
360°周りから撮ってみました
オーソドックスなドーム型テントって感じです。
ただ頂上部分のフライシートはあまり見かけないのでそこが大きな違うポイントですね。
撤収方法
次に撤収方法を紹介したいと思います。
以前紹介しましたアクトも早いですが、このウナも比較的簡単に撤収ができます。
まずガイラインを全て取ってペグを抜いてバックルを緩めてポールをカップから外します。
両側ともできましたら必ず反対側に行きポールを手のひらで押し出していきます。
めんどくさがって引っ張り出そうとかしないでください。かなり疲れますし、ポールのショックコードが伸びたりちぎれたりする可能性があります。
半分ちょっとだいたいこのフライシートカバーの部分ぐらいまで押し出してあげるとあとは引っ張るとスルッと抜けます。
ポールは真ん中から折りたたんでいきまとめてスタッフサックに入れます。
次にテント本体をフライシートごと3等分に畳みます。
そして半分で一度折込みポールも一緒に丸めていきます。
あとはそのままスタッフサックに入れて完了です。
ヒルバーグのウナならではの特徴
ヒルバーグのテントに良く見受けられる独自の機構の一つにフライシートに屋根みたいな小さな生地が付いております。
通常は付けたあとはそのままでも十分ですが、もう一つ工夫がしてあります。
このバックルを引っ張ってあげると上の屋根の部分の生地がぱっつぱつに張りがでます。
なんのために?って感じですがこれは降雪時に上に降り積もった雪がしたに落ちやすくするための機能になります。
これを使っていてあげると雪の重みでテントが倒壊するリスクが多少少なくなります。
しかし、やはりソウロの方がポール3本でさらに頂上部分がウナより鋭角ですので耐降雪性は劣ると思います。
緩め方はここの部分を押し上げるだけで完了します。
付け方
私は付けっぱなしにしておりますが一応紹介します。
まずこのリングの部分に通していきます。
これ見た目以上に硬くてちょっと入れにくいです。
取れることは絶対にないでしょうねってぐらいかなりしっかりしております。
そして入り口のジッパーの上にリングが付いておりますのでこちらはフックで引っ掛けて完了です。
結構パッチって感じでしっかり入りこみます。
●ウナのガイライン
ソウロは12本ものガイラインが付いておりましたが、ウナは345cmの長めのガイライン4本と短めのガイライン2本の計6本が付いております。
個人的にはソウロのガイラインもこんな感じで良いのではって思っております。
これで十分耐風性はあると思いますが。
●ウナの換気性能
ヒルバーグのレッドレーベルのテントはフライシートが地面までぴったり付いておりますが、結露対策や温暖な時期は通気性を重視したい人に向けて上の様にまくり上げることができます。
上の画像は入り口側とは反対になりますが付いております。
そして多少風雨が強くなってもインナーテントのバスタブが立ち上がっておりますのでだいたいは防げると思います。
そして入り口側のジッパーを雨が吹き込まない程度に開けてあげると空気の流れができ結露は発生しにくくはできる方は思います。
●設営面積
このウナは公式サイトの情報をみておりましたら230cm×110cmで十分コンパクトで快適に使えそうだなと思って購入したのですが、大きな間違いがありました。
このテントインナー吊り下げ式ですが、この様に四隅の部分が24cmほどフライシートから離れております。
それによってフライシートとインナーテントにクリアランスができ、空気が循環したりり結露が中に侵入しにくくなっております。
しかしその影響で実際に設置に必要な面積が260cm×140cmにも及びせっかく北アルプスなどで快適なテント泊登山に使用したいって思ったのですが、奥穂や槍ヶ岳、涸沢ヒュッテなどの狭い場所では設営がほぼ無理でかなりショックを受けました。
ですがそんな狭いテントばばかりではありませんので状況をみて使っていきたいと思います。
ですがほんと注意してください。ソロテントでメーカーの説明でウナの語源は小さいって書いてましたが、モンベルのステラリッジ2より大きく普通に2人用のテントって認識した方が良いかと思います。
●インナーテントの広さ
テントの中はこの様に175cm×50cmのマットをひいても十分サイドスペースがありますので一人でしたらめちゃ快適です。
汚くてすみません、この日は子供と荒天時にキャンプで利用しましたがそれでも狭くは感じずにジャストサイズで利用できました。
大人2名でも使用できますが、夫婦カップルでの使用が現実的でしょう。
男2名での使用は・・・やめた方が得策かと思います。
テント内には大きめのポケットが一つ付いております。
個人的には可もなく不可も無くって感じでしょうか。
●前室の広さ
ウナは前室がないと紹介されてますが、何も工夫しなくても一応靴を片側づつ並ばれば問題なくおけます。
しかし、フライシートのドアパネルの真ん中にリングが付いているのですが、そこにフックなどを使用して少し離してペグダウンしてあげるとこの様に十分な前室を作ることは可能です。
