冬キャンプの使用にもおすすめなシュラフ マウンテンハードウェア ファントムアルパイン-9℃の徹底レビュー
冬用のシュラフを選択する時はどのメーカーの製品を検討しますでしょうか?日本国内で快適使用温度がマイナス対応の製品を購入しようとしますと御三家である『モンベル』・『ナンガ』・『イスカ』がまず真っ先に候補として上がり実際に購入する方が多いとは思います。
以前にも紹介しましたシュラフ、ナンガ オーロラ600DXも手に入れやすい価格でおすすめの製品です。
そして今回は冬季用のシュラフでマイナーな部類であろうマウンテンハードウェアのファントムアルパイン-9℃をレビューして行きたいと思います。
公式サイトの情報
まずはこの製品の公式の情報と思ったのですが、日本サイトでは今現在アルパインモデルのページはなく赤色のファントムしかありませんでした。
性能的にはほぼ同じぐらいなので一応こちらも参考にしてみてください。
willgeの情報
次に実際に私が購入したのはいつも海外通販で購入する際にお世話になっておりますイギリスの通販サイトwillgeの情報を載せておきます。
Mountain Hardwear - Phantom Alpine 15F/-9C Reg シュラフ
◌ 最も寒い高山用のバッグである Phantom Alpine 15F/-9C Reg シュラフは、快適で邪魔されない睡眠のための究極の保護を提供します。
あまり詳しく情報が載っておりませんでした。
私が購入したのは2021年2月14日でその時の金額が39,000円と少し安くなっておりました。本当はこのダブルジップのアルパインモデルより、赤色の方がカッコ良さそうで、当時の金額では35,800円ともう少しだけ安かったのですが、購入できるタイミングでは完売で入手できませんでしたのでこの黄色のシュラフを購入してみることにしました。
製品の実測情報
購入して最初に届いた時はこんなデカい状態で少しびっくりしてしまいました😅
袋から出してみると保管用のストリージバッグに入っておりシュラフの羽毛に負荷がかからないように梱包されており非常に良かったです。
使用しない時もこれに入れて保管ができるのでとても良いですよね。
もちろんこれの中にコンプレッションバッグも付いてきておりました。でもバッグのストラップが3本なのできれいに圧縮できないので基本持ち出す時にはイスカのコンプレッションバッグMサイズを使用しております。
まずはシュラフの重量ですが、入れやすそうなサーマレストのスタッフサックに入れて重量を計測してみました。
その結果重さはスタッフサック(33g)の重量を引くと977gでした。
ダウン重量が572gほど封入してあると特別軽量なこともなく他の製品と比べても同じぐらいでしょう。
シュラフの構造 このマウンテンハードウェアのファントムアルパイン-9℃は撥水加工を施したドライダウン850FPを572gほどをボックス構造によって分けられた中に入っております。
上の画像の右端に小さいタグがありますが、このシュラフの生地はパーテックスクァンタムを使用しており、10デニールの極細糸を高密度に織り上げていて、非常に軽く、引裂強度と縫い目強度も優れている繊維になるみたいです。さらにダウン抜けがしにくくなるみたいです。
実際何度か使用してみてとても抜けにくいなと感じております。私の持っております極薄繊維を使用したシュラフはナンガのミニマリズム180(7デニール)とイージスマックスのウルトラ(10デニール)があります。
ミニマリズムは『やや抜けるなぁ〜』、イージスマックスは『いつも抜けるなぁ〜』って感じてましたのでこのファントムアルパインのダウンの抜けにくさは確かに素晴らしいなと感じます✨
シュラフの想定温度域
次にこのシュラフの想定使用な温度帯をみてみましょう。
メーカーのページを見ても特に何も記載がありませんでしたが、シュラフにはきちんと印字がありましたのでそれを紹介します。
快適使用温度 -3℃
使用可能温度 -9℃
限界使用温度 -29℃
となっております。これ一番メジャーなシュラフでありますモンベルのダウンハガー800の#1もシュラフの重量が900gで、おおよそダウン充填量570g、快適使用温度-3℃、使用可能温度-10℃、リスク温度域-30℃とほとんど同じぐらいとなっております。
