世界最小で最軽量級テント ノルディスク ロフォーテン1ULWレビュー
みなさんは今現在使用しておりますテントはどれぐらいの重量のテントを使用しておりますでしょうか?近年はソロ用で登山やバッグパッキング用のテントは熾烈な競争や技術開発がありひと昔前およそ10年ほど前に比べて非常に軽量なモデルが数多く増えたかと思います。
最近では自立式ダブルウォールテントでも1kgを割り込むモデルも多数あったりして非常に軽量な製品もあるかと思いますが、今回紹介するテントはそんな超軽量のテントの中でもさらに軽量なテントであるノルディスクのロフォーテン1ULW(Nordisk Lofoten 1ULW)をレビュー/評価してみたいと思います。
追記で北アルプスで使用した時のレビューしました。
ロフォーテンの特徴
■世界最軽量(レースウェイトで490g)の非自立式ダブルウォールのテント
■ヒルバーグの様なインナー吊り下げ式なので簡単に設営出来る
■パッキングサイズが11×22cmまで小さくなる
※以下が公式ページの情報になります。
●畳んだ状態では世界最小クラスのサイズを誇れるその秘密は、最先端の技術を使用した非常に短いアルミポール。このポールのおかげで、収納時サイズはたったの11cm x 22cm。
●生地はNordiskが独自に開発した新素材の26 g/m2Nortech T-NY 7デニール。
●両面の3層のシリコンコーティングが高い耐久性と撥水性を与え、特許出願中フレックスロープサスペンションシステムで伸びやすく、強いテントです。
●インナーテントを取り替えれば、テントを1人用または2人用仕様で使えます。(別売)
●ペグやガイロープの入ったボーナスパックつき。
カラー
グリーン / Forest Green
収容人数
1人
総重量
565g
(レース用重量*:490g)
*レース用重量はパックサック、フットエンドポール、付属アクセサリを除く
サイズ
外:250 x 125 x 80 cm
中:220 x 85 x 70 cm収納サイズ
11 x 22 cm
フライシート
100 % 7デニール・ナイロン・リップストップ・シリコンコーティング
耐水圧: 1600 mm
インナーテント
100 % ナイロン・リップストップ・ブリーザブル
フロア
100% ナイロン・リップストップ・PUコーティング
耐水圧: 3500 mm
ポール
ULW Lite Alu 7.5mm 3本
(メインポール、フットポール、ドアポール)
※ペグやガイロープの入ったボーナスパック付
価格 121,000円
【本体価格 110,000円】
■長所
●非自立式だがダブルウォール式で雨の日も安心である。
●インナーテントが最初から接続しているのでスピード設営出来る。
●ペグの必要本数は最低5本で設営可能。
●一人用と二人用とあるが一人用だと前室が広く使えてとても小さなテントだが必要十分なスペースがある。
●3シーズン用だがフライシートの空いている隙間が小さく、インナーテントもメッシュの部分が少ないので寒さを感じにくい。
●高さが非常に低いトンネル型なので耐風性は高い。
■短所
●室内高が異常に低くなんと70cm!!しかないので着替えがとてもしにくいです。
●非自立式なので設営に経験が必要である。
●フライシートの耐水圧が1,600mmとやや低く、生地も7デニールしかないので破れに気を使う。
●フロアの耐水圧は3,500mmで15デニールほどで破れやすい。3箇所ほど穴が空きました💦
設営方法
パーゴワークスのRUSH 5Rのパッキングの想定で
一番下に入れていたテントを出します。
ボーナスパック付属の袋ならひとまとめに収納できます。
メインポールとエンドポールを出します。
まず飛ばされないように頭側2箇所をペグダウン
ポールをスリーブに入れていきます。
ヒルバーグみたいに片側から差し込む用にはなっておりません。
ポールをはめ込みます。
反対側もはめ込みます。
次にエンドポールを上にさして
エンドポールをはめ込みます。
脚元側の端2箇所をペグダウンして
最後にエンドポール側をペグダウンします。
設営完了です✨やはりすごく背が低いですね😊
ガイラインを2箇所付ける場所があります。
入口上部にベンチレーションがあります。
脚元にもベンチレーションの窓
インナーテントにも常時オープンのベンチレーションが小さいですがあります。
室内は高さが低い以外は思ったより広くて、頭側にそこそこ荷物を置けるスペースはあります。
脚元の幅は40cmととてもせまいです。
