なかちんのアウトドア活動記

一児の父ですが少ない休みの日に細々とアウトドアを楽しんでおります。つたない内容かもしれませんがご了承下さい。

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登山やバックパック用のテントはシングルウォールとダブルウォールのどっちが良いのか?

f:id:naka350z:20210816230928j:image 前回、自立式と非自立式のテントはどちらが良いのかと検証しましたが、今回はシングルウォールテントとダブルウォールテントのどちらが良いのか私の実体験をもとに検証してみたいと思います。 

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シングルウォールとダブルウォールの違いとは

●シングルウォール式テントとは

f:id:naka350z:20210816232319j:image まず初めにシングルウォールテントとは何かを説明したいと思います。

 シングルウォールとは雨よけの機能の付与した生地のみでテントの形をしているタイプのものになります。テントの中で住ごす最大の目的は雨風を防ぐことです。

 例えば極論として風は周りにブロックでも積んだり、木々の中に入ってしまえば防ぐと事ができ、その上で暖かいシュラフを使用すればテントはなくても睡眠を取る事は可能です。

 しかし、降水がある場合になるとそれを防ぐには屋根を設置してあげる必要が出てきます。タープを張ってしまえば上からの雨は防げますが、強風も吹く恐れのある場所や天候ですとやはり自身の身を囲ってくれる幕が欲しいと思うようになってくるでしょう。

 

f:id:naka350z:20210816232315j:image 横殴りの雨がある様な気象状況でも上記のようなテント内ですと薄い生地であろうが大きな違いとなってくるでしょう。

 ちなみにこのテントは自立式シングルウォールテントのヘリテイジのクロスオーバードーム2という製品になります。
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 自立式で簡単設営が可能で良いのですが、居住性は・・・な製品になります💦

 次にダブルウォール式テントを見てみましょう。

 

●ダブルウォール式テントとはf:id:naka350z:20210816232330j:image ダブルウォール式とは文字通り2枚の生地による設営方式のテントになります。

 通常ほとんどのテントが外側に防水撥水機能を持たせたフライシートを使用していて、内側に通気性のある生地に底面に浸水しないように対応した生地をバスタブ状にして組み合わせたインナーテントによる2重構造の製品が多いです。

 

 

 次にシングルウォール式テントとダブルウォール式テントの長所と短所をそれぞれあげてみたいと思います。

■シングルウォール式の長所

・軽量でコンパクト

・設営が簡単

 生地が一枚の製品が多く、またこの特徴を生かすために極薄の生地を使用して軽量でコンパクトな製品が比較的多いのが特徴です。

 そして布一枚なのでポールを通してペグダウンするだけなので非常に迅速な設営スピードが可能なので、悪天候や厳冬期などの一刻でも幕内に避難したい状況では非常に優位なタイプであります。

 ちなみにノルディスクのアルフェイム12.6も所有しておりますが、同じくシングルウォール式でも軽量コンパクトとは程遠い製品です。しかし、生地が非常に分厚くコットン混成のタイプなのでシングルウォール式でも非常に快適に過ごす事はできます。

 なので一概には快適性は低いとは言えませんが、快適さをこのタイプで追求すると非常に分厚い生地になり、それこそ100デニールぐらいのフライシートが必要となり、そうなると軽さのメリットを活かせなくなってしまいます。

 

■シングルウォール式の短所

・居住性が低い

・選択肢が多くない

 次にこのシングルウォールの短所ですが、一般的な軽量性を追求した製品だと幕内にいる時は非常に快適性が低くなります。

 具体的にいいますと、雨が降ってくると軒下の役目のある前室がなく、出入りの際に濡れやすく、靴も室内に仕舞わないといけないとなります。

 そして最大のデメリットがフライシートは撥水性を持たせて雨を弾くようにしておりますが、生地の通気性がほぼなく換気口でしか空気が入ってこない為とても息苦しくなります。ましてや室内での調理となると自殺行為に等しくたびたび一酸化炭素中毒で亡くなっている方もいるほどです。

