快適な超軽量シェルター モンベルのULボックスツェルトの徹底レビュー
テント泊での登山などに行く際に一番重く大きな荷物になってしまう物の主犯がテントであると思います。その最も嵩張るテントですが、一昔前ですとツェルトという選択肢ぐらいしかありましたが、如何せん設営には慣れが必要で、居住空間が狭く、結露しやすく、強い雨が降ると浸水もしてくると中々に使いづらい製品でした。
近年は本当に多種多様な製品が発売されており初心者が最初に軽量なテントを購入しようとするとかなり迷ってしまうかとは思いますが、それだけ選択肢が多くなってきているのは嬉しいことだと思います。
しかし、いくら最近のテントは軽くなったとはいえさらに軽さにこだわりたいとなるといまだにツェルトは有力候補として最後まで残ってくるでしょう。やはり行く山域によっては一日の行動時間がかなり長くなる、もしくは急勾配な登攀ルートである、危険な岩稜帯を通るルートであるなど、時には快適性のあるテントより収納時の大きさと軽量さを重視した方が良い時もあります。
そんな超軽量なタイプであるツェルトの中でも快適性を追求した製品で、昨年モンベルより発売されましたU.L.ボックスツェルトを購入して何度か使用してみましたので、私なりにこのツェルトを徹底的にレビューしていきたいと思います。
ULボックスツェルトの特徴
1、居住性を追求したボックス構造を採用
本来ツェルトとは緊急ビバーク用の製品で非常に居住性が悪いが、この製品は居住性を追求した独自の構造により中にいても快適に過ごせる様になっている。
2、330gと小型で超軽量
1Lほどのサイズのスタッフサックに収納可能な大きさで公式情報で330gと非常に軽量になっている。
3、フルシーム処理により雨天にも対応可能
生地の繋ぎ目にはシームテープ処理がされており雨天時でもそこから雨漏りがしにくくなっている。
4、入手しやすい価格帯
23,980円とツェルトにすればやや金額はしますが、テントを購入するよりは初期投資金額はまだ低い。
公式サイトの情報
座った際に頭まわりの高さに余裕を持たせ、足元を低くした独自の形状により、居住性と軽量性を両立。充分な奥行きを持ち、緊急時には2人まで就寝ができるツェルトです。生地には防水加工を施した超軽量素材、入口にはファスナーフラップを使用。全ての縫い目にシームテープ処理を施すことで、優れた防水性を実現しています。酸欠を防ぐため、ベンチレーションは完全には閉まらないように設計しています。別売の「ツェルト ポールセット」やお持ちの「トレッキングポール」を使用して設営します。スタッフバッグ付き。
※ 本製品は非常時の備えとして使用するため、通常のテントと異なり完全な防水性はありません。
仕様
【素材】10デニール・バリスティック エアライト®ナイロン・リップストップ[耐水圧1,000mmウレタン・コーティング、難燃加工]
【重量】320g(330g) ※【重量】の( )内はスタッフバッグを含む総重量です。
【カラー】イエロー(CYL)
【収納サイズ】∅10.5×16cm
【収容人数】2人
【構成】本体1、サブポール1、スタッフバッグ1、サブポール用張り綱1
モンベル | オンラインショップ | U.L.ボックスツェルト
製品の実測情報
まずは私が購入しましたこのULボックスツェルトを紹介したいと思います。
購入した時のセット内容(本体1、サブポール1、スタッフバッグ1、サブポール用張り綱1)の重量がおよそ357gとなり非常に軽量であります。
以下が詳細な重量とセットで組み合わせた場合の情報で、比較対象としまして以前レビューしましたステラリッジテント1の重量の比較も併せてご覧下さい。
|
ボックスツェルト |
|
ステラリッジ1 |
本体 |
329g |
フライシート |
328g |
サブポール |
20g |
インナーテント |
448g |
スタッフサック |
8g |
ポール |
360g |
ペグ×9本 |
146g |