●マットを置いてみました
脚元側は少しきついがぎりぎり置けます。
●前室の使い勝手
このロフォーテンの前室は可動式になっており用途に応じて広さを使い分けることが可能となっております。
調理するなど広さが欲しい場合には最大で幅50cmほどスペースを作れます。
就寝時インナーテント内を広く使用したい時にでも一番広げても幅35cmで靴を置くには余裕があります。
前室の高さは73cmぐらいで調理にも十分な高さはあります。
どうしても高さが気になる人にはヒルバーグのウナの様に頭上のインナーテントのフックを外すと80cmほどの高さにできてややストレスが少なく使用できるのではないでしょうか。
ちなみにインナーテントを外してみると広い空間ができます。これならポール130g+19g+フライシート175gで計324gの幕ができます。ほとんどタープ泊する様なものですね。
装備をSOLのエスケーププロヴィヴィを使ってとかでしたらいけそうですが、でもちょっと自分にはハードルが高いかもです💦
脚元側の写真です
ベンチレーションは中からみるとこんな感じです。
取り外したインナーテントはこんな感じです
実測重量インナーテントは235g
フライシートは175g
メインポールは130g
エンドポールは19g
合計559gですが簡単にインナーテントを付けたり外せるように金具を付けたのでやや重量増にはなっています。
付属のペグは5本で46gで結構カッコいいです。
このロフォーテンのフライシートはなんと7デニールの両面3層のシリコンコーティングのシルナイロンですが極薄でものすごく質感がいいです。
足を乗せるとコケそうになるぐらいしゅるしゅるです✨
加水分解が起きにくい加工みたいですが、長期間使用できれば嬉しいです✨期待したいです。
実際に使用して良かった点
1、収納サイズが非常に小さい 通常テントはポールが短くても35cmほどの収納サイズになってしまいますが、このロフォーテンはみたことのないほどの短さで、22cmと非常にコンパクトになるためにバックパックの中にどこにでも収納することが可能となります。
一番コンパクトに収納して出かけるのでしたら最近ではこのオルトリーブのアクセサリーパック(容量3.5ℓほど)の底面にエバニューのチタンポッド500の中にテントも入れてパッキングしたりしております。
その上にシュラフ(ナンガのミニマリズム180)とエアーマット(イナーシャのミニマリストパッド)とストーブ系の装備を入れると最小限の装備でパッキングが可能となります。
軽いっていうのも当然必要ですが、それ以上にコンパクトになると自ずと使用するバッグも軽くなり、バッグが小さいと持ち運びにも負荷が少なくなり非常に重宝するので如何に最小限な大きさにパッキングできるかがとても重要だとは思います。
なのでこのロフォーテンの小ささは今現在販売しているテントででは唯一無二の最大のポイントだと思います。
2、やはり超軽量で持ち運びしやすい やはりこのテント総重量で565gほどと非自立式なのですが、ポール込みでこの重さなので異次元の軽さに感じます。
普通500gのテントですって言ってもポールはトレッキングポールを使用するので別ですってことが多いですが、私はあまりストックは邪魔になることが多いのであまり持って行くことが少ないので、このロフォーテンのポール込みでのこの重量は非常に持ち運びに有利で嬉しいポイントです。
3、唯一無二のスタイリング この異様に背の低い見た事のないスタイリングはいかがでしょうか✨
この地を這うような姿のためテント場ではおそらく一際異彩に見えると思います。カラーリングも自然に溶け込みやすいグリーンと、ウインターシーズンにはさらにカッコよく見えるレッドの2色展開で他の人の目印になるほどのテントになる事間違いないと思います。
って言いますかこのテントを設営していると全高が低すぎて一体なかはどうなっているの?と不思議に思う方は非常に多いとは思います。
あとこの非常に低い80cmの全高によりペグダウンできる箇所は多くはありませんが十分耐風性はあるかと思います。さすがにヒルバーグのようにはいきませんが、体感としては20m/sは全く問題なとは思います。
一番使用機会の多いテントですが、残念ながら今までのところ10m/sぐらいまでしか体験しておりませんのでそれ以上はまだ未経験ではあります。
4、雨天時でも問題なし 通常これぐらいの500gほどのテントだとシングルウォール式が多いですが、ロフォーテンはダブルウォール式なのでやはり雨が降った場合に軒下ができるのは非常に助かります。
