世界最軽量級3シーズン用化繊シュラフ OMM Mountain Raid 233の徹底レビュー
みなさんは今お使いのシュラフはどの様な製品を使用しておりますでしょうか?寝袋は本当に色々なメーカーから多種多様な製品があり初めて購入するなら本当に迷いすぎて困ってしまう方が多いと思います。
ですが、ほとんどの方はその暖かさと収納性の良さからダウンを採用したシュラフを選択する人が多いのではないでしょうか。一般的なアウトドア用品店で置いておりますダウンと同じ暖かさを維持した化学繊維(以下化繊と呼びます)を採用した製品とではそのあまりの大きさの違いにびっくりする人もいるのではないでしょうか。
今回紹介しますのはOMMから今秋発売されます新製品のMountain Raid 233の使用レビューをして行きたいと思います。
公式サイトの情報
マウンテンレイド 233 £ 240.00
最高のパフォーマンスを実現するプリマロフト クロスコア ゴールドを使用した、当社で最も暖かい寝袋です。Mountain Raid 233 は、より厚い Primaloft® Cross-Core GOLD 断熱材を使用してバッグの温度範囲を拡大し、素材の組み合わせから構成され、最大のパフォーマンスを保証します。
PointZero シェルには DWR 処理が施されており、撥水性と Primaloft 断熱材が濡れていても機能します。半分の長さのジッパーがコールド スポットと全体の重量を軽減し、体にぴったりとフィットする調節可能なマミー スタイルのフードが最大限の熱を逃がします。先細りのフィット感がデッドエアを減らし、形状のフットボックスがより快適な睡眠姿勢を実現します。
Mountain Raid 233 は、これまでで最も暖かいスリーピング バッグで、寒い季節の軽い冒険や、より良い睡眠を求めているマウンテン マラソンの競技者に最適です。
540gリーンウェイト 6.3 TOGドライ断熱 4.8 TOGウェット断熱特徴ベースよりも上部に厚い断熱材ハーフ YKK® ジッパー内側にステッチを施し、外側をルーズに配置速乾性 お手入れ簡単
195cm の長さのマミー型肩幅 65cmパックサイズ 25 x 17 cmフードのドローコードベースにハングループ技術的な詳細PointZero 100 22gsm ナイロン リップストップ生地 ダウンプルーフ DWRプリマロフト クロスコア ゴールド 133/100g で高い防風性
※英国ommの公式サイトよりGoogle翻訳した文章を記載しました。
Mountain Raid 233 – OMM Original Mountain Marathon
製品の特徴
①ダウンシュラフとほぼ同等の重量で同じ対応温度を実現
②水濡れや結露に圧倒的に強い化学繊維Primaioft Cross-Core GOLDを使用
③生地には撥水加工を施したOMMのオリジナル生地のPointZeroファブリックを採用
製品の詳細な情報
それではここからは私が購入しました製品の実測を紹介していきたいと思います。ちなみにこの製品はまだ日本国内ではデリバリーされていなく海外通販サイトwiggleにて販売されていたものを購入しました。購入時の金額は41,000円に税関が3,200円の計44,200円とわりと良いダウンシュラフが購入できそうな金額となりました😅
このMountain Raid 233のシュラフ本体の重量は502gとなりました。※スタッフサックの重量は引いております。
この製品が入っていたスタッフサックの重量は11gと特に何も機能のないシュラフと同じPointZeroシェルを使用した軽量なものが採用されております。
大きさについて
次はこの製品の収納時大きさについてみていきましょう。
直径は18cm
長さは27cmとなりました。
あくまでこれは入れやすい大きさの収納袋に入れた状態であり頑張ればMountain Raid 100のスタッフサックやモンベルのULスタッフサック2Lになんとか収納可能な大きさにはなります。
私はよくテント泊登山やキャンプなどに行く際はPrimaloft® Activeの製品を利用するのですがこれは圧縮率が低くて困ってしまいますが、まだこのPrimaloft® Cross-Core GOLD採用の製品は圧縮率は多少良い様に感じます。
それでもダウンには敵うわけもなくフィルパワー換算で550FP相当といったところでしょうか。
既存製品との違いについて
次に気になっておりました既存製品との大きさの違いについてみて行きたいと思います。参考にしたのは私が持っておりますMountain Raid 100です。詳しいことはこちらを参照してください。
実際に並べ比べるとやや小さめ程度に見えますが、持ち比べたらもう倍ほどの大きさに感じてしまうぐらいになってしまいますね💦
次に重量差ですが、それぞれスタッフサックに入れた状態で100が344gで233が513gでその差は169gとなりました。
次に同じ大きさかなと思っていたのですが、100と233を重ねてみると横幅がやや233の方が大きくなっておりました。