ペグ×12本 |
128g |
フットプリント |
100g |
ガイライン 4本 |
36g |
ガイライン 2本 |
30g |
補修スリーブ |
11g |
ストック 2本 |
303g |
収納袋×3個 |
34g |
合計 |
935g |
合計 |
1,345g |
比較としましてステラリッジ1型を載せましたが、ツェルトは登山に行かれる人の多くがトレッキングポール(以下ストックと呼んでいきます)を持っていく場合がありますので、それを有効活用するためにどうせならそのストックをテントの設営などに利用していこうというのが目的でもあります。
一応最初に参考までにこのツェルトの設営に必要な装備を揃えて上の写真にあるものの重量になります。
購入したツェルト本体の他に必要なもので私が持っているモノや買い足したモノです。
ペグがチタンペグと打刀ペグ16cm×8本、フットプリントがダイソーで購入したブルーシートを不必要な部分をカットし、ガイライン2mmの太さのものを4mにカットし2セット分、ストックが以前から持っておりましたモンベルのULフォールディングポール120cmを2本になります。
ペグも人により使うものは違いますし、フットプリントは使わないという方もおられますのでさらに軽量化は可能になるでしょう。またストックは行動中には使用する方だと重さに含まないので参考程度に記載しております。
さてここでまず見ておきたいのが軽量登山用テントの超王道のステラリッジテント1との重量差です。この比較では410g、純正のフットプリントが160gでそれも含めての重量差は570gほどになります。
この差を大きいと見るかそうでもないと見るか人によって思うところは様々ですが、これから詳しくこのULボックスツェルトを解説していきますのでそれを参考にこの製品を使うに値するかみてもらいたいと思います。
設営方法
それではこのULボックスツェルトの設営方法を見ていきましょう。左からツェルト本体(セット内容は下記に記載)、他にフットプリント、ペグ×9本、ガイライン(400cm)×2本、ストック×2本を別途準備します。
製品のセット内容は左から、スタッフサック、エンドポール、ツェルト本体となっております。エンドポール設置に使用します、エンドポール用のガイラインと自在は最初から取り付けされております。
1、フットプリントを敷く まず汚れ防止のため私はどのテントでもフットプリントを必ず使用しますので、このボックスツェルトももちろん使用していきます。
純正品はありませんでしたのでダイソーで購入してきました正方形1.8m角のブルーシートを対角線に使い余分な部分は切り落としました。安価で軽量なのでかなり重宝しております✨
2、ツェルト本体を広げます 次にフットプリントの上にツェルトを広げていきます。
3、底面の4方をペグダウン ボックスツェルトの底面の4角にあるループをペグダウンしていきます。
このループ短くてしっかりと本体を地面に固定できて良いのですが、形状がペグをサッと差し込みにくく雨風が強いと煩わしくなるでしょう。
4角を固定した状態です。安定した状態に見えてこの後立ち上げて行ってもしっかりしてくれそうに感じさせてくれますね✨
地面の状況によりますが、足元側を風上にして設営した方が良いなとは感じました。
4、エンドポールの取り付け エンドポールを上側から差し込みます。
次に下側に差し込みガイラインをペグダウンしていきます。
適当に伸ばしたところで地面に差し込み固定します。
ここでは仮で本締めの工程はあとで。
5、サイドの立ち上げ 登山中に使用していたストックを準備します。このULフォールディングポールは120cmのタイプで、ボックスツェルトの取り扱い説明で見た推奨していたポールより長かったですが室内で試し張りした際には可能でしたのでそのまま使うことにしました。
このULボックスツェルトでは推奨のストック長は105cm〜115cmとなっているみたいです。