やはり冬季用のシュラフはダウンの充填量であらかた快適使用温度域が決まってくるのはどのメーカーも同じぐらいだなと感じました。
シュラフの特徴
次にこのシュラフの特徴を見て行きたいと思います。
まずは非常にわかりやすいのがこのとても大きく開く構造になるでしょう。
ダブルジッパー仕様で6割ぐらいの位置まで下がるので中に入るのは今まで経験したことのない入りやすさになります。
これおそらくエアーマットを使用している方だと非常に入りやすくなってとても恩恵が大きそうだなと最初に感じました。
次に冬季用のシュラフで重要になるのが中で暖まった空気が如何に外に逃げ出さずに、また冷たい空気が入って来ないようにするのが大切ですが、その工夫がドラフトチューブとショルダーウォーマーがあると思います。
もちろんこのマウンテンハードウェアのファントムアルパインにも備わっております。少し見えにくいですが、ジッパーの部分にも多めにダウンが入っており隙間ができにくいようにはなっております。
また首元の部分にもショルダーウォーマーが首の後ろ側に多めに入っております。ただ残念に感じたのが片方のみだったので少し顎の部分から空気が逃げやすくなってしまうのではと感じてしまいました。
次にこのシュラフは片側に3個づつ、計6個もジッパーが付いておりまして上記の写真のようにして中間部分を少し開けることでここから腕を出す事が可能となっております。
これって便利ですよね✨厳冬期のテント泊などですとテント内の温度は結構冷え込むのでシュラフから出たくないって場面は多いかと思います。
先日テント泊にてこのファントムアルパインを使用した時も早朝起きた時はテント内の気温はマイナス17℃まで冷え込んでおりました。
やはりシュラフの中はぬくぬく過ぎてこのまま出たくないってなりますので体が起きてくれるまでの時間をこのシュラフの中で過ごせれるのはめちゃくちゃ便利でした✨
ドローコードについて 次にこのシュラフの特徴的な構造のドローコードについて紹介します。
通常冬用のシュラフには首元の空気が抜けにくいようにするために多くのダウンを入れてマフラーみたいに機能(ショルダーウォーマー)するようにして、さらにそこを紐(ドローコード)で絞ってより密着させて暖気を逃さないようにして、もう一つ顔まわりもドローコードを追加で付けて冷たい空気が顔に触れないように工夫しているメーカーが多いと思います。
しかしこのマウンテンハードウェアのファントムシリーズはおでこの上にドローコードがきており、写真の親指の部分にコードロックが入っております。
なのでここを押してコードを絞ったり、緩めたりできるようになっております。
ちなみに最大限絞った状態が上の様になります。大きさ的に握り拳ひとつ分っていう感じになります。
シュラフの中に入ってだと口と鼻が出て目元が少し出るぐらいかなぁ〜という感じにはなります。
これだけだと冬用に使うには無理だろう〜って思うかもしれませんが安心してください✨寒いところに行くのだとマフラーやバラクラバをしていくかもしれませんが、それを装着してシュラフに入って就寝すれば全然大丈夫です✨
最低気温-20℃の気象条件でも爆睡してました😂むしろ今までの二重にドローコードを使用するのが面倒に思えてきます。底冷えの厳冬期の八ヶ岳でも大丈夫です👍過信は禁物ですが私はもう5度ぐらい冷え込んでも大丈夫に感じました。
脚元の冷えについて 次にもうひとつ重要な脚先の冷気の感じ方についてですが、このシュラフは若干ではありますが他の部分に比べればややダウンは入れられているのでは?と思います。
実際に使用した時で最低気温マイナス5度ぐらいの時には普通の靴下を履いてネイチャーハイクのダウンシューズを使用して就寝した時は脚先の冷えは感じませんでした。
また先日の八ヶ岳で使用した時はシュラフの二重使いとモンベルのメリノウール靴下にホッカイロとネイチャーハイクのダウンシューズで就寝したらマイナス20度でも全く冷えを感じることは一切なかったです。
なのでダウンシューズを使用して安眠したければ足先にカイロを貼れば熟睡できるなと感じました。
シュラフの収納
では次に持ち運びに非常に重要になってきます運搬時の大きさについてみてみていと思います。