これはやはり厚めのダウンジャケットなどのインシュレーションを着用して入ることを想定した作りなのでこの差になったのでしょう。ですが個人的には結構な細めの体型なのでぶかぶかになってしまいもっとタイトな方が好みではあります。まぁ既存製品でそんなのはナンガのミニマリズムシリーズしかないのですがね・・・
続いてせっかくなのでこの100と233がどれほど実際に違うのか詳しくみていきましょう。
なるべく可能な限りわかりやすい様にサイドから厚みの違いが分かる様に撮影してみました。化繊の場合はやはり復元力がある繊維は少なくこのPrimaloft® Cross-Core GOLDもふわふわに膨らむことはありません。
ですのでいかに多くの繊維を封入するかで保温力の違いになってくるのですが、こうして見比べてみると100はかなりペラペラに見えてしまいますね。
やはり100は夏のアルプスの最盛夏(梅雨明けからお盆まで)ぐらいの期間で少し寒さに耐性がある人向け
233は3シーズン用でアルプスだとお盆過ぎからシルバーウィークの期間用かなと思います。
具体的に感じるのは100は15℃〜7℃ぐらい、233は10℃〜0℃ぐらいなのではと思います。
シュラフの構造について
次にこのMountain Raid 233の構造を見ていきましょう。
このシュラフはより寒さに対応した温度帯になっているので100や160より暖かくなる様に工夫があるれば嬉しいなぁ〜と期待していたのですが、荷物が到着し製品を確認しましたら残念ながら100と160と同じ構造でした。
まずは出入りするジッパーの長さですがこれも同じく45cmでした。
そして少し改良があった点がこのフードの左側に見えているコードの部分ですが、これはゴム製コードを止めるロック部分が生地から独立していて扱いやすくなっておりました。
100の場合はシュラフに縫い付けられていて更に使いにくい形状のコードロックでしたのでこの改良は嬉しいポイントでした✨ まぁループで縫い付けられているだけなのでハサミでカットすれば良いだけなのですが。
次にジッパーを下ろしてみました。想像できるかもしれませんがこのシュラフは顔周りを絞るだけでしてショルダーウォーマー(首周りからの冷気の侵入を防ぐ)らしきものはありませんでした。
まぁ対応温度の5℃〜0℃を考えれば無駄になるかもしれないので人によっては必要ないって感じる方もいるでしょう。でもやはり0℃前後になってくるとこのシュラフの形状の大きさですと首周りの空間ができすぎて寒く感じてしまうでしょう。
その点ナンガのミニマリズムだと体にジャストフィットした形状なので無駄な空間ができにくくてより暖かく感じるのですが。
おそらくこのMountain Raid 233を0℃前後で使用するなら私は顔や首周りの対策や工夫が必要になるのではと感じております。
ただこのMountain Raid 233ですが、今年のOMMの新色みたいでして色々な製品に使われているみたいですが実際に見てみて私はすごく気に入りました✨
なんだかあまり見かけないカラーリングなので貴重に感じてしまいますね。表地が蛍光色なので裏地はグレーの落ち着いたものが使用されております。
数値で見るそれぞれの差について
|
100 |
160 |
233 |
快適温度 |
14℃ |
9℃ |
3℃ |
下限温度 |
3℃ |
-3℃ |
-9℃ |
シュラフ重量 |
337g |
407g |
502g |
封入量 |
100g |
160g |
233g |
上中綿 |
60g |
100g |
133g |
下中綿 |
40g |
60g |
100g |
上面比率 |
60.0% |
62.5% |
57.0% |
下面比率 |
40.0% |
37.5% |
43.0% |
定価 |
38,500 |
42,900 |
44,200 |
次に今現在OMMから販売されておりますMountain Raidシリーズ3種類のデータを一覧表にしてみました。
233の対応温度は重量差からみる想定値です。一度購入前に英国のOMMのサイトよりチャットにて対応温度を聞いてみたのですが、断熱性のグロー値の返答があっただけでいまいちわかりにくかったので今回はあくまで想定値としております。
ちなみに個人的に気になっていたのが上下の中綿の封入量の比率でした。これをみると233の方がやや地面からの冷えに強くした量になっておりますね。
色々と経験してわかったことなのですが、やはりどれだけ想定で暖かくシュラフを重ね着しても厚めのスリーピングパッドを使用しないことには底冷えが辛くなってしまうのだなと思いましたし、付け加えると厳冬期用の山と道のULPad15+のマットを使用しても下側にもやはりある程度中綿を入れておかないと下側の横から冷気を感じてしまい寒さに震えた経験があります。
なのでこの233の上下の比率は妥当な線かなと個人的には感じました。
実際にシュラフに入った感想
続いてこのシュラフに入った際の印象の違いについて私の感想を述べてみたいと思います。残念ながらこのシュラフの性能をフルに活かせそうな北アルプスなどのテント泊計画は今のところないのでまずは第一印象を書いていきます。
比較対象はMountain Raid 100とMountain Raid 233とMountain Raid 100にOMM Core Linerを入れた3パターンで比較したいと思います。
