世界最軽量の3シーズンシュラフ ナンガ ミニマリズム180 徹底レビュー
皆さん普段はどの様なシュラフを使用しておりますでしょうか?まず初めにシュラフを購入するなら3シーズン用のモデルからと思いますが、一般的によく購入使用しているモデルはおおよそ重量が軽量な製品でも500g〜600gが一般的だと思います。
今回紹介しますナンガのミニマリズム180はそんな軽量とされているシュラフよりもおおよそ半分ほどしかないまさに異次元の軽さともいえるこのモデルを徹底的に紹介したいと思います。
購入してきて3年ほどになり私のテント泊登山やキャンプなどで一番使用率の高いモデルになりこの製品のことが熟知できてきましたので、徹底レビューは言い過ぎかもしれませんが私なりにこのミニマリズム180を評価をしていきたいと思います。
●スペック
想定使用温度:0℃
ダウン:ハンガリー産シルバーグース95%(930FP)
生地:表地 7×5dn ナイロンリップ
裏地 10×7dn ナイロンリップ
内部構造:シングルキルト構造
ダウン量:180g
サイズ:レギュラー
(最大長210cm×最大肩幅80cm「身長180cmまで」)
収納サイズ:φ13×20cm
総重量:約325g
※公式ホームページより参照
※表地 7×5dn ナイロンリップで異なる太さの糸を縦と横にそれぞれ使用し驚異的な薄さを実現しています。
※裏地 10×7dn ナイロンリップで縦に部屋が分かれてダウンが封入されています。
まずこの製品を実測した数値が
重量:本体317g+収納袋14g 計331g
収納サイズ:φ13×25cmでした。
国内メーカーのシュラフでこのクラスの重量はイスカのエア130Xぐらいしか思い浮かばないですね。
収納袋は14gで少し大きめでゆとりがあります。脚元から入れると簡単に入ります。
まずはこのミニマリズム180のメリットとデメリットを紹介します。
●メリット
・想定使用温度に対しての重量が驚異的に軽い
・シェルの生地が極薄なので収納しやすい
・あまりに軽くて小さくなるので持っているの感じなくなる
※ナンガの羽毛は非常にクオリティが高く徹底した管理で洗浄もしているので臭いは全くなく他のシュラフではありえない930FPのダウンを封入しているのでものすごくふかふかになります。とても気持ちいいです^o^
●デメリット
・ファスナーがかなり短く中に入るのに苦労する
・生地が極薄なので扱いに注意
・撥水加工をダウンにも生地にも施していないので濡れに弱い
・購入金額が高い 49,000円+TAX 💦
ファスナーが短すぎます(>人<;)
ここからは私が実際に使用してみて感じたことを伝えて行きたいと思います。
●寝袋の入り方
このシュラフは超軽量を目指して作られているので幾多の部分で通常のシュラフに比べて特殊な構造になっています。まずファスナーですが実測で22cmと圧倒的に短く小さい物が使われています。そしてフード部分も小さくなっているので入る入口がなんと計測してみると100cmしかありませんでした。
興味があり購入してみたいが入れるかどうか不安な方は実際に100cmほどの輪っかを紐か何かで作り、それに入ってみると想像できると思います。おそらく想像以上に小さいと感じるでしょう。これをダウンジャケットなどを着てさらにせまいテントの中で入るのは相当苦労すると思います。
●入り方の手順
1、入口を広げて
2、脚を奥まで入れて
3、肘を使って腰を浮かせたりしておしりの辺りまで入る
4、片側の肩を入れる入れるときは肘からやると入りやすいです。
5、もう片方の肩を入れる
6、フードをかぶってファスナーをしめる
となりますがこれを狭いソロテントの中とくにストックシェルターやロフォーテンのようなとても小さいテントなどの中でするのは想像以上に厳しいです。私は結構細身なので比較的入りやすいですが、おそらく体重70kg以上の人はきついのではと思います。そもそもこのシュラフのコンセプトがULハイクやトレイルラン用の物になってくるので使い勝手や快適性は求めない方がいいと思います。
●フードにドローコードやショルダーウォーマーがついていないが、あいている部分が結構小さいので使用温度域では十分に対応可能でした。小さめの顔なのですが特に顔周りから冷気が入ってきたり中の暖気が出る印象はありませんでした。
●かなりタイトな作りですのでダウンが体に密着してコールドスポットができにくくてすみます。※シングルキルト構造なので縫い目の部分にはダウンがなく少しだけ寒さを感じやすいです。