次にガイラインの準備です。白色で判別しにくいですが、前方と真横に直角で両サイドに用意します。
ストックを逆さ向きにして本体上部にありますループにセットします。
ちなみにこの真ん中にある金属製の輪っかはオプションで販売されておりますツェルトポールセット用に使用するためのものです。ストックの石突き部分の先端をギリギリ入れることも可能かもしれませんが、小さすぎてすぐに取れてしまうでしょう。
次にガイライン(長さ4m)の真ん中あたりに輪っかを作りそこにストックの先端に掛けます。
そのガイラインを前方とサイドにバランスを維持しながら張っていきます。
この時何度かストックがバランスを崩して倒れることがありましたので、事前に設営の練習をしてテント泊登山の際には素早く設営できる様に慣れていた方が賢明でしょう。
夏のアルプスでテント泊するとかなりの高確率で雷雨や強風に遭遇するでしょうから素早さは必須かと思います😅
ちなみにこのボックスツェルトを設営時に説明書にはありませんでしたが、私は写真の様にここの部分をストックに括り付けてなるべく本体と隙間ができない様にひと工夫してみました。
こうすることで風が強く吹いても若干ではありますが、耐風性が向上するのではと思いました。
参考までに括り付けていないとこの様に本体が揺れやすくなってしまうでしょう。
どちらが良いかは使用者の判断でお願いします🤲
両側ともガイラインを張り、バランスを慎重に見ながら自在を締めて調整していきます。
設営完了
ULボックスツェルトの設営が完了です✨
というわけでいつもの如く周囲360°から撮影してみました✨
個人的に気に入ったのがこの斜め後ろから見た張り姿です✨
ペグダウンがしっかりできれば足元側から強風が吹いても相当風は受け流してくれそうに感じました。最大で20m/sぐらいなら対応可能そうには感じます。
まぁ所詮ツェルトなので稜線のテン場ではあまり使用したくはありませんが・・・
細部の構造について
では次にこのボックスツェルトの作りを色々と見ていきたいと思います。
まず入り口はセンタージップで雨の降り込みにくいようにフラップとマジックテープも付いております。また細かい事ですが、下側もツェルトの底の部分までフラップが降りており締め切れば雨が吹き込みにくく処理されております✨
ステラリッジテントほどではありませんが、YKKの大きめなジッパーが採用されていて開け閉めは非常に快適です。
ただ初期のままだとジッパーに何もついておりませんでしたので上記みたいに使いやすいようにコードを取り付けました。
やはりこれがあるだけで開け閉めは格段に楽になりますのでコードの取り付けはおすすめです✨
次に入り口の両側にはきちんとトグルがありフラップをまとめることが可能です。
たまに軽量化でここもない製品もあったりしますのでありがたい装備です。
次に室内の広さを見てみましょう。
外から覗くと意外に広く見えてとても快適そうに感じますね✨
足元側もエンドポールのおかげで十分なクリアランスが確保されております。
実測の室内の長さをそれぞれ見ていきましょう。
まず足元側の幅は80cmです。
エンドポールのある場所の一番高い部分で30cmでした。
次に入り口側の高さですがこれは98cmほどでした。
横幅は105cmです。
これだけ見ると結構広くてツェルトも快適に使えそうじゃないかと錯覚しそうですが・・・
全体を撮影したときにこのボックスツェルトの形を見てお分かりでしょが、奥に行くほどこの幕は狭くなっていきます。
で実際に有効な範囲はどの程度かが重要ですが、入り口からおよそ60cmほど入った部分の高さを計測してみました。その結果がおよそ82cmでした。
なんだわりと高さはあるなと思いますでしょうが、使用していると必ず結露はできてきますのでそれに触れないようにって思うと相当狭くなってくるでしょう。
入り口側に向かって座り室内で調理をしたりするとおそらく相当狭い💦って感じることになるとは思います。
次に室内長ですがこれは195cmと結構短めな数値でした。
