ウルトラライトでのテント泊登山のベースウェイトを計測し総額も計算してみた
先日に紅葉の涸沢カールを見に行きました時にテント泊で行きましたが、その時の1泊2日での装備を一度ベースウェイトを全て計測してさらにその総額がいくらぐらいになるのか計算をしてみましたので参考にしてみてください。
●なぜウルトラライトにするのか
それではまずなぜ私が超軽量装備でのいわゆるウルトラライトにしているのかというと、
①体型が細身で力があまりなく重たい物を持てない。
②普段からそんな重い荷物は背負ってない。
③登山を再開する前の中学高校生ぐらいの時の話なのですが、今からおよそ23,24年ほど前ですが当時はウルトラライトって言葉が全くない時代でありその時は毎年1度しかアルプスに行っておりませんでしたので、小屋泊での山行でしか行っておりませんでした。
両親と一家5人で一緒に登っておりましたので共通で装備を持ち、さらに夏休み期間のみで飲み物と行動食とレインウェアと防寒着ぐらいで相当軽かったと思います。
すでに当時から重たい装備で山に登ることはしておりませんでしたし、両親も重装備で疲れてしまう山行は無理と確か言っていた記憶がありました。
その流れで自然とウルトラライトに対するの思考がその当時からあったのだと思います。
以上の理由から私は今現在ウルトラライトに対する価値観があります。批判もあるかもしれませんが競技と違いますので、各々が他人に迷惑をかけずに登山を楽しめればそれで良いのではないかと思います。
●次にウルトラライトに対する良いところと良くないところをみてみたいと思います。
●ウルトラライトのメリット
1、装備が超軽量だと身体に対する負担も少なく疲労がたまりにくい
やはり単純に装備の総重量が15kg以上か,もしくは総重量7〜8kgかと違ってきますと、例え街中の整備された道を歩くだけでも疲れ具合が違ってくると思います。
ましてはその装備で登り下り、でこぼこ道の登山道はては急峻な岩綾地帯の登山道となると一日歩いたあとの疲労感の違いは相当大きくなると思います。
2、怪我をするリスクが少ない
次に疲労が蓄積してくると膝や腰に負担がかかり、腰痛そして膝が痛くなると行動に相当支障が出てきますのでそこでも十分違いますが、さらにいうと80リットルクラスのバッグパックなどを背負って難しいルートとかになるとその背中の荷物の重みでバランスを崩し転倒転落のリスクが相当大きくなるので難関ルートの登攀になるとよりウルトラライトにして荷物をコンパクトにするメリットは計り知れないと思います。
3、景色を堪能する余裕が生まれる
また荷物が軽くしんどくないので周りの景色を堪能する余裕ができ、また時間もゆとりがあるので綺麗な景色を写真に撮って残すことができます。
途中の山小屋での休憩でもそこの名物を堪能できる時間的余裕も生まれてくると思います。
4、行動スピードがあがり広い範囲の山域を行くことができる
そしてコースタイムに対しだいぶん時間的余裕ができるので、例えばですが本来なら12時ぐらいに着く予定でいたが、まだ11時ぐらいなので次の山小屋まで行ってみようとか、15時近くに到着予定だったが、まだ13時過ぎだから次の宿泊ポイントまで行ってみようとかと予定を前倒しで進めることができます。
結果時間的に相当余裕ができて、もし万が一途中でルートを少し外れても時間に相当余裕があるので一旦元に戻るかとか地図で現在位置を時間をかけてしっかり確認して正しいルートに戻る余裕もでき道迷いのリスクもだいぶん減ると思います。
やっぱり遭難の時の最初の一歩は道を少し間違えたことにより時間もそんなにないしあまり詳しく現状を詳しく確認せずに勘で進んでしまったりしてさらにルートを外れ、道迷いでルートを見失ったり、不意に滑落したりとそういったことに繋がるのだと思います。
ですので行動時間に相当余裕が生まれる超軽量装備は私にとっては非常に有用だと考えております。
●ウルトラライトのデメリット
1、必要な装備が少ないのでトラブル時に対処しづらい
まずやはり相当不必要な荷物を削って登山に場合には、本来は必要な装備だったのに持ってこなかったというようなことが起こりアクシデントがあった際に対処出来にくい場合があるかもしれません。
ですのでまずは通常の登山の装備の重さから慣れて行き、徐々に要不要の荷物を自分なりに取捨選択していく経験が必要になってくると思います。
2、超軽量だと耐久性が低い製品が多く破損のリスクがある
基本的にウルトラライトの製品は耐久性はありません。なので長期間の使用には堪えられず破損や故障のリスクは少なからずあると思います。
例えばですが、超軽量のテントのノルディスクのロフォーテンはフライシートが7デニールしかありません。