●ナンガのダウンシュラフは永久保証対象です。この製品は特に生地が薄くファスナーが小さくて噛みやすいので破れやすい可能性がありますが、保証があることによって安心して使うことが出来ます。
●ファスナーが短くて実測値で約22cmとちょっとでも入りやすくするためにダブルファスナーになって入り口を大きく出来るようになっていますが、それが簡単に外れやすくてまた嵌めにくいので真っ暗な中だとライトをつけないととてもわかりづらいのでかなりストレスがたまります。ただファスナーがセンタージップで短いからその部分から冷気の侵入がないのはいいことだと思います。
※この部分が簡単に外れてしまいます。
●脚元が相当細くなっているので、モンベルなどのストレッチ性のあるシュラフに慣れている人は不満が出るかと思います。私の場合は諦めて脚を揃えたまま動かしたりしてますがそこまで不満はありません。
●最初使用していた時は割と羽抜けがありましたが最近はあまりしなくはなってきました。生地も薄いので反対側から引っ張って簡単に中に戻すことは出来ます。
930FPもの超高品質な羽毛なので"あぁダウンがぁ〜"って気持ちになるので発見したらすぐにシュラフの中に戻すようにしてます。
●撥水加工のないダウンで、またシェルも撥水しないのでやっぱり濡れない様に気を使う必要はあると思います。
なので私の場合は就寝時に特にノルディスクのロフォーテンみたいな脚先が狭くなっているテントは結露が激しいと濡れることもあったので、その対策としてジッパーを締めた状態のレインウェアに脚先を入れ込んだり、またはハイパーライトマウンテンギアのスタッフパックの中に足の部分をいれたりして脚元の濡れ防止や、冷気から守ったりするようにしております。
●想定使用温度が0℃なのですが、脚先の冷えをとても感じやすい私にはテントシューズやカイロ・ナルゲンの湯たんぽなどでの対策が必要になってきます。
ただ上半身は脚元に比べると寒さを感じたことは滅多にありません。大体寒いなと思うときは下半身から感じてきております。体感的には+5℃ぐらいまではテントシューズだけでカイロとかは必要なかったです。
そこで疑問に思ってメーカーに直接問い合わせてみたのですが
『ミニマリズム180につきましては、使用温度の目安として0℃とさせて頂いております。環境、経験、体力、体格により非常に大きな個人差はございますが、使用温度-5℃~8℃前後をご参考としてお考え頂ければ幸いです。』
と回答がありました。これを受けて確かにそれぐらいが使用範囲であると深く納得出来ました。
●なんとこのシュラフは時間としては4〜5分は私だとかかってしまいますが、モンベルの1ℓのULスタックサックに入れることができるのです。少しゆったりめのスタッフサックに入れてφ15×30cmぐらいのものが
圧縮するとφ10×20cmぐらいまで小さくすることができます。ダウンにあまりよくはないので山行に行く時にぐらいしかしませんが想像以上に小さくなります。
●ただ今現在は簡単にしまう事を重視してオルトリーブの防水スタッフサックに入れる様にしています。
naka350z.hatenablog.com
●実際に使用して良かった点
1、超軽量なのに暖かい このシュラフ単体で317gと一般的な夏用といわれている部類の製品と比べても遜色ないほどの重量なのに、物によってはこのミニマリズムの方が軽いってことは多々ありますが、使用可能温度が同じ重量のシュラフと比べて10℃以上も違ってきます。
はっきりいってこれぐらいの違いになってくるとライバルはほぼ不在で暖かくて軽いシュラフが欲しいってなると個人的にはこれ以外の選択肢はほぼないとは思っております。迷う必要性すらなく、むしろ同じミニマリズムの"180"or"250"にするかっていう悩みぐらいだとは思います。
2、収納性能が違いすぎる 普通は0℃対応のシュラフってどう頑張っても上記の3ℓクラスのスタッフサックに入れるのは困難なレベルなのですよね。だいたいはコンプレッションサックなどを使用してなんとか体積を減らすか、ザックにそのまま入れて他の荷物の重みで押し潰してしまうってことが多いかと思います。
まぁその方法は防水対策の観点から私は非推奨で他人には勧めないです。シュラフは絶対に濡らしてはいけない物ですのでそれをザックの中にそのまま押し込めてって雨が振り込まなくても水や飲み物が溢れたりとリスクはあるので私は絶対にやりません。
でもこのナンガのミニマリズムだとこの上記のものが1ℓと2ℓのスタッフサックに収納可能でさらにオルトリーブの3ℓほどの防水スタッフサックにパッキングが可能でめちゃくちゃにコンパクトに持ち運びが可能となります。
