世界最軽量級の化繊シュラフ OMM Mountain Raid 100と1.6の徹底レビュー
皆さんは使用するシュラフはどの様な物が多いでしょか?
オートキャンプとかで重量の制約がないのであればAmazonなどで販売しておりますお手頃な価格のダウンシュラフやメンテナンスを手軽にしたいのであれば化学繊維(以下化繊シュラフとします)のシュラフを使用できますでしょう。
しかしその様なシュラフは収納サイズが非常に大きく(40cm×φ30cm程度)ミニバンやSUV車での移動なら良いでしょうが、軽自動車ですといくら最近のモデルは室内空間が広くなったとはいえ一家族分のシュラフを3〜4個も積載すると他の収納に苦慮することになってしまうでしょう。
本日はそんな重量級の製品がひしめきあう化繊シュラフのカテゴリーの中で圧倒的な軽量さを誇る化繊シュラフ、OMM(Original Mountain Marathon)のMountain Raid 100と1.6を紹介したいと思います。
※1.6は旧モデルの製品で最新バージョンは160となります。
製品の特徴
①シュラフ全般の中でも非常に軽量なクラス
②水濡れや内部結露に圧倒的に強い化学繊維Primaioft GOLDを使用
③生地には撥水加工を施したOMMのオリジナル生地のPointZeroファブリックを採用
公式サイトの情報
Mountain Raid 100
¥30,000
Primaloft Gold ミニマリストのためのスリーピングバッグ
最高の素材の組み合わせで最高のパフォーマンスを発揮する。まさにミニマリストのためのスリーピングバッグです。アウターシェルはDWR撥水加工を施した水にも汚れにも強いPointZero®ファブリックを使用。
中綿は現在市場で入手可能な化繊綿のなかで、最高の暖かさと重量比を誇るPrimaloft® GOLDを採用しました。素材の性能を最大限発揮させるため、背面にはPrimaloft® GOLDを40g、上面には60g使用しました。
足元の筒型形状はより保温性に優れ、ここにもPrimaloft® GOLDを60g封入しています。中綿の嵩高を保ち、保温力を最大限発揮させるため、アウターシェルは緩めに設計されています。またライナーと中綿は縫い合わせてあるため、中綿がよれて部分的に身体が冷えることもありません。
https://theomm.jp/product/mountain-raid-1-0/
ムーンライトギアさんの情報
公式サイトでの紹介の情報では少しわかりにくいので良く拝見させてもらっております、ムーンライトギアさんで紹介しておりますページがもっとわかりやすいのでこちらも載せておきます。
OMM Mountain Raid
シェラフカバーを必要としない 超軽量な化繊寝袋
開放感のあるタープでワイルドに就寝する "ものぐさスタイル"は 当店でも力を入れて紹介していきたいスタイル。
しかし羽毛ダウンの寝袋では雨が多く多湿な日本ではロフトの減少が気になるところ。
化繊綿を使った寝袋であるMountain Raidは山岳レースでまさに行き倒れのように どこでも安眠を手に入れたいというニーズに合わせて開発されました。
また2020年にPrimaLoft® Gold Insulation with Cross Coreに素材がアップデート。
シリーズの中で一番の保温性と濡れによる強さを持つPrimaLoft® Goldにシリカゲルを 注入し多孔質の温かい空気を保つ機能をより高めて従来のモデルよりも一層暖かく 安全に夜を過ごせるように進化。
また体温を逃がさないシェイプされたマミー型のデザインで軽量に仕上げたこの寝袋は シェラフカバーを必要としない点でより攻撃的に軽量化を進められるアイテムです。
キルト形式の寝袋と違い気密性が高く首もとまでしっかりと保温してくれますので 就寝着とサバイバルシートなどの工夫でより突っ込んだ温度まで活用できる印象。
春の静かな里山やアルプスの長期縦走、さらには沢登りなど スピードハイクやファストパッキングへの挑戦を後押ししてくれる がさつに使えてなおかつ安心感が高い、新しいタイプの化繊寝袋です。
MOUNTAIN RAID 100
夏場の低地からアルプス縦走で活躍する使用温度帯10℃~8℃の気温で活躍する寝袋
より軽く自由に、雨に負けないタフさを手に入れたい人にうってつけのモデルです。
エマージェンシービビィと組み合わせたりすることで快適使用温域を引き上げて使用するのも面白い化繊モデルの新スタンダードです。
Spec/商品スペック
サイズ 195cm(全長)65cm (幅)35cm(足元)