耐水圧も1,600mmとやや低いですが、今のところ雨が浸水してきたりとかは皆無です。全然問題ないのでそこまで気にする必要はないと思います。
5、超高品質なフライシート このロフォーテンのフライシートは7デニールの3層両面シリコンコーティングのナイロンの素材で非常に薄くて超軽量、そしてさわるととても滑らかでシュルシュルでもの凄く触り心地が良いのです。
こんな生地のフライシートを使用している製品は他にあるかはちょっと分からないです。
同じメーカーのノルディスクのテレマークやヒルバーグのエナン(ケルロン600)でも10デニールが限度なのでいかにこのロフォーテンが特殊かと理解できるでしょう。
おそらくこの7デニールぐらいの極薄生地になると耐久性・耐候性が著しく低下するのでしょうが、ロフォーテンだと全高80cmとビビィ並みの低さのため耐風性に有利なのでこの極薄の生地を採用することが可能だったのではないかと思います。
6、インナーテント内が暖かい このロフォーテンは背が低く長い形状になっておりますが、その構造のためにインナーテント内の体積が非常に少ないため居住性は最低ですが、逆にいうと無駄な空間が少ないので寒冷期などはテント内が暖かくなりやすく、フライシートもやや地面まで下にさがっておりインナーテントの換気口も最小限のサイズのため冷気が入りにくく(でもインナーテントの黄色の生地は通気性が良いので若干は外の空気は入ってきます。)、外が0℃ぐらいでも外気温との差が5℃ぐらいはあったりします。
もちろん強風時にはその差は小さくなりますが、これだけ気温差ができると持って行くシュラフもそこまで性能を求めなくても済みます。
さらにこのテントはインナーテントを2人用に変更すると激狭いでしょうが、とても暖かくはなるとは思います。おそらくOMMレースみたいな極限に軽量化するならこのロフォーテンで参戦というのは良い選択かもしれません。
実際に使用していまいちな点
1、室内高が低すぎる ぶっちゃけていうとこの70cmの室内高はもはやテントとは呼べる代物ではないかもしれません。
ですが、重量はヘリウムビビィと同じなのでそれに比べると快適性は比べられないほどこのロフォーテンの方が良いとは思います。
まぁコンセプトが違うので同じにはできませんが、ビビィ<ロフォーテン<一般的な超軽量テント、という立ち位置なのではと思います。
言い換えれば中途半端かもしれませんが、個人的にはビビィの軽量さと耐風性にダブルウォールテントの快適性を持ち合わせた素晴らしいテントではと思っております。
2、フライシートが伸びる ちょっとこれだけでは意味がわからないかもしれませんが、テントの素材には主に①ポリエステル、②ナイロンの2種類がありますが、ポリエステルは水分を含みにくいが劣化が早め、に対してナイロンは水分を含みやすいが劣化しにくいという特徴があります。
このため例え快晴の日にこのロフォーテンを使用しても非常に水分を多く含む日本の空気では絶対にテントの外側や、内側に結露が発生してフライシートに水分が付着してしまいます。
これはもう日本国内での使用では絶対に不可避だと思います。なのでこの非自立式でトンネル型のロフォーテンを使用すると設営後2時間も経過するとフライシート全体の生地が水分を含んで緩くなってきて、だら〜んと張りがなくなってしまうのです。
いくら最初にピンピンに目一杯両端を張ったとしても無理なのです。
これによって何が問題なのかというとインナー吊り下げ式のため、フライシートとインナーテントとの生地の隙間が少なくなってしまい、フライシート内側に付着した結露などがインナーテントの生地をすり抜けて水分が中にまで侵入してしまうのです。
なのでこれを防ぐには面倒ですが、ペグを再度抜き直してフライシートがピンピンになるように打ち直す必要があります。
3、高い
国内定価で121,000円+フットプリント22,000円と合計で143,000円とヒルバーグのソロテントより高価です💦私は国内価格は全く手が出ませんでしたので海外通販wiggleにて2018年12月27日に73,540円にて、フットプリントは9,223円にて合計で82,763円(それでも十分高額ですが💦)と一応国内定価よりは4割ちょっと安くは購入しました。
ただ非常に軽量なため破損のリスクが高いので修理のことを考慮すると国内で購入するのも良いかもです。
しかし高いです💦まぁ非常に高品質な素材を使用しているので致し方ないですが・・・
4、結露はほぼ発生する