私は身長165cmですが就寝時には足元がエンドポールに着くかつかないかギリギリに位置にしても頭上には5cmほどの余白が辛うじてできるぐらいなので、175cm以上の人には相当狭い思いをするでしょう。
また細かいことなのですがこのボックスツェルトは入り口側が10cmほどこの様に立ち上げておりバスタブ構造にしており雨水が流れて来ても多少は内部に入り込みにくくはしております。本当多少ですが・・・
また入り口側のフラップが長めにしてあるのも合わさっておそらく風速10m/sぐらいで多少の雨なら吹き込まないのではと思います。想像ですがね💦
それとツェルトやシェルターの類いにはメッシュの入り口は設定していないことが多いですが、これはピタッと隙間がなくなるので虫さんが『こんにちは🤗』ってあまりお宅訪問しにくくはなっているのかなと思います。
しかしこの黄色い色合いは目立ちますが、白や黄色はほんと虫が寄って来やすいカラーリングなのでそこは困りますね😰 真夏の平地の藪の近くでは絶対に私は使いたくないです💦
頑張って奥の方に入って入り口側の写真を撮って見ました。
基本狭いですが、入り口のパネルの形状はほぼ正方形で高さもあるので入り口に面して過ごしていると一応は十分余裕のある居住空間は確保できるかとは思います。
このセンタージップですがここはコストカットせずにきちんとダブルジッパーになっておりますので、外の様子を見るにはとても重宝します。
後、ランタンを吊り下げるような物がないのですが、軽量なものだとかろうじてここに取り付ける事は可能かもしれません。
●換気口について このボックスツェルトには窒息しないように常時換気用の窓が左右に設置してあります。中から見ると申し訳程度しか見えませんね。
外から見ると普通の大きさには見えます。ここにはコードもあり荒天時には絞って雨が吹き込まないようにできます。
ただそのままだとすぐに緩んでしまうので私はコードロックを付けて緩まないようにひと工夫しました。
また本当のビバーク時にはここの穴を利用して中を紐を通し、木に吊るしての設営もできるようになっております。まぁどうせストックを持っているのでそれを利用して設営した方が良いとは思いますが。
最後にですが、このボックスツェルトはこの様に足元側に向かって切れ落ちておりますので、風にも強く、雨が降ってもすぐに流れ落ちてくれそうな形状に感じます。
なのでそこそこの雨が降っても染み込みにくいのではと感じさせてくれます。
実際に使用した感想
それでは色々紹介してきましたが、設営しただけではそのテント、シェルターの使い心地はわかりませんので実際にテント泊に行って見ました。
この日試しに行ってみましたのは先月も行きました段ヶ峰のすぐ近くのフトウガ峰(標高1,082m)の稜線上の幕営できそうな場所でビバークして来ました。
この日は(3/22)は朝から雨が降っており午前10時すぎには止んだのでそれを見てから電車にて出かけました。ですが生野駅を降りて山肌を見るとちょっと白くなっておりびっくりしました😅
折りたたみ自転車を持っていき押して歩いて登ったのですが、上の山肌がさらに白くなっており想定外でした。
途中林道脇に雪解け水が流れておりましたのでここで追加の水を補給していきました。
というわけでここからさっさと上まで登山開始です。
正式なルートではなく破線ルートで初めてのルートなので何度か迷いながら登っていきます。
途中杉林を抜けると一気に雪景色に変わってしまいました😅
どうやら午前中に10cm以上積もった感じです。
青い空が広がり残雪の綺麗な景色を拝めて最高です😊
でも残雪の想定をしてなくて明らかに持参したシュラフとマットのスペックが足りなさそうで参ってしまいました😅 まぁ凍える夜になるかもですが頑張ってみましょう✨
●設営完了 というわけでまさかの雪中でのテント設営です。ここ地面が緩くて持って来ました打刀ペグ16cmではすぐに抜けてしまうため大きな石を使いたかったのですが、この雪で石がどこにあるかわからず、また気温も-1℃で風速8m/s以上はあった感じで30分ほどかかってしまったかと思います。