この状態で高さ60cmの奥行き50cmの広さができます。
参考までにMSRのウインドバーナーをおいたらギリギリ置くことはできます。
これなら雨天時でも十分調理は可能です。
しかし、ウナのもっといいところはインナーテントのフックを取ってあげると中にこの様な広大な前室を作ることができるのです。
参考に70ℓのザックを置くとこれぐらいで非常に広大な大きさがあるのがわかっていただけると思います。
ですのでこれがあると外が防雨風でもここを使用して調理快適にすることができるでしょう。
●ジッパーの位置
使いやすさを優先して真ん中で開閉できるモデルのテントも多数あったりしますが、このウナは中から見ると左の一番奥下に位置し開け閉めが私は非常にストレスになります。
これはフルオープンの機能を選択した代償ではあります。
●テント内からの換気性能
まずフライシートは雨天時に雨が吹き込まない程度でこれぐらい開けることができます。
そしてインナーテントも一部上部がメッシュになっており、温暖な時期にオープンにすることができます。
さらにこのメッシュも開けて中から外の様子を見ることができます。
真ん中が開くのでとても外を見やすくて良いと思います。
実際に使用した感想
この日は子供が春休みで今年の営業を開始し出しました峰山高原 星降る高原キャンプ場で使用してきました。
今までも何度か子供と使用しておりましたが、この日は春の嵐で風速15m/sで雨脚もだいぶん強くヒルバーグのウナの性能を体感するには絶好の機会でした。
ほんとはゆっくりして焚き火も楽しみたかったのですが、そんな余裕はちょっとなく今回は断念してました。
そしてこの日は先日購入しておりました打刀ペグの28cmも届いていたのでそれの使用もかねて利用しておりました。
普段あまりフライやインナーの換気のための通気口部分は開けませんが、この日も同様に締め切ったまま就寝しておりました。
ですがインナーテントの黄色い部分は通気性が非常に良く、また結露は落ちてきても撥水が効いているので中に染み込まず流れ落ちておりました。
またフライシートは大雨の影響で湿度99%近くはあり盛大に結露が発生してもおかしくない条件でしたがそこそこの量ですみましたし、中にいても息苦しさを感じることもなくとても過ごしやすくはできました。
まぁもちろん湿度が多いので不快ですが、他のメーカーのテントに比べればということです。
そして、耐風性はペグも超強力でしたし、ヒルバーグですので全くなんともなかったです。
体感的には25m/sぐらいまで十分大丈夫だと思います。
ちなみにソウロはポールを3本も使いガイラインも12本で強力に保持する構造ですが、対するウナはおそらく私が思うにドーム型のポールのラインが他メーカーよりやや緩やかになっているので、そこで風を受け流して長めのガイラインでサポートしてあげるという作りになっているのではないかと私は思いました。
まとめ
ヒルバーグのテントはソウロもウナも一人用にしては他メーカー品に比べ500gは重くなってくると思います。
しかし、その重さの原因を今紹介したことも含めて考えると、テントにおけるもっとも大切な安心して快適に睡眠を得るための環境を突き詰めて行った結果、軽量化とバランスを考慮してこの重量に落ち着いたのだと思います。
私がヒルバーグのテントを何度も使用して思ったことが、正直日本の夏の北アルプスなどでの1、2泊程度のテント泊でソウロやウナなどの性能は超オーバースペックだと思います。
体への負荷を考慮すると結局ステラリッジみたいな総重量1,500g以下のテントで十分就寝することはできると思います。
しかし、ヒルバーグのテントは長期間テントで寝泊りするバックパッカーや極地遠征などより過酷な状況で1、2週間もしくはそれ以上ってなると1日の就寝がいかに重要なものになってくるか開発者は熟知していると思いますので、多少重くなろうとも安全で快適に過ごせるにはどのぐらいの強度にすれば良いか本当に考え抜いた上で決めた製品なのだなと思えました。
日本の山のテント泊で2泊3日程度ならいらないですが、北アルプスや南アルプス、北海道大雪山系の大縦走などで1週間以上使用するってなると、やはりこのソウロやウナを使用する価値は出てくると思います。
それぐらいの日程になってくると自ずと悪天候で停滞を余儀なくさせられる時が必ず出てくると思いますので、その際にはこのヒルバーグのレッドレーベルのテントを持ってきて良かったと思うことができるでしょう。
定価で10万円ぐらいして、さらに昨今の世界的なキャンプブームでヒルバーグのテントの供給体制が追いつかなさすぎで正規品ではいつ購入できるか全くもって不明ですが、このテントを入手して絶景のテント泊をして、テントの中からフルオープンので夕焼けや朝日を見れたら絶対に感動すること間違いないでしょう。
気になる方がおられましたら入手性は低いですが絶対に満足できるテントだと思いますのでウナで快適なテント泊をしてみましょう。