 対策として高性能なフライシートを使用した製品もありますが、非常に湿潤な日本では絶対に室内に結露が発生しますし、外側にも水滴が付着するといくら通気性があっても水分が通せんぼして酸素が中にまで入ってくる事はありません。

 なのでいくらメーカーが良いテントだと言ってもそれは幻想です

 

 

■ダブルウォール式の長所

・居住性がとても良い

・多様な製品が多い

 本来撥水性と通気性は一枚の生地ではどうしても両立させる事は不可能なのです。いくらゴアテックスのレインウェアを着たところで、登りなどを登攀すると汗をかくのと同じです。

 それなら別々の生地を使用して2重構造にしてしまったほうが早いという事で今現在最も広く出回っている製品がこのダブルウォール式となっております。

 この仕組みだと通気性の良い生地やさらに通気性のあるメッシュ生地を使用して快適性を保っているのが特徴となっております。

 ちなみにUS系ブランドにメッシュ生地を多用した製品が多いのはひとえにテントを設営する環境の違いが大きいみたいです。基本北米での使用だと樹林帯の中で設営する事が多く、また乾燥した土地なので結露も少ない、風も吹き込みにくい。となると快適さにはメッシュを多用した製品のほうがすごしやすい事が起因しているみたいです。

 それに対して日本国内で好まれるのは非メッシュ生地のテントになります。

 国内では非常に湿潤でテントを設営する場所も風が吹き荒ぶ稜線のテント場もある。そうなるとメッシュを多用した生地だと中が寒くなり、フライシートの内側についた結露がメッシュを通過して中に入り込んできやすくなることから非メッシュ生地が主流となっているみたいです。

 

■ダブルウォール式の短所

・設営に手間がかかる

・重量が重く大きい

 ダブルウォール式は基本的にまずインナーテントを設営してその上にフライシートをかけるタイプが多いです。ヒルバーグみたいに最初から一緒に接続していてフライシートを設置すると同時に立ち上がる製品もありますが、基本的には手間のかかる製品が多く悪天候時には強風でうまく設置しにくくなる場合もあります。

 また別々にテント生地がなっているのでどうしてもシングルウォール式に比べると重量は重くなりがちです。

 

 

ダブルウォール式テントの取り扱いブランドの例

 今現在本当に世界中にとても多くのテントを販売しているブランドがありますが、その中で日本国内で一般的に購入できるメーカーの中で最強と周知されているのがヒルバーグであります。

Hilleberg(ヒルバーグ)公式サイト by エイアンドエフ

 ヒルバーグはテント本体にブランドロゴマークが付いておりますが、そこにTHE TENTMAKERと入れているぐらい取り扱い製品はテントしかありません。もちろんそれに付属するペグやガイライン、フットプリントなどのラインナップもありますが、全てテント関連のものばかりです。

 それぐらい歴史、実力ともに最強の部類に入りますが、そのテントしか製造していないメーカーが今現在ラインナップに46製品ありますが、シングルウォール型テントとして販売しているのは0です。

 半世紀ほどに渡り幾度となく製造販売、試作、実地試験を重ねて検証してきたのにシングルウォール型テントがないのです。

 これはテントを作って使うプロの答えとしては、ダブルウォール型テント以外に使用するメリットがないと結論が出ていると私は思います。

 

 それではなぜダブルウォール型のテントは良いのかそこを検証してみたいと思います。

なぜダブルウォール型テントが良いのか?

