次世代固形燃料 FireDragon / ファイヤードラゴンの使用レビュー
皆さんはテント泊や軽量なキャンプで使用する火器は普段何を使われていますでしょうか?湯沸かしや調理に使用するストーブの種類は主にガス、アルコール燃料そして固形燃料とおおよそ3つの種類に分かれるかとは思いますが、今回紹介しますのは固形燃料の代表格であるエスビットとはまた違った新たな固形燃料であるファイヤードラゴンの固形燃料を入手してみましたのでそのレビューをしていきたいと思います。
固形燃料のメリット
それではまず最初に固形燃料の長所と短所を述べてみたいと思います。
1、小型で軽量なこと
まず最初に固形燃料の最大のメリットは小さくて軽量なことが挙げられると思います。単体で燃焼するため五徳を用意さえすればガスストーブやアルコールストーブのように燃料とは別にストーブ本体が必要にならないです。
固形燃料の場合はその燃焼器具が必要ないため燃料を持っていくだけで燃焼できるため荷物の削減に非常に大きなメリットになるでしょう。
2、低温下でも燃焼する
次のメリットがガスやアルコールストーブは氷点下以下の気温になってくると燃料が気化しにくくなり場合によっては燃焼することが難しくなります。
でも固形燃料の場合ですとそのような低温下でも安定して燃えることができるのが良い点だと思います。
3、雨天時にも強い
次に大雨に遭って色々な荷物が濡れたとしても固形燃料の場合は多少濡れていたとしてもライターなどの着火器具が無事であれば比較的簡単に燃焼をすることができることが可能な点だと思います。
特にガスストーブの場合ですと水滴や湿気には弱く濡れてしまうとガス器具の中が濡れてしまうと途端に燃焼できなくなったりする製品もあったりしますので扱いにはより神経質にならないといけないです。
しかし固形燃料の場合はそれらのバックアップ的な用途しても可能でしょうから安心して持ち運びができるでしょう。
固形燃料のデメリット
1、火力調整ができない
まず初めにあげられる短所が一度燃焼が始まってしまうと基本的には燃料が燃え尽きるまで消火ができない点でしょう。ガスストーブですと燃料のバルブを閉じて供給を止めてやれば消火できますし、アルコール燃料の場合も蓋をすることが可能な製品もありますし、あらかじめ燃焼したい量を注入していれば燃焼してくれますので、慣れてくるとその時の気温水温標高天候等によりおおよその使用燃料が把握できるので無駄な消費を抑えることができます。
もちろん固定燃料の場合もブロックの大きさを調整して大体どれぐらいの時間燃焼させるか調整することが可能なものもありますが基本的にはその大きさで燃える時間が決まってきますので慣れないと難しいところがあると思います。
2、単価が高い
製品の種類によっても違ってきますが基本的に固形燃料の燃料は1個あたりの単価が高くコストパフォーマンスが低い点があげられると思います。今回紹介するファイヤードラゴンは1個あたり約100円ですし、エスビットの固定燃料もいい値段がします。
もちろん100円ショップにも売っている固形燃料もありそちらはとても安価ではありますがやはりガスやアルコールに比べるとコストパフォーマンスはあまり高くは無いように感じてしまいます。
3、ススが出て燃えかすが出る
個人的に最大のデメリットに感じるのがこの燃えかすが残り、そしてススが出てしまい使用したクッカーに黒い汚れが付着して汚くなり後始末にとても手間がかかるところでしょう。そのままパッキングしていくと間違いなく他の荷物に汚れが移るでしょうから何かしらの対策が必要になります。
以上固形燃料の基本的なメリットデメリットを踏まえた上で今回新たに購入してみましたファイヤードラゴンを実際にどの程度の使い勝手なのか試しに使用してみましたので紹介していきたいと思います。
公式サイトの紹介
まずはムーンライトギアさんで紹介されていましたものが1番わかりやすかったのでそちらを紹介したいと思います。
FireDragon 固形燃料の新革命 煤0で火力も強い特別版
FireDragonは固形燃料に新たな革命をもたらす燃料。 破棄される野菜や穀物から抽出したエタノールを原料としたエコロジカル。
特筆する点は下記3点にあります。
①火力の強さ 1つあたり約11分の燃焼時間を持ち、半分で400ccのお湯を約4分半ほどで沸く火力は今までの固形燃料にはないもの。
②燃焼ガスは無臭・無毒 燃焼ガスは無臭、無毒のためシェルター内でも使うことが可能。 本国ではVANLIFERが社内で撮影している投稿もみることができます。(換気は必須)