テムレスウインター02を持ってくるか悩んだ末持って来ましたが、これ手袋がなかったら撤退でしたね💦 持って来てほんと正解でした✨
ツェルトを設営し中の様子を撮影したものですが、この日は最大で10m/s以上は風が出ていたかとは思います。一見するとそれでも室内は広そうに見えますが実際は両サイドのパネルが風で押されて室内スペースはかなり小さくなってしまいました💦
以上のことを踏まえて次にこのボックスツェルトを使用してみて感じたメリットデメリットを紹介したいと思います。
実際に使用して良かった点
1、軽量でコンパクトである まずはツェルトを使用する最大のメリットはこの小型で軽量な点でしょう。正直それだけで完結してしまうぐらいこの一言に集約されてしまうかもしれません。
どんなに軽量なテントでもストックを持っていくなら軽量な1枚幕のツェルトには敵わないです。世界最軽量級のテントであるノルディスクのロフォーテンでもさすがに及ばないですね。
2、設営しやすい 通常の左右両側にストックを利用するタイプのツェルトに比べればまだ設営が容易になる様に工夫されていると思います。
もっともこの日は完了までに30分は時間がかかってしまいましたが、それでもまだそんなに時間は掛からなかったかとは思います。
3、室内が暖かい
換気性能があまり良くはないためその分室内で暖まった空気を維持しやすいと思いました。この使用した時は朝方に最低気温-4.8℃ぐらいまでなりましたが、外と中の気温差はおおよそ3℃以上はあったかと思います。
4、居住空間は確保されている 比較対象はあくまで従来のツェルトですが、それに比べると十分な空間があるのでまだ快適なのではと思います。
1泊使って感じたのは小柄な体型なのもありますが、無風な状況ではツェルト内では快適でずっと引き篭もっておりました。
5、少量の雨なら防げそうである これは実際に雨天時に遭遇したわけではありませんので想像ででしかありませんが、ゲリラ豪雨や一晩中強い雨が降る様な天候でなければおそらく耐水圧的には染み込んできにくそうかなとは思います。
普段よく使用するメーカーのノルディスクやヒルバーグのテントなどはフライシートの素材がシリコンコーティングされたナイロンを使用しておりまして、ナイロンの弱点は水分を含みやすいのですが、このボックスツェルトに使用しておりますのはウレタンコーティングされたポリエステル素材なのでまだ水分は含みにくい様にはやはり感じます。
なので1,000mmの耐水圧ですがほどほどの降水量だと生地越しには染み込みにくいでしょうし、生地の縫い目にはきちんとシームテープも目張りしているのでそこからの浸水はないでしょうし、フロアの形状もバスタブになっているので降った雨が川の様に流れてもある程度は床からも凌げるのではと思います。
実際に使用していまいちな点
1、風の影響で狭くなった その辺の普通のキャンプ場で使用するだけでは快適なのは容易に想像できるのであえてきつい状況になりやすい日に稜線上で設営したので当然ですが、おそらくこの日は常時7〜8m/sぐらいの風が出ていて強い時で12〜13m/s程度だったとは思いますが、上の写真の様にサイドパネルが押されてしまい通常より室内空間がだいぶん狭くなっておりました。
まぁ就寝するだけなら十分な室内空間は確保できておりましたが。
2、結露で不快だった 少しこのツェルト内でアルコールストーブの火器を使用したためその後一気に幕の内側に結露が発生して来ました。
もうこれはツェルトやシングルウォールテントでは当然のことなので普通ですが、やはり結露は何度経験しても不快ですね💦
先ほど説明しました強風の影響で室内空間が狭くなり、結露がいっぱい付いて来たのもありツェルト内で過ごしている時間はレインウェアを着用し、OMMのカムレイカキャップもかぶったままで結露対策をしておりました。