収納サイズ:22 x 15 cm
重量 380g
素材 シェル:PointZero Fabric
中綿:PrimaLoft® Gold Insulation with Cross Core : 60g(表面)40g(背面)
カラー ■Black
快適使用温度(comfort) 14℃
使用可能下限温度(extreme) 3℃
価格 30,000円(税抜)
MOUNTAIN RAID 160
Mountain Raid100の中綿を一回り厚くし使用温度域を引き上げたモデル
化繊=重く嵩張るを過去の話にする収納時のコンパクトさと確実な保温力が魅力。
5℃付近でも確実に暖かく安眠できるこのモデルはOMMの開発コンセプトである山岳マラソンやファストパッキングでの使用用途以外でも是非試してもらいたい安心感の高い3シーズンシェラフに仕上っています。
Spec/商品スペック
サイズ 195cm(全長)65cm (幅)35cm(足元)
収納サイズ:22 x 15 cm
重量 450g
素材 シェル:PointZero Fabric
中綿:PrimaLoft® Gold Insulation with Cross Core : 100g(表面)60g(背面)
カラー ■Blue
快適使用温度(comfort) 9℃
使用可能下限温度(extreme) -3℃
価格 34,500円(税抜)
製品の実測値
ここからは実際に2つのシュラフの違いをみて行きたいと思います。
まず今回紹介しますシュラフは100は現行品の最新モデルですが、1.6は旧モデルでPrimaLoft® Gold Insulation with Cross Coreではなく通常のPrimaLoft® Goldになります。
購入したのは私にはおなじみの海外通販サイトのWiggleにて両方とも購入しました。
参考までに私が入手した時の情報を記載しておきます。国内価格より購入するより圧倒的にお値打ち価格で購入できました。
Mountain Raid 100
・購入日 2020/8/11
・購入金額 13,215円
Mountain Raid 1.6
・購入日 2019/7/16
・購入金額 21,648円
100は国内価格に比べて60%off、1.6は43%offとかなりお買い得に入手できました。
正直この金額を知っていると国内価格ではちょっと購入しにくいですね💦
まず初めにこのシュラフの特徴のひとつに短いジッパーがあります。
実測値で44cmほどと結構短く左側についております。一応右利きの人が中から閉める際に少しでもやり易くする様にとの配慮だとは思います。
参考までに私の持っている超軽量シュラフ、ナンガのミニマリズムだと23cmなのでそれに比べると入りやすさは全然違います。
というかミニマリズムが短すぎます💦
シュラフの幅は72cm
長さは200cmとなっております。
基本的に欧米系の方が使用する想定なので私の体型(165cm50kg)では相当ぶかぶかで中に入った時に余分なスペースができてしまいます。
窮屈なのが嫌な人には良いでしょうが、体に密着しにくいのでシュラフとの隙間ができやすく保温性の点では少し不利には思ってしまいます。
ナンガのミニマリズムと重ねてみましたがこれだけ違ってきます。おそらく体重75kg以上の人だと快適さが全く違って感じるでしょう。
個人的には窮屈なミニマリズムに慣れましたので、やはり暖かさにはシュラフの中綿に熱が移りやすい窮屈な方が個人的には好みです。
次にこのシュラフは寒冷期の使用は想定されておりませんので、フードコードだけで首元のショルダーウォーマーはついておりません。
一応マックスまでコードの引っ張るとこの様に口を出すだけの部分ができて、シュラフの中の暖気が逃げにくくすることは可能です。
●実測重量
Mountain Raid1.6は415g
Mountain Raid100は343g
重量はスタッフサックの8gを入れた数値になります。
●実測収納サイズ
Mountain Raid100を入れてのサイズで、長さが20cm
直径がφ12cmとなります。
しかし私はあまりこの数値は普段参考にしておりません。
ウルトラライトの装備でインシュレーションと着替え、シュラフをオルトリーブのスッタフサックにまとめて入れております。
その際にどちらかというと重視しているのはシュラフ単体の重量を一番気にしております。
というのも基本的にシュラフは重さが軽くなれば軽くなるほどコンパクトに圧縮可能だと思っております。