1、居住性が圧倒的に快適である

 布一枚に比べてフライシートとインナーテントの二重構造なのでその間に空間ができる事で雨が降ってきても雨音や叩きつける雨粒の感触がダイレクトに感じないのでストレスになりにくいと私は今まで使用してきて思います。

 また強風が吹き荒れてもやはり布一枚でフライシートが煽られるとバッサバッサとなって大丈夫だとわかっていてもストレスを感じてしまいます。

 個人的に思うのが快適性を思うとシングルウォール型だとフライシートは100Dぐらいの分厚い生地なら不快感を感じにくいとは思いますが、これがダブルウォール型だと30Dのフライシートにやや厚め30Dのインナーテントの生地で組み合わさるとものすごく快適に思います。

 なので結局トータル重量で見ると同じ快適性を出そうとすると逆にシングルウォール型のほうが重量が重くなってしまう逆転現象になると私は思います。なのでシングルウォールにするメリットがなくなってしまうのでしょう。

 もちろんとにかく軽くして快適性は無視で雨風が凌げれば良いというのでしたらその限りではないでしょうが・・・

 

2、室内が暖かい

 衣服の重ね着をするのはいかに内部に空気の層を作るかが暖かさのコツですが、テントも一緒でいかに空気の層ができるかが暖かさにつながるかと思います。

 空気の対流を止めるとテント内が自身の体温で少し温められますが、これがシングルウォールだと薄い生地だとすぐに外気で冷やされてテント内で過ごすメリットが薄れてきます。さらにちょっとでも暖かくと密閉してしまうと酸素濃度が低下して息苦しくなったり、結露が盛大に発生したりと良い事はありません。もちろんこの状態で火器類を使用するものなら死亡事故につながりかねない程危険になります。

 なのでダブルウォール型の利点は暖かさを保ちつつ換気もしやすいという事が可能となります。

 ちなみにヒルバーグの4シーズン用のテントは換気口がテント上部あり雪で埋まりにくい場所にあり窒息にならないようになっております。

 

3、前室を作れるf:id:naka350z:20210816232323j:image ダブルウォール型だとほとんどの製品には大小の差はありますが、前室(軒下)の部分ができるようになっております。

 ちなみに日本メーカーのテントは狭いテント場の多い北アルプスでも対応可能なような短辺側前室が多いですが、欧米系のメーカーはほとんどが長辺側に前室が作れるようになっております。

 これはやはり日本の山岳のような狭いテント場はほとんどなく設営面積にゆとりがある場合が多い為だと思います。

 いずれにしても今まで前室のないシングルウォール型はヘリテイジのクロスクロスオーバードーム2やトレイルシェルターを使用時には前室がなくとても不便に感じましたのでやはり小さくても良いので前室は必要だと感じてしまいます。

 個人的に感じる前室のメリットは雨天時に濡れにくい以外に、

①結露によって靴が濡れる心配がない。

②強風時でも締め切っていたら風防がなくても火器類が使用できる。

③調理中や食事の時でも風が強くても寒くなりにくい。

 などがありがたいな〜と思うポイントではあります。

 

4、荒天に強いf:id:naka350z:20210702020109j:image 天候が荒れても設営時にフライシートを被せる時だけはリスクがありますが、そこさえ乗り越えてしまえば強雨が降ろうが、強風が吹こうが、寒かろうがかなり安心な空間が出来上がるのは本当にありがたいと思います。

 もちろん上級者になれば、荒天時でもタープだけでシェルターを作り上げてやり過ごす事は可能でしょうが、軽量なダブルウォール型テントだと重量差わずか500gしか違わないのでしたら普通の人には非常にコツのいるシェルター設営より、ダブルウォール式テントを建てたほうが確実で安心できると思います。

 

5、結露に強いf:id:naka350z:20210224225306j:image シングルウォール型を使っていて結露がどうだとかいう人はいないと思いますが、やはりダブルウォール式を使用しているとインナーテントの中にまで結露が侵入してこないのは本当にありがたいです。

 もちろん結露は状況次第では絶対に発生しますし、全く無縁というわけではありません。撤収時にはフライシートの内側についた結露を吹き上げるのは、素手でタオルで拭きあげるとかじかんでめちゃ辛いですが、水分の分だけ持ち運び時の重量が増加してしまうので基本私は拭きあげるようにしています。

 吊り下げ式のダブるウォールテントだとこれがちょっと面倒には感じてしまいます。

 