今回使用しますコンプレッションバッグはイスカのコンプレッションバッグMサイズになります。冬季用の800FPぐらいのダウン封入量600g~800gクラスのシュラフだとこのMサイズがちょうど良いと思います。
まずはこのコンプレッションバッグに脚元から力技でグイグイ入れて行きます。総重量1,000gぐらいだと労せず入るでしょう。
それを綺麗にキャップを被せます。これがスムーズにできなくていつもイラってしてしまいます💦
それを均等にグイグイコンプレッションベルトを引っ張って圧縮して行きます。
私がこのイスカのコンプレッションバッグを愛用しているかですが、これは上下のキャップの部分がきちんとベルトが頂点部分まで通っており限界ギリギリまで力を加えてもコンプレッションバッグが破損することもなく、またベルトが4本もあるので均等に圧縮可能なのでが良い点です。
このシュラフに付属していたコンプレッションバッグは軽量でカッコ良かったのですが、ベルトが3本だったので何度やっても綺麗な形状に圧縮できませんでしたので結果イスカが一番だなと思いこれに落ち着きました。
圧縮後の長さはノルディスクのロフォーテンと同じぐらいの長さです。
これだと前回テント泊にて使用しましたザック、ハイパーライトマウンテンギアのウインドライダー2400の一番そこにジャストサイズで入る大きさになりました。
やはりシュラフはザックの中の一番底の部分に横で収納できるのが一番ですね✨
今はイスカのオーバル形状のコンプレッションバッグが欲しくて近いうちに買ってみたいなと思案中ではあります✨
実際に使用してみた感想
次にこのシュラフをテント泊に2度ほど使用してみました。
使用環境は以下の通りです。
日時 2022年1月20日
場所 長野県八ヶ岳の黒百合ヒュッテのテント場
最低気温 氷点下20度
使用テント ヒルバーグ エナン
使用マット セリアの両面アルミ保温シート
山と道 UL Pad15+ Lサイズ
就寝時の服装
1、夏用のインナー(おたふく手袋) 2、OMM MauntainRaid Jacket 3、ユニクロのスポーツタイツ 4、OMM MauntainRaid Pants 5、モンベルのメリノウールエクスペディションくつ下 6、ネイチャーハイクのダウンシューズ 7、貼るホッカイロを靴下に1枚づつ
日時 2021年12月28日
場所 兵庫県古法華自然公園のキャンプ場
最低気温 氷点下5度
使用マット セリアの両面アルミ保温シート
山と道ミニマリストパッド
フリーライト マイクログラビティー
就寝時の服装
1、モンベル 半袖クールメッシュ 2、OMM CORE Jacket 3、OMM CORE Jacket(DIYでタイツにして使用) 4、普通のユニクロのくつ下 5、ネイチャーハイクのダウンシューズ
以上の環境で就寝しました。結論はどちらも快眠でした。
もう少し具体的に説明していきます。まず古法華キャンプ場にてシュラフを使用した時ですが、この時は比較的薄着でマットも子供が山と道のUL Pad15+を使用したため私は夏用の組み合わせで就寝しました。
これで寝てるとだいたいマイナス3度を下回ったあたりから少し冷気をマットから感じてきてやはりちょっと断熱性能が不足していたなぁ〜とは思いましたが、でもシュラフの中はぬくぬくで寒いっていう感じは一切ありませんでした。
次に厳冬期の八ヶ岳で使用した時は徹夜でずっと運転してきて疲れもあったので少し寒さで目が覚めても嫌だなと思いシュラフの2枚使いで就寝しましたが、イージスマックスのウルトラみたいな暖かさはありませんでしたが、こちらもぬくぬくで11時間以上快眠してました。背中からの冷気は全く感じることもなく問題ありませんでした。
正直なところカイロを足先に使用していて首元にマフラーも巻いて就寝したので暖かい空気は抜けることもなかったでしょうから、このファントムアルパインのみでも最低気温マイナス20度の極寒の中でも十分就寝可能だったと思います。
ただ気になったのは両方ともやはりシュラフの中から自分の寝汗などが少し出ることでシュラフの表面が少し濡れてしまいましたのでやはりそこは致し方ないなと思いました。