また就寝の時もシュラフの脚先に結露が付きそうでしたのでレインウェアをこの様に被せて対策をしておきました。
ですが、やはりツェルト内部の上部には結露がいっぱいできて来て気温も低めだったので次第に凍っていき、それが強風で揺れるたびに粉雪の様に降り注いできてシュラフから出していた顔に付着してかなり不快な思いになってしまいました😰
まぁこれは想定していたことでしたがやはりもう少し対策を考えた方が良かったでしょうね。アイマスクとマスクを着用して就寝した方が賢明だったかもしれません。
3、設営に手間取ってしまった この日の幕営池は草原状になっていて良いのですが、ふかふか過ぎて全然ペグが効きにくくてこの日持って行った16cmペグでは短くて、しっかり利かすには28cmが必要には感じてしまいました。
まぁそんな馬鹿でかいペグは絶対持っていきたくないので現地で集めた石ころをペグの上に載せて重石にして補強する作戦だったのですが、この雪景色のため石を探し出すのも苦労してしまいました。
また持って行ったフットプリントも紐をつけていなく何度も風でめくれてしまいその度にイラッとし設営に時間がかかってしまう原因になってしまいました。やはり普段非自立式でも設営が簡単なテントの使用が多いので比較的簡単に工夫されているこのボックスツェルトでも私にはちょっと時間が必要でした。
これ暴風雨だとほんと困ってしまうでしょうね。もっと慣れないといけないですよね。例えばアルプスで使用して気温5℃ぐらいで雨と風が強いと手が悴んでもういやぁ〜ってなってしまうでしょうね。
実際に使用した感想
このモンベルのULボックスツェルトを実際に購入して比較的劣悪な環境で使用して感じた総評ですが、このツェルトだけにこだわらなければマイナーなガレージメーカーの製品など他にも色々選択肢があるかと思います。
しかし、日本最大手のアウトドアブランドのモンベルの製品ですので入手性がよく、安価で、補修も可能なためこのボックスツェルトを選ぶメリットはありそうに感じます。結構特殊な製品って販売数が非常に少なくて購入したいときにはSOLDOUTで手に入らないってことが非常に多いのでこのモンベルの販売網は非常に大きいと私は思います。
実際には今まで普通に販売されております通常のツェルトは使用したことがないので安易な事は言えませんが、設営が非常に難しく、底割れ式で浸水してきやすく、室内空間が狭く、結露で不快になる。という点から比べればまだこのボックスツェルトはシングルウォール式のテントに近い使い方ができるのではと思いました。
既存製品と比べての感想
それでは実際にこのモンベルのULボックスツェルトは今までに発売されております他社製品と似たモノと比べてどう違うのか、実際に使用した時の感想と比較してみてみたいと思います。
ちなみに下記製品は結局私の理想とするものから使い勝手が合わずにいずれも売り払ってしまっていてもう手元には残っておりません。それでは3つの製品を紹介したいと思います。
①ヘリテイジ クロスオーバードーム2 まず最初にエントリーしましたのは超軽量自立式シェルター最強の製品であるヘリテイジのクロスオーバードーム2です。
この製品は使用者がとても多く、設営面積が小さくすみ、自立式ドーム型のためアルプスのテント泊に行った時も度々見かけることが多くて非常に人気の製品だと思います。実際の使用したレビューは下記からご覧になってください。でも個人的には軽くてどこでも設営が可能な製品だったのですが、全室がなく室内居住性が不快だったため実際に活用できそうな場面が自転車での輪行旅でアスファルトなどのペグが全く利用できない時しか出番がなくて、今後も使用することがなさそうだったため売却してしまいました。
②ヘリテイジ トレイルシェルター 次にエントリーした製品は同じくヘリテイジのトレイルシェルターです。この製品はトランスジャパンアルプスレースなどのウルトラマラソン系の極限に荷物を軽量化したい方には絶大な支持を集めております、非常に人気の高い製品かと思います。