③着火のスムーズさ 通常の固形燃料はなかなかライターのみでは火がつきづらく、アルコールを少したらしたりと工夫しないといけませんが、このFireDragonはとても着火が容易でライターはもちろんのこと、スターターでも素早く着火することができます。
200cc〜300ccほどのお湯を沸かす場合はナイフで1/3にカットすれば沸かすことができ、アルファ米やコーヒーなどのお湯を分割して沸かすことができます。 ナイフで切った後ナイフに付着した固形の粕はエタノールとなるため消毒効果がありその後食品を切っても問題ありません。3シーズンのテント泊時に1つ(27g)あれば3分割し、夜はアルファ米のお湯を沸かし、スープ分のお湯、そして朝はコーヒーの分とかなり省エネ。 長期の山行になればなるほど燃料のトラブルを防ぐために念入りになりますが、この固形であれば何泊分の燃料を持っていくのかすぐに判断できますし、スムーズな着火ができるためストレスなく使うことができます。
冬は燃料切れのエマージェンシー用にお湯を沸かすために持って行ったりと様々な場面で活躍してくれますよ。鍋底には煤もつかず、土台に着いた煤は生分解性のため簡単にとれ環境負担もありません。 固形燃料の新定番として 火力はもちろん環境面の意識と、今後ULハイカーにも根付いていくアイテムとして注目です。
SPEC / 商品スペック 入数 6個セット 12個セット 重量 27g /個
素材 エタノール91% 凝固剤9%
注備 1.着火後、固形燃料は液化します。そのため液体をこぼさない構造のストーブで使用してください。 2.個包装を開封した後は気化しますので、早めに使用してください。 3.この製品は固形燃料のみで、ストーブは付属しません。 自然発火温度363度(よって、放置により勝手に発火はしない) Made in Wales
COLUMN コラム
この冬から様々な環境で使用していますが、 火力の強さ、無臭無毒で目が痛くならない、煤が出ないと とても固形燃料の使用頻度が多くなりました。 でもESBITだとやはりそこが気になってしまう僕です。 これまた気兼ねなく固形燃料のメリットの恩恵を受けられるってモノ。 固形燃料はやはり五徳、風防をシンプルにすることができ全体の軽量化、そしてフロアレスシェルター内で天候に左右されず使用できます。 このFireDragonの登場により個人的にも固形燃料に対する見え方が変わりました。2020年台の今の装備で新たなシステムを作るのが楽しみですね。 writing / Hattori
製品の実測情報
まずは私が購入した商品を紹介したいと思います。ムーンライトギアさんで紹介してあった製品は27グラムの大きめのブロックのものでしたが私が入手したのはその約半分ほどの大きさになったものでより使いやすくなったモデルになります。
容器を含んだ実測の重量で1個19gになりました。中身を取り出して容器を計測してみると2gでしたので差し引き1個17gになります。若干公式よりは重量が重いですね。
次に大きさですが持った感じはそこまで重量ほど重いようには思いませんでしたが、実測の大きさは6.7cmと個人的にはもう少しだけコンパクトなものを想定していただけに持ち運びにはちょっと工夫が必要だなと感じました。
ただエスビットの製品もちょっと似たような大きさですし、なによりエスビットのあの独特な匂いが非常に強烈で私は持っていきたいとは全く思えなかったのでこのファイヤードラゴンの無臭のにおいがしないのは素晴らしいなと思いました✨
燃焼テスト
それでは実際にこの固定燃料のファイヤードラゴンを使ってお湯を沸かしてみたいと思います。
あまり事前に情報を調べずに実際に使ってみましたのでどれぐらい燃えてそして本当にススが出にくいのかまたは燃えかすがどれぐらい出るのかがよくわかっていませんでしたので、下の写真のような感じで燃焼テストをしてみました。
五徳:ワイヤーネット(フリーライト社製)
受け皿:アルミホイルで自作
クッカー:エバニュー 400FD
水量:250ml(水温15℃程度)
https://twitter.com/naka350z/status/1662991826540961792?s=20
https://twitter.com/naka350z/status/1662992230616018944?s=20
https://twitter.com/naka350z/status/1662992606178213888?s=20
上記のTwitter動画のスクショよりまずは着火後すぐですが、勢い良く炎が立ち上がります。
1分ほど経過すると最大火力になってきました。
燃焼開始して3分半ほどで250mlの水がほぼ沸騰した位になりました。まだ変わらず炎も大きいままです。
着火後5分程度は大きな火力を維持したままになりました。