例外はあるかもしれませんが、基本的にこの法則は変わらないと思っておりますので暖かくて収納サイズもコンパクトにしたければ超高品質な中綿を選択する以外はないと思います。
化繊シュラフなのこのオルトリーブの3ℓのスタッフサックにミニマリズムみたいに収納可能です。
さらに化繊シュラフなのでスタッフサックの入り口でも濡れても大丈夫という安心感は絶大です。
まぁお風呂にじゃぶじゃぶ浸からせてもほんの少ししか濡れないのでザックの中でもさらにビニール袋などで包んでやると濡れる可能性は全くないでしょう。
実際に使用してみて良かったところ
①水濡れに強い
このMountain Raidの最大の特徴である水濡れしてもおよそ最大で90%もの暖かさを維持するとありますが、現状まだ私の使用ではテント内が水没して濡れてしまってということはまだありません。
今の時期は寒いのでどれぐらい暖かさを維持できるか検証してみたいものですが、今の社会情勢の中下手にテストして体調を崩したら冗談ではすみませんので、おいそれと試すことは難しいでしょう。
それに私が使用する場合はSOLのエスケーププロヴィヴィをシュラフカバーに使用してと思っておりますので、よほどの事がない限りシュラフが濡れてしまうことはないと思っております。
それよりも私が最大のメリットと思っておりますのが、シュラフ内で発生する内部結露に強いのが1番のメリットだと思います。
というのもSOLのエスケープヴィヴィを使用して確かに暖かさは上がるのですが、ヴィヴィの中に発生する内部結露があまりに酷すぎてナンガのミニマリズムでの使用は最初の数回でそれ以後ほぼ使わずに眠ってしまっている状態でした。
しかしこのマウンテンレイドのシュラフだとそんな厄介な内部結露が大量に発生しても全く気にしなくて良いのは、私にとってものすごく嬉しいポイントになりました。
寒い時はマウンテンレイドのシュラフのフードを最大まで絞って、エスケープヴィヴィのフードのコードも同じく最大まで絞ると直径φ5cmほどまで小さくできるので中で呼吸してるとヴィヴィのリフレクション効果もありとても暖かくできるのは非常に良いメリットだと私は思います。
これがダウンシュラフだとテントの結露やら内部結露とかを気にしないといけないのは神経をすり減らしてしまうでしょう。
②超軽量で非常にコンパクト
通常対応気温5度とかの化繊シュラフだとおおよそ1,000gは普通にあると思いますので100の方だと340gぐらいとめちゃくちゃ軽いのでパッキングもとてもしやすいのですごくありがたいと思います。
そしてダウンと違い多少強引に圧縮してもダウンほど神経質にならなくて良いです。
しかしさすがに長期間コンプレッションし続けると膨らみが戻らなくなるでしょう。
使用しない間は広げて洗濯ネットなどで保管しておくのが良いでしょう。
③生地が気持ち良い
このOMMで多数の製品に使用されておりますPointZeroの生地は撥水加工されており、防風性があり、何より触るとシュルシュルの感触が気持ちよくとても心地良く思います。
ナンガのミニマリズムも良い生地ですが個人的にはOMMの方が好きです。
④シュラフの中が広い
OMMは基本的に体格が大きい欧米系の方をメインターゲットにしているので日本人だと余裕のある大きさだと思います。
ちなみに私の場合ですと下半身だけ入れて中でギリギリあぐらはなんとかかける事はできます。
テント内で寒い場合にこの様にして暖を取れるのは嬉しいポイントです。
⑤メンテナンスがらく
化繊シュラフのもうひとつのメリットは家庭の洗濯機で普通に洗濯が可能な事でしょう。
まだ私は洗濯が必要なほど使用しておりませんが、ダウンシュラフの場合は専用の洗剤を使用して洗うことに比べればとても簡単でありがたく思うでしょう。
長期間の縦走路やロングハイカーさんとかには本当にありがたいでしょう。
使用してみていまいちだったところ
①シュラフに入りにくい
先に紹介しましたが、44cmのジッパーで左側にずれているので慣れていない人にはシュラフに入りにくく少し不満に思うかもしれません。
でも私はもっと入りにくいミニマリズムに慣れてしまっているので特に不満には思っておりません。
参考までにそれぞれの周長を測ってみました。
マウンテンレイド⇨150cm
ミニマリズム⇨100cm
イメージしたい方はそれぞれ紐か何かで作ってくぐってみるとわかりやすいとは思います。
この50cmの差はすごく違ってきますよ。
②コード調節がしにくい
このシュラフのコードはゴム紐でストッパーが本体に縫い合わせてるので、個人的には伸縮しないコードにストッパーが分離してる方が使いやすいとは思います。