実際に私が使用したのは2019年に北アルプス縦走で台風が接近して来ている時の薬師峠キャンプ場にて使用しただけですが、超軽量で、異次元の速さの設営速度と、なんとか就寝可能な空間ができる唯一無二な製品かと思います。
ただ実際には雨に非常に弱く、結露が不快で、居住性が最悪だったため、そんな超ストイックな使用をする事がまずなく、またストックを登山に持っていくこともかなり少ないのでこの製品を使用する状況が今後全くないので売却してしまいました。
詳しいレビューは以前これをたかにぃさんに貸し出しした事がありましたのでそちらの記事を見て頂いた方がわかりやすいかと思います。
【ギアレビュー】ヘリテイジ「トレイルシェルター」でキャンプしてみた! | minimalize gears |軽量ソロキャンプのブログ
③モンベル ULボックスツェルト 最後のエントリーが今回紹介しておりますモンベルのボックスツェルトになります。
この比較写真をみただけでこのボックスツェルトを使用した時の過酷さが伝わって来ますね😂
以上の3製品をそれぞれの項目別に比較してみたいと思います。なおヘリテイジの製品は現行モデルは生地のスペックがアップデートされ高性能になっておりますがその分金額も値上がりしております。それも多少加味してみてください。
1、購入金額
ヘリテイジ トレイルシェルター 23,100円 < モンベル ボックスツェルト 23,980円 < ヘリテイジ クロスオーバードーム2 59,400円
まず、トレイルシェルターとボックスツェルトはほぼ似た様な金額で非常に入手しやすい金額になります。そしてクロスオーバードームは倍以上の金額で相当高額で一般的な軽量テントを購入するより高額になるかと思います。
個人的な意見ではクロスオーバードームはこの様な高額な金額を出してまで使用する価値は全くないと思います。使用用途が明確になっていてデメリットも十分体験しており更なる軽量化をしたい上級者向けの製品であって最初に初心者がいきなり重量だけで購入するにはかなりハードルが高いかと思います。
いきなりこれを使用してテントってこんなに不快なのかと幻滅するのはあまりに不便に思います。重量は重くなってしまいますが、ヒルバーグのテントを使用するとその居住快適性の違いにびっくりすることにはなるかとは思います😅
そしてトレイルシェルターとボックスツェルトは一緒ぐらいの金額ですが、トレイルシェルターは日本製だがシームテープ処理はなし、対してボックスツェルトは海外製だがエンドポールが付属していてシームテープ処理がしてあるとの違いはあります。
使用用途が若干違いますが、コスパが良いかなと感じるのはやはりモンベル製品の方かと思います。
2、設営速度
ヘリテイジ トレイルシェルター < ヘリテイジ クロスオーバードーム2 < モンベル ボックスツェルト
次に設営の簡単さとスピードですが、ヘリテイジの製品はどちらも非常に迅速に設営可能な製品ですがペグダウン2箇所と中にストックを差し込んで終わりなだけのトレイルシェルターは圧倒的な速度で数ある製品の中でも1、2を争うほどの簡単さかと思います。クロスオーバードームもスリーブ式ですが設営はめちゃくちゃ速い製品だと思います。
対してボックスツェルトは上記で紹介してきたようにちょっと慣れが必要で私が実戦で使用した時はちょっと気温も低く雪があり、風も少し強かったため30分ぐらいは時間が掛かってしまいました。
そしてフロア面積はそこまで大きくないのですが、ガイラインをしっかり張る必要があるために混雑したアルプスのテント場ではときには苦心してしまうかもしれません。
これはもう好みの問題といいますか自分がどんな環境にて使用したいかでそれぞれのシェルターの選択肢が変わってくるかとは私は思います。
3、居住快適性
ヘリテイジ クロスオーバードーム2 < モンベル ボックスツェルト < ヘリテイジ トレイルシェルター