対して同じ金額ぐらいのテントのヒルバーグのソウロのフライシートはケルロン1200で30デニールの厚みがあります。いくらロフォーテンが良い素材でリップストップナイロンで裂けにくいとしても薄すぎる素材ですので破れてしまうリスクは非常に大きいと思います。
このように超軽量なものは基本扱いは丁寧にしないといけないものばかりです。しかしその製品をきちんとメンテナンスして愛でるっていう楽しみもあると思います。
3、軽量の製品は高額な物が多い
超軽量なものは製作するのに高度な技術が必要であったり、高額なマテリアルが使われていたりと本当に高いです。
例えばですがナンガのミニマリズムのダウンは寝袋で930FPもの羽毛を使用しております。国内メーカーではこのミニマリズムシリーズ以外に使用しておりません。
ひとつ例を出すとモンベルのシュラフ#3では650FPから800FPにランクアップするだけでも23,500円から30,000円と約6,500円+税、と値上がりします。そこにさらに高品質な900FPの製品になると44,000円とほぼ倍の金額になります。
そのように一つ一つが高度な技術によって組み合わさりウルトラライトな製品に仕上がっているので金額はどうしても高くなってしまします。
ただ一度購入するとその製品以上の性能のものは次になかなか出てこないので頻繁に買い換えることないですし、仮にそれ以上の物が出てもその時の最高品質のものはだいぶん満足して永く愛用出来るとは思います。
など以上を色々と上げましたが、良いところ悪いとこがあると思いますのでいきなり全く登山初めてしますって人が経験なくウルトラライトに挑戦するのは私の経験上おすすめしませんが、徐々に経験を積んでウルトラライトに移行して行くのが良いかと思います。
●次に重量の測り方の違いをみて行きたいと思います。
□ベースウェイト
ザック・テント・マット・シュラフ・インシュレーション・クッカー・ストーブなどの食料、水、燃料などの使っていくと消費するものをはぶいた使用しても重量が変わらない物を合計したのがベースウェイトになります。
元々ウルトラライトの発祥のアメリカで広まった計算方法のようで、アメリカのスルーハイカー達は街に降りてきてそれぞれの拠点や街で食料、燃料を補給してまた次の区間に行くので消費して重量が変わってしまうものは計算に入れることはしなくなったようです。
□パックウェイト
次にこの測り方は日本で元々ありました一般的な測り方で上記のベースウェイトに燃料、食料、さらには水と準備完了して今からさぁ登山口から登りましょうか。とザックに全て収納しきった状態の重さになります。場合によってはサコッシュやウェストバッグの中身のものは含んでいない時もあるようです。
だいたいの日本の登山の場合はほとんどの人は長くて1週間ほどの山行が多くいったんアルプスなどの山域に入った場合に燃料や食料は山小屋などでは多数補給はしませんので、最初の準備しきった重さを計測するのが一般的なのだと思います。
私もベースウェイトは軽くしたいですが、結果的にやはり準備が完了したパックウェイトをいかに軽くしたいかに意識がいっています。
例えばですが、快適に幕体の中で過ごしたいのでヒルバーグのテントを持って行きたく、その重量が増えた分を食料や燃料などををいかに軽量なものに代用しようか、あるいはテントをロフォーテンの超軽量なものにしたのでその分食材を豪勢にしようと考えてしまいます。
ただ必要装備をポケットなどに多量に入れてパックウェイトを軽くしたぞっていう裏技的なことは可能ですが、計量した重さは軽くはなりますがそこは常識的な範囲でかと思います。それで軽くなってもいざ登る時にしんどいのは自分自身なので。
□スキンウェイト
これはパックウェイトにさらに当日着ている服や携帯電話や財布など全ての持ち物を含めた状態になります。完璧な測り方かもしれませんがあまり見たり聞いたりした事はないですね。
着ている衣服は多少重くなってもそんなに重さを感じにくいですのでそこまで意識して軽量化しなくても良いとは個人的には思っております。
●それではここから実際の装備の重量と金額をみて行きたいと思います。
□ザック
●ハイパーライトマウンテンギア スタッフパック
重量 128g 、 定価 15,950円 、 購入金額 15,950円
□テント
●ノルディスク ロフォーテン1ULW
重量 537g 、 定価 121,000円 、 購入金額 73,540円
naka350z.hatenablog.com
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●グランドシート
ナノエースV3
重量 115g
●ペグ
細引き(石に巻きつける用に)
重量 29g
□マット
●山と道 ミニマリストパッド
重量 58g 、 定価 3,520円 、 購入金額 3,520円