そしてシュラフの中に入ってから閉めるとやり辛くてちょっとイライラしてしまいます。
③脚元が寒い
一応脚元にはインシュレーションを若干増やしているみたいですがそれでも私は寒くてつま先の冷え対策は私には必須です。
あと欲を言えばショルダーウォーマー的な物がついていればもっと良いのですが。
またあぐらをかけるほど大きいのは良いのですが、ちょっと大きすぎて個人的にはもう少しスリムな方が良いです。まぁこれは海外メーカーの製品なので致し方ないと諦めております。
④金額が高い
メーカー |
モデル |
販売金額 |
快適温度 |
下限温度 |
総重量 |
OMM |
Mountain Raid 100 |
33,000 |
14℃ |
3℃ |
343g |
OMM |
Mountain Raid160 |
37,950 |
9℃ |
-3℃ |
415g |
バロウバッグ#5 |
14,850 |
9℃ |
4℃ |
902g |
|
バロウバッグ#3 |
15,950 |
6℃ |
1℃ |
1,085g |
|
イスカ |
アルファライト300X |
13,200 |
— |
6℃ |
640g |
イスカ |
アルファライト500X |
16,500 |
— |
0℃ |
1,000g |
化繊シュラフのメリットに安い事があげられます。上記の表は参考までに主要メーカーの化繊で比較してみました。だいたい同じぐらいの対応温度域で記載しております。
見て頂ければわかりますが、OMMの圧倒的な軽量さが分かるかと思いますが、同時にその分値段も倍ほど違ってきます。
本当に性能が良いだけにこの国内価格はちょっと躊躇してしまします。
しかし、私みたいに海外通販だと安価に入手可能なこともありますので諦めず探してみるのもひとつの手段だとは思います。
実際にテント泊で使用してみた感想
この日も毎度おなじみの古法華キャンプ場に行きまして、体感テストをしてきました。
2021/1/5
最低気温 -3.3℃
室内気温 -2.1℃
ぐらいの環境でした。就寝時の服装は薄手のインナーシャツにインナータイツで、ナンガのダウンパンツにモンベルのプラズマ1000ジャケットにネイチャーハイクのダウンシューズとマフラーを巻いておりました。
使用したシュラフはSOLのエスケープヴィヴィプロに山と道のULPad Lサイズを入れてMountain Raid 100に入り込み、シュラフとヴィヴィのコードはそれぞれ目一杯絞りました。
結論からいいますと使用可能ではありました。しかし残念ながらやはり脚元の寒さは私には少しまだ対策不足で、寒さのために2度ほど目が覚めてしまいました。
本当はカイロを持ってくるつもりだったのですが忘れてしまい、コンビニに買い出しに行くのも面倒でそのまま就寝しました。
しかし、寒かったのはつま先だけで個人的にはこの装備で十分北アルプスの9月下旬までの長期の縦走路に対応可能な性能は実証できたので非常に良かったです。
就寝していて思いましたのが、確かに外からシュラフ越しに冷気を感じるのですが、新製品のPrimaLoft® Gold Insulation with Cross Coreのエアロゲルの効果でなんか冷気がそこまで伝わってはこないなという印象がしました。
正直こんなペラペラな中綿の量で行けるのかなぁって思っておりましたが、想像以上に対応可能でびっくりしました。
ただエスケープヴィヴィを使用せず、Mountain Raid 100単体での場合は個人的には7〜8℃ぐらいが同じ服装で就寝した時の下限温度になるかなと思いました。
まとめ
正直このシュラフは値段と性能を考慮すると国内購入価格ではあまりバランスの良い製品ではありません。
しかし、1泊2日程度のテント泊ならダウンシュラフでも全く問題ありませんが、3泊4日以上のそれこそ北アルプスの長期縦走や、海外のロングトレイルなどを考えるとこの化繊シュラフの性能でここまでコンパクトになり超軽量な製品は相当限られてくるので、本当に必要としている人にとっては唯一無二の製品になってくると思います。
探し方が悪いのか同じコンセプトの製品がないか探してはみましたが、見つける事ができませんでしたのでいかにこの製品が尖った性能を持っているか分かるかとは思います。
ちなみに私のおすすめな使い方の一つとして寒い場合にブースターとして持っていき、メインのシュラフのカバーとして使用し、さらにヴィヴィなどと組み合わせて内部結露対策と使用すれば良いのではないかと思っております。
ぜひ軽量シュラフが欲しいなと思っている人にはおすすめのひとつであることには違いありませんので検討してみてください。