フライシートのところでも説明しましたが、このテント暖かくなりやすいということは中の暖かい空気のそうとの温度差でどうしても結露が発生しやすくなり、また室内高が低いため結露で濡れたフライシートに頭が接触しやすくなるので濡れたりしてストレスは溜まりやすくはなると思います。
また出入り口のフライシートも長辺側にあるため捲り上げる時もだら〜んとなりやすくて濡れたフライシートだと出入りしにくいな💦と私は感じてしまいます。
まぁそんなデメリットもこの軽さコンパクトさを思うと微々たる程度にしか感じませんが✨
実際に使用してみた感想
寒さの感じ方ですが、-3℃ぐらいまでの時がありましたが、シュラフはナンガのミニマリズムの使用で少し薄着で寝ましたがあまり寒さを感じずにすみました。やはりダブルウォールテントは暖かいです。
●ただその分今まで使用してきた環境(10℃以上の時はなかったです)ではいつも結露は発生していました。インナーテントまで濡れてしまう時もありました。
●設営は5箇所のペグダウンでいけるのでやはりとても早くできて、撤収時もシルナイロンを使用しているので圧縮しやすいですが、3層のシリコンコーティングをしているので空気をうまく抜いて行かないと綺麗にたたみにくいのと、結露がひどい時や雨天時は水分を含んでしまうので少し膨らむ時はありました。
●体型は小さい方ですがそれでもインナーテントに入ると70cmの室内高は背中を丸めても頭が付いてしまいます。ありえないぐらい低いです。ヘリウムビヴィなどを使うことに比べるとましかなというレベルだと思います。着替えはまず普通にはできませんので寝転がってやるか、トイレなどでしかできないでしょう。
●インナーテントの中は一人で使うには必要十分のスペースはあり室内長は220cmあるので頭の上に色々置くことが出来きますし横も十分の大きさがあります。
●前室は可動式でインナーテントの幅を広くしたり狭くしたり出来るので調理したりする場合には雨の日でも思った以上に広い前室を作ることができます。
テーブルを置いて調理は普通にできます✨
靴を置くスペースも十分です✨
この部分を動かして前室を広くしたり狭くしたりできます✨
●少し改良しましたが、インナーテントを簡単に外せれる様にしたので、フライシートだけでも設営できますし、雨の時でもインナーテントを先に片付けることも出来ます。
●全高が80cmしかないので耐風性は高いと思いますが、設営には風向きを考慮する必要があります。脚元側から強風が吹くと少し弱い様に思います。
●圧倒的な低さなので見た目のインパクトがすごいです。
●国内販売価格がとても高いです。超軽量で3層のシリコンコーティングの幕なので高くなるのは仕方ないですがやはり高いです。この金額ならヒルバーグのエナンとかもいいように思ってしまいます。ただ海外通販などなら半額ぐらいで購入できます。
https://www.backpacking-united.com/jp/nordisk-lofoten-1-ulw-burnt-red-si-aluminium
●まとめ
ノルディスクのロフォーテンは何せ最大の特徴はこの他に類をみないほど低いスタイリングによる圧倒的な軽さとコンパクトさになります。
正直このテントを使用してしまうと他のテントはどれもがあまりに大きく重くなってしまうため持っていくのを少し考えてしまうほどです。具体的に言うとノルディスクのテレマークやヒルバーグのエナンなどは一般的には超軽量の部類になるでしょうが、それでもこのロフォーテンと比べると重量差も収納サイズも2倍近く変わってくるのでとにかく荷物を軽くしたいなって時にはこのテントが持っていく候補としてはまず最初に浮かび上がってきます。
もちろん他のテントの方が室内の快適性と耐候性が上ですので気象条件が悪くなりそうな場合や不確定な時にはこのロフォーテンではなく別のテントを持っていきます。
あと非自立式の為自転車でのテント泊ロングライドなどでは不利な場面もあるでしょうが、打刀ペグ16cmなどの軽量でそれでいてどこでも突き刺さってくれる様なペグを持っていけば困る状況はそうそうないと思いますのでそこまで気にはしておりません。まぁもちろん駅の周辺や駐車場、コンクリートなどではさすがに無理でしょうが・・・
購入金額など色々と入手するまで課題の多いテントでではありますが、一度手に入れてしまえば今までの行動計画が抜本的に変えられる唯一無二の素晴らしいテントだと思いますので室内の低さにはちょっと我慢してもらえば確実に満足できるものだと自信を持って推薦はできますので興味のある方は是非入手してみてはいかがでしょうか✨✨✨