●Mountain Raid 100
まずは100からですがやはりこれはもう封入している中綿量の少なさが如実に感じられてペラッペラで本当にサマーシーズン用って感じでかなり不安に感じる人もいるでしょう。
ただ実際に冬場に自宅のベランダで5℃ぐらいの時にULPad15+を敷いて2時間近く仮眠をしてみましたが、このPrimaloft® Cross-Core GOLDのシリカゲル入りの効果がすごくてこんなペラペラなのに意外と外の冷気を感じにくくしてくれるのには驚いた経験があります。
なのであながちメーカーが言っている下限温度3℃というのは嘘ではないなと感じました。
●Mountain Raid 233
次にこの233に100から入り変えると途端にあぁシュラフだなぁ〜って思えるほど保温力がありそうな印象に感じました。
やはり封入量が2.3倍も増えるとかなりこの恩恵は大きく感じました。ただまだこのシュラフを実践で投入しておりませんでの一体これがどれほど寒さに耐えてくれるのかちょっと未知数な部分は否めないですね。
いずれ真冬になると兵庫県の雪山で体感テストに行ってみたいと思っております。でもほんとこのCross-Coreって少ない量でも断熱性があるのでこの2倍以上増えた中綿量でどう違ってくるのか早く試してみたいなとうずうずしております✨
●Mountain Raid 100+Core Liner
最後にOMMから販売されております変わり種シュラフ?のCore Linerをインナーシュラフとして100に入れて使用した場合の感じ方も紹介したいと思います。
このコアライナーですが近日中にレビューをしたいとは思っております。
まずなぜこれを比較に入れようかと思ったかというとMountain Raid 100が337g+Core Liner165gとシュラフ本体のみだとMountain Raid 233と全く同じ重量になるのでそれならこれを比較したら面白いなと感じて入れてみることにしました。
結論を言いますと圧倒的にこのMountain Raid 100+Core Linerの組み合わせの方が暖かくといいますか一番暑く感じてしまいました。
やはりこのコアライナーのPrimaloft® Activeの保温材剥き出しの状態はシュラフに入ってすぐに体温が伝わり、そしてそこからMountain Raid 100の方にまで体温が伝わっていく感じがし、更にこのコアライナーのフリースみたいなふわふわ感が心地良くシュラフに入っていて幸せに感じるほどでした。
もちろんMountain Raid 233単体でも生地が心地よいのですがPrimaloft® Activeには到底敵わないですね😅
おそらく個人的には233よりもう3℃以上はゆとりがあり、マットはUL Pad15+を使用すると-3℃ぐらいまで冷え込んでも暖かく就寝できそうな感じはしました。これ本当に長期縦走のテント泊だと恩恵が絶対にあるかと思いますね。
やはりダウンシュラフだと2泊や3泊としていくとシュラフが湿気ってきて不快でやや寒くなりがちになりますし、雨続きだと乾くこともありませんので化繊シュラフの組み合わせは絶大だと思います。
ただ同じ重量なのに暖かく寝心地がよいのですが、欠点は収納が嵩張ってしまうのと100が38,500円+コアライナー24,200円の計62,700円と化繊シュラフの金額ではないのが痛すぎますが・・・
現実的にはMountain Raid 233単体の方がおそらく45,000円程度でしょうから普通の人はそちらを選択する方が良いでしょうね。
まとめ
今回はまだ実践で使用したことのない製品でしたが、到着してこのカッコいいデザインに惚れてしまい、また誰もレビューを書いておりませんでしたので最速での情報として記事を書いてみました。
ですが、この製品おそらく3シーズン用化繊シュラフとしては本当に軽量でして国内メーカーで該当しそうな製品ですとモンベルのシームレスバロウバッグ#3(快適5℃、下限0℃、重量933g、¥15,950-)かもしくはイスカのアルファライト500X(下限0℃、重量1,000g、¥17,600-)の2製品がありますが、どちらも重さが倍ほどあるので私が使用するのはちょっと無理だなと感じます。まぁその分お値段は3倍ぐらいしてしまいますが・・・
ですが王道3シーズン用シュラフであるモンベルのシームレスダウンハガー#3と同じ対応温度で更に少し軽いってなるとダウンシュラフを選択する価値がなくなってしまうほどになりますね。その分やや高額になってしまうかもしれませんが、バイクや自転車でのツーリングや縦走テント泊などで何泊もしそうな人なら私はまず間違いなくこのOMMのMountain Raid 233をお勧めしたいですね。
やはり100や160も良い製品なのですが、やはり0℃対応のシュラフがあった方が暑くて困ることは滅多にないですが、凍えて就寝できないことの方が圧倒的に多いので特にシュラフで寝るのに慣れていない人はこのMountain Raid 233が一択だと私は思います。
また長くなってしまいましたがいずれ寒くなってきたら何度かテストしてみて寒さの感じ方を追記で紹介したいと思います。