次にシェルター内での居住空間と過ごしやすさですが、これはやはり専用のポールを使用してのクロスポール式ドーム型には室内空間の広さは勝てないと思います。
もちろんボックスツェルトもツェルトにしては十二分に広いのですがやはりここは2歩も及ばないかとは思います。
そして最後にトレイルシェルターですがもうこれは野宿じゃないから快適でしょ✨ って思う方が賢明かと思います。もう明るいうちに動けるだけ動いて設営してばたんきゅーという感じでただ寝るだけネットカフェみたいに考えていたら良いかとは私は思います。
ちなみにこの写真は試しに大雨の時に設置してみて放置してみた時のものですが、通気口から雨が吹き込みまくって室内が悲惨な状況になっておりました。また居住空間もお分かりのとおりシュラフを何も対策しないと結露や浸水でもうべちゃべちゃになってしまうのは分かっていただけるでしょう。
4、耐候性
モンベル ボックスツェルト < ヘリテイジ クロスオーバードーム2 < ヘリテイジ トレイルシェルター
最後に雨天の時や風が強い時などの荒天時の耐久性を見てみたいと思います。 実際にはボックスツェルトでは暴風雨の時には遭遇しておりませんが、きちんと防水対策がされておりフロアもバスタブ状になっているので居住スペースは狭くなりますが、一番雨風には耐えてくれそうには思います。まぁでもクロスオーバードームもほぼ似たような感じでしょうかね。
どっちにしろ所詮ツェルトなので暴風雨に遭遇すると悲惨な事になりそうですが・・・
そしてトレイルシェルターですが、これはもう天気が悪そうなら下山するか、避難小屋もしくは小屋泊に変更した方が賢明だと思います。
風に対する性能は非常に高く感じますが、如何せん雨に弱すぎるといいますかほぼ無防備なので少しでも強い雨に遭遇すると何かしら室内は濡れると思った方が良いと思います。
それぞれの得意分野について
以上の事をみてみて3製品の得意なシチュエーションを見てみたいと思います。
1、クロスオーバードーム
軽量自立式を生かして、厳冬期のテント泊や街中での野宿、激混みのテントサイトでの設営など絶対に建てれるというのはやはりテント泊に慣れていない人にはメリットが大きいと思います。
2型は広さがあって設営スペースを探すのに困るかもしれませんが、Fのタイプだと最後まで残っている場所でも設営可能なのでそんな場合には重宝するかとは思います。
2、トレイルシェルター
トランスジャパンアルプスレースみたいな究極極限的な使用を考えている方にはまさしくこの製品以外には選択肢はほぼないかとは思います。
しかし、いくら軽かろうがあまりに居住性が低すぎて、私が持っているノルディスクのロフォーテンと比べてもトータル重量で見てもそれほど差がなくなってくるのでそれなら快適性の高いロフォーテンがやはり良いなとなり全く使用する事はなくなってしまいました。
ほんとこのシェルターをいつも使っていますって人は私は尊敬します😅
3、ボックスツェルト
設営にはやはりコツと時間が必要になってきますが、上記の中では一番購入金額と居住性、耐候性のバランスが取れた製品だなと今回使用してみて感じました。
と言ってもやはりダブルウォール式のテントってめちゃ快適性が良いのですよね😇 いくらこのボックスツェルトが居住性があると言ってもそこは超えられない壁だと思いますので十分留意してもらいたいと思います。
まとめ
今回のモンベルのULボックスツェルトの紹介は非常に長くなってしまいましたが、やはり実際に購入して使用してみようかと思いますと居住快適性を向上させた製品だとしてもやはりそれなりに覚悟を持って使用しないと辛い事になりますので、通常のテント泊を何度も経験して更に軽量化に挑戦してみたくなった方にトライしてみてもらっても良いツェルトにはなるかなと今回使用してみて感じました。
通常のツェルトに比べましたらこのボックスツェルトは間違いなく居住快適性と耐候性は高いので少しだけ購入金額は上がってしまいますが選択肢の一つとしてこのレビューを参考にしてもらって考えてみてはいかがでしょうか✨✨✨