5分40秒ほどして火力がかなり落ちてきて消火寸前です。
着火後6分で消火しました。
燃焼テストをして思いましたが比較的炎が広がり燃えるので今回は400FDのクッカーを使用してお湯を沸かしましたが、効率よく炎を利用するなら同じエバニューの製品なら570ぐらいの大きさのクッカーが良さそうに感じました。
さて燃焼し終わった後の燃えカスですが上の写真のように、やや燃えカスが残るようになりました。またこのファイヤードラゴンのひとつの特徴でもあるのですがこの燃料は燃え出すと燃料が溶けてドロっと広がりやすくなるのでこぼれたりしないようにカップのような受け皿がやはり必要になると感じました。
燃料使用後について
さて実際に使用していた時ですが、炎からはススが出ているようには感じなかったのですがいざ使用した後カップを裏返してみるとこのように結構底が黒く汚れていました。
ホームページ等ではススが出ないので良い燃料だと言うことで期待していただけにこの真っ黒なのを見たときにはかなりびっくりしてしまいました。これは家の中でのテストなので良いですがいざ実際にテント泊で使用してとなるとこの汚れたカップをどのようにパッキングしていくのかちょっと困ってしまうかと思います。
実際に汚れが落ちるのかと水をつけてペーパータオルで拭いてみてさらにその後にメラミンスポンジで拭いてみました。最初見たときの第一印象ではススが落ちにくそうな感じではあったのですが思っていたよりは汚れが落ちてくれてよかったです。
ただ実際にこれをテント泊で使用しているときに毎度このように掃除をするのかと言われるとそれはそれでかなりめんどくさいと思いますし、何回も何回も燃焼していたりするとさすがにクッカーに汚れがこびりついてしまい洗い落とそうとしても汚れが落ちなくなってしまうでしょう。
アルコール燃料との比較
では実際にアルコール燃料とどれぐらい差があるのかを同じく実験してみましたので写真を載せて比較してみたいと思います。
比較するアルコールストーブはこのブログでも何度も紹介しておりますRSRのアルコールストーブです。
お湯を沸かす量は同じ250ml、水温25度位の水道水を注いでアルコール燃料を10mlほど注いで着火してどれぐらいの速度でできるかやってみました。
クッカーは同じく400 FDです。結果はわずか10mlのアルコールですが3分20秒ほどで沸騰しました。やはりRSRのアルコールストーブは非常に高性能ですね。ファイヤードラゴンの固形燃料は大きな炎が出て火力が強そうには見えましたが、ぶくぶくと沸騰しきらなかったです。それに対してRSRはぶくぶくと完全に沸騰しましたのでこの差は大きいなと感じました。
あとやはりアルコール燃料はススが出ないのでその扱いやすさもやっぱり楽ですね。
まとめ
普段から私の場合は徒歩や自転車キャンプ、テント泊登山などではアルコールストーブを持っていくことが多いのですが、1〜2回しかお湯沸かさないのであれば固形燃料をもっていくのもありかなぁと思っておりました。
2018年に登山を再開したときにはまだ知識がかなり少なくその時は百均で購入した固形燃料を持っていてテント泊などで使用したのですが火力が弱くてお湯が沸騰しきらず困った経験もありランニングコストは安いが100円ショップなどで購入できる固形燃料はちょっと実践には向かないなと体感していました。
その代わりとしてエスビットの固形燃料を試しに購入して使ってみようかなと思い一度自宅で燃焼テストをしてみたところ、あまりに大量に出るススにびっくりしてしまい、またその独特なイカ臭い様な匂いが耐えられずこれを持って行き使うにはあまりに厳しいなとなり結局固形燃料を持っていく事はほとんどなかったのです。
しかしこのファイヤードラゴンの固形燃料はその従来の欠点であった弱い火力や、匂いがしないそしてススが出にくいというところを改善してあると聞いたので実際に購入してみてみました。
確かに匂いは全くせず、火力は強く、比較的軽量でコンパクトなので何かあった時のバックアップとして1、2個ぐらいこれをもっていくのは非常に有用なのかなとは思いました。しかしススが出にくくはなっていますが使うなら底が広めのフラットなクッカーを使用し、そして汚れても良いようなクッカーを持っていくしかないなと感じましたが💦
1個がほぼ100円ぐらいとランニングコストが高いので毎度毎度このファイアードラゴンを使うのは厳しいとは思いますが、年に1、2回しか行かないアルプスでのファストパッキング等での燃料として使うのならこれもまた1つの方法ではないかなと感じました。
どこでも入手可能な製品ではありませんのでもしこのレビューが参考になって使用してみたいと感じて頂ければ幸いです✨