次にこのシュラフを使用して良かったところといまいちに感じたところを紹介していきたいと思います。
ファントムアルパインの良かった点
①採用例の少ないダブルジッパー まずは一番の特徴でありますこの両側にありますジッパーによってシュラフの中に入りやすく、また中に入った状態でも腕のみを出してゴソゴソできるのは思った以上に恩恵がありとても良かったです。
実際に使用するまではまぁ少しは使えるかなぁ〜程度にしか思っておりませんでしたが、やはり厳冬期のテント内は凍ついている世界なので寝起きの活動モードになっていない身体には非常に堪えます。
家でも冬の寝起きは布団から全く出られないのと一緒だと思います😂
それがこの腕を出すだけでいわば布団に入った状態で朝ごはんの準備をできるのでこの状態をイメージしていただければありがたみが分かってもらえるかと思います✨
②ドローコードが締めやすい 普通のシュラフは首元や顔周りにドローコードがあると思いますが、ぶっちゃけ2回も締めてって邪魔くさいのですよね💦
でもこのファントムアルパインだと頭の上にあるので最後にジッパーを閉めてからでないと使えませんが、どこにドローコードがあるか一瞬でわかりますので恩恵が大きく感じます。
これでも冷気が逃げ出すようなこともありませんでしたのでその点の心配もないと思います。
③高性能なダウン 850フィルパワーもの高品質ダウンに撥水加工を施してありますのでナンガのUDDシリーズやシートゥーサミットのスパークシリーズと一緒の製品になります。
なのでそこまで神経質になる必要はありませんのでありがたいなと感じさせてくれます。
実際に使用してみてシュラフ表面が濡れても中のダウンは濡れているようなことがなくて安心して使用できておりました。しかし、結露などの濡れには強めですが、例えばツェルトでしかも床が割れているタイプなどですと室内に浸水してきますし、シェルタータイプとかもしかりですね。
やはりそういった室内に水が入ってくる状況ではいくら撥水加工してようがシュラフがびちゃびちゃに濡れてしまうと意味はなくなってしまいますし、化繊と比べて山行中にダウンを乾かすのはほぼ不可能でしょうから過信せずに使用すべきだと思います。
ファントムアルパインのいまいちな点
①ジッパーが気になる 両側についているので便利なのですが、やはり就寝時にはそれが少し仇となり私はちょっと気になります。
一応ジッパーが直接当たらないようにフラップがついていますが、気になってしまいます。
②収納時にジッパーが気になる 上手にコンプレッションバッグに入れられるとよいでしょうが、やはりダブルジップなので必ず毎回収納袋の外側にジッパーがきて少し邪魔に感じてしまいます。
もちろん圧縮してしまえば問題ないでしょうが、個人的にはやや気になります。
③定価は高額である 572gもの撥水加工の850FPのダウンを使用したシュラフですので販売価格は普通に購入するにはとても高額で、国内では72,600円とかなり高い金額です💦
正直セールで半額近くになっていたので興味があって購入しましたが、この温度帯のシュラフはモンベルのダウンハガー#1とかがやや高いですが、入手しやすく少し軽量なので冬季に使用するならそちらの方が無難かもしれません。
でもこの両側から手を出すことができるのは便利なのでこの機能を使用してみたいなと思った方にはとてもおすすめできますが✨
まとめ
マウンテンハードウェアのシュラフなんて日本国内だと流通している量は非常に少なく使用者のレビューを検索してみても化繊シュラフのラミナが何件か該当がありましたが、ダウンシュラフのレビューは見当たらなかったので今回私が書いた記事が少しでも参考になれば嬉しい限りです。
このファントムアルパイン-9℃は850フィルパワーの撥水ダウンを使用して、ダブルジッパー採用で変わった位置にドローコードがありますので非常に珍しいタイプの製品だと思います。
ちょうど1年前に購入したのですが、やはり厳冬期のシーズンで厳しい冷え込みの時期に使用してみないとその製品の使い心地が正確に把握できませんので今回ようやくレビューすることができました。
他にはないカッコいいデザインのシュラフなので人とは違うものを使ってみたいと思っている方はこのレビューを参考にしてみて入手してみてはいかがでしょうか✨