もちろんパッキング技術が必要で最初からできるとは限りませんが、自宅にて何度か練習すれば無理な組み合わせではないとは思います。ただダウン製品をこんなに圧縮すると羽毛に負荷がかかってダウンの復原力が弱まってせっかくの超高品質な930FPが台無しになってしまうって思う方もいるかもしれません。
ただ今のところ一番使用頻度の多いこのシュラフですが、購入当初よりは僅かに復原力は低下しているかもしれませんが、乾燥機で乾かしてあげるとまだふっかふかになりますし、テント泊でいった際もテント場に着いてから早めに出してあげると結構ふかふかに戻ってくれますし、夜間の就寝時にも保温力が低下したとはまだ感じておりません。
●実際に使用していまいちな点
1、シュラフに入りにくい やはりロフォーテンみたいな超コンパクトなテントの中で入るにはこのミニマリズムは非常に入りづらいのですよね💦
私はもうこの組み合わせには慣れてしまったのでやはり少し入りにくいなって思う程度ですが、普通の人だとあり得ないって思ってしまうかもしれません。
でも逆にいうと無駄な空間が極限にまで少ないのでこんな超軽量なテントとシュラフででも低めの気温まで対応可能な気温は幅広くなってきます。
これはその人の価値観の問題なので難しいですが、多少重くても室内で過ごせれる広さが欲しいとか、シュラフの中に入った時の快適性が欲しいって思っている人にはこの組み合わせはいくら軽いっていっても受け入れられるものではないでしょう。
もちろん私も快適か快適じゃないかと聞かれたら過ごしにくいとは返答します。ただし、快適性重視の組み合わせにした場合だと下手をするとこのミニマリズム180とロフォーテン1ULWより2kgは重くなってくるとは思います。
それぐらい違ってくると全ての荷物を担ぎ上げて登るテント泊登山では疲れてくるのはみえていますので、私は楽さをとって快適性にはやや目を瞑って超軽量になるように組み合わせております。
でも何度か使用したらなれますので、ダブルウォール式のテントなので全く不快には感じないですね✨
2、濡れ対策が必要 やはりこのミニマリズムは5〜10デニールの超極薄の生地を使用しており、そのような素材に防水加工などを施すのは無理があるので結露対策などは必須になってくると思います。
一度寒い時にSOLのプロヴィヴィを使用して就寝したときは自分の呼気が上手く外に出なかった影響もあるのかヴィヴィとミニマリズムの間に盛大に内部結露が発生してシュラフがびちゃびちゃに濡れてしまい逆に寒さで凍えてしまった経験があります。
ヴィヴィが悪いとは限りませんが、少なくともこのシュラフとの相性は極めて低いと思い今後ミニマリズムではヴィヴィを使用することはないでしょう。
また狭いテント内、上の写真のようなロフォーテンやストックシェルター、ツェルトやフロアレスシェルターなどを使用する場合はシュラフが濡れないように注意が必要でしょう。
3、温度調整がしにくい 残念ながら一般的なシュラフと比べるとただ入るだけしか考えられていませんので正直これを使用しての夏季シーズンは暑いことが多いでしょう。
だいたい薄着で入っても15℃ぐらいまでは何も感じませんが、20℃ぐらいになってくるとあつくて調整が難しいなと感じます。
掛け布団みたいには幅が小さすぎて無理ですし、ジッパーを全開にして少し上半身を出したとしても暑いなと難しいことはありました。
なので最盛夏には難しい場面は多くなると思っておいた方が良いでしょう。
4、高い いうまででもありませんがやはり高いです。
似たような対応温度のシュラフは30,000〜40,000円ぐらいですが、これは53,900円と頭ひとつ抜けて高価です。
しかし、本当に素晴らしい性能を持った唯一無二の製品なので一度入手してしまえばそうそう買い換えることはないと思います。実際私はこれから買い換えようとか思うことは全く考えておりません。
●まとめ
このシュラフは購入費用が一般的なシュラフに比べてかなり高いですが、使用できる体型が適応する人にとっては超軽量で重量に対して驚異的に暖かく唯一無二の製品であり、さらにメーカーの永久保証まであります。
テント泊だけでなく昨今の社会情勢では小屋泊であってもシュラフの持参を強いる場所もあるのでこの下手なダウンジャケットよりも軽量で小さくなるこの製品は絶対おすすめできると思います。
かなりマニアックな製品ですので使用者も少なくまた情報があまりないですが、私はぜひ使用して頂きたいシュラフだと思っております。