 次にいまいちに感じる点や欠点などをみていきます。

ダブルウォール型テントのいまいちな点

1、重量がかさむf:id:naka350z:20201217160335j:image これは同じ生地の厚みを使用していればどうしてもダブルウォール型は不利です。なのでレースの選手や短期間に超スピードハイクを計画している人にはその僅かな重量さも仇になりますのでシングルウォールタイプを選択する利点はあるでしょう。

 しかし、普通のキャンプやテント泊登山を計画している人にしてはそんなストイックな計画は必要ないので無縁だと思います。

 ちなみにどうしても少しでも軽くしたいのであれば室内高はかなり低いですがノルディスクのロフォーテン1UWLは良い選択肢だと私は思っております。
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2、設営の手間があるf:id:naka350z:20201228142003j:image 一般的なダブルウォール型テントはインナーテントを建ててその上にフライシートをかぶせる為強風が吹き荒ぶ中では非常に困難な場合もあります。なのでそのような場合には複数名もしくは事前練習にて迅速に設営ができる経験が必要になってくると思います。

 しかし、ヒルバーグを代表するようにインナー吊り下げ式のダブルウォール型テントもありますのでその場合はシングルウォール型とほぼ変わらない設営スピードだと思います。

 

3、テント設営時に広さが必要

 ダブルウォール型テントは前室が基本的なのでやはり設営面積はやや広めにはなります。僅かな差ではありますがそこは留意しておくべきかもです。

 これが超コンパクトなシングルウォール型だと激混みのテント場なら隙間に設営は可能になるのですが・・・

 でもあまりそのような状況に遭遇する機会は私には多くないのでメリットは少ないですが。

 

4、似た形状のテントが多い

 自立式でダブルウォール型のテントとなるとやや離れて見ると似たカラーリングだとほぼ一緒に見えて自分のテントがどれか分からなくなる可能性は高いです。

 この組み合わせのテントはポールがX字になったクロスポール式のドーム型が大半で他の形状はなかなか少ない為致し方ないとは思います。

 ちなみにヒルバーグのソロテントの自立式だとソウロとウナがありますが、似た組み立て式なのになかなか見かけない形状のため離れてみても自分のテントがどれかわかりやすくはなるでしょう。

 

 

まとめ

f:id:naka350z:20210816232509j:image テントを購入する場合には大半がダブルウォール式タイプが売り場に並んでいるのであえてシングルウォール式のテントを購入する方は少数かとは思いますが、実際にテントを購入する際には下調べしてくると、自立式と非自立式シングルウォール式とダブルウォール式とそれぞれのタイプが出てくるので、多少軽量ならシングルウォール式テントにしてみようかな?と考える人もいるかもしれません。

 ですが今までの説明を読んでもらうと極限の軽さを追求する以外に本当にメリットがないのでわざわざ無駄な投資をしてまでシングルウォール型テントを購入する必要はないと少しでも理解して頂ければ幸いかと思います。


f:id:naka350z:20210816232452j:image 中にはやっぱりどうしても軽量さとコンパクトさが欲しくて検討している方もおられるかもしれませんが、お試しにと中古の製品を購入する。もしくは安価な製品を購入して体験してみるというのも良いかもしれません。

 しかし、実際にいろいろなテントを購入してきてやはり前室のないシングルウォール式のテントは何もメリットを私は享受できる事が少なかったです。

 今後、革新的な製品が出てきて心移りして気になって購入しても結局やはりダブルウォール式のテントには居住性では敵わないなと結果的に手放してしまうのではと思います。

※ただ上記の前室が作れるタイプの超高級素材のシングルウォールテントは非常に気に入っておりますので今後も長期間にわたって使用したいと思っておりますが✨


f:id:naka350z:20210822035147j:image テントの何よりの価値はなにもない野外にいかに安全で安心な快適な空間を作る事ができ熟睡できる環境を構築できるかが最大のポイントですので、普通の人には僅かな重量を削ぎ落としてまで快適性を落とすのは得策ではないです。

 ぜひあなたもお気に入りのダブルウォール型テントを見つけて快適なソロキャンプやテント泊登山に出かけてみましょう✨✨✨