●エバニュー FPMat 75cm
重量 104g 、 定価 2,860円 、 購入金額 2,860円
本来この製品は100cmですが1枚カットして75cmにしております。
□シュラフ・インシュレーション
●オルトリーブ ウルトラライトウェイト ドライバッグ3L
重量 39g 、 定価 2,530円 、 購入金額 2,530円
●ナンガ ミニマリズム180
重量 326g 、 定価 53,900円 、 購入金額 38,000円
●モンベル プラズマ1000 ジャケット
重量 126g 、 定価 27,900円 、 購入金額 18,000円
●ネイチャーハイク ダウンパンツ
重量 224g 、 定価 5,400円 、 購入金額 5,400円
●ネイチャーハイク ダウンシューズ
重量 68g 、 定価 2,200円 、 購入金額 2,200円
●モンベル ジオライン クールメッシュ S
重量 66g 、 定価 3,080円 、 購入金額 3,080円
●100均 タイツ
重量 49g 、 定価 110円 、 購入金額 110円
●100均 靴下
重量 11g 、 定価 110円 、 購入金額 110円
□ストーブ・クッカー類
●フリーライト ブラストバーナー
●エバニュー チタンマグポッド500
●X-Mesh ミニューク・BICライター
重量 計164g 、 定価 計14,070円 、 購入金額 計11,420円
●燃料
アルコール燃料 重量 132g
おおよそ1泊2日に過不足ない量の100ccにプラスαでいれております。今回のベースウェイトの計算にはいれておりません。
□レインウェア
●モンベル ピークドライシェル
重量 173g 、 定価 26,180円 、 購入金額 26,180円
●モンベル バーサライトパンツ
重量 83g 、 定価 10,450円 、 購入金額 3,630円
※これは現行品ではなくアウトレット店にて購入した旧型の品になります
●スタッフサック
重量 5g
ユニクロの適当にありました物をちょうど良い大きさでしたので使用しております。
以上を計測しました
●ザック 128g
●テント 681g=537g+115g+29g
●マット 162g=58g+104g
●シュラフ 909g=39g+326g+126g+224g+68g+66g+49g+11g
●ストーブ 164g
●レインウェア261g=173g+83g+5g
合計 2,305g
となりました。レインウェアを入れるかどうかあいまいで良くわかりませんでしたが、絶対に必須の装備ですので計算に入れております。
●ザック 定価 15,950円 、 購入金額 15,950円
●テント 定価 121,000円 、 購入金額 73,540円
●マット 定価 6,820円 、 購入金額 6,820円
●シュラフ 定価 95,270円 、 購入金額 69,430円
●ストーブ 定価 14,070円 、 購入金額 11,420円
●レインウェア定価 36,630円 、 購入金額 29,810円
□合計 定価 289,740円 、 購入金額 206,970円
●実際に涸沢に行った時の重量
以上の装備を入れてパッキングしてみました。下記の重さはファーストエイドキッド、予備バッテリーとランタンなどの小物関係、食料と行動食も全て入れてのパックウェイトの重量になります。ちなみに水は入れておりません。今回は秋の紅葉の時期で気温もかなり涼しくそんなに水は多量にいらないかと思い、500mlのペットボトルをおしりのポケットに突っ込んで持ち歩いたら良いかなと想定して行きました。
それで計測したところ3.45kgと相当軽い重量にできたのではないかなと思います。正直この重さでしたらだいぶん楽に行動することができ、のぼり区間でしたらコースタイムの半分ほどの時間で行けることができました。
まぁ私は下りは苦手でのぼりは得意ではあるのですが\(//∇//)\
●まとめ
登山やトレッキングは結局のところいかに安全に行き、無事に家にまで帰ってくるのが重要な事だと思いますが、あまりに安全に意識しすぎてあれもこれもと詰め込み過ぎて装備重量が計20kg以上になり行動速度が遅くなり予定していたより2時間以上遅くなるのは本末転倒かと思ってしまいます。
それに身体にかかる負担は相当大きいのでたとえ怪我をしなかったと言っても普段からそんな大荷物を背負って日常生活や仕事をしている人は少数だと思いますので、登山から帰ってからの筋肉痛や身体の節々に対する負担は相当大きく数日は仕事や日常生活に支障をきたすと思います。
なのでいかに装備を軽量化するというのはどの人にも当てはまる永遠の課題だと思います。終着点はなく日々考え、いかに自分自身にとってより良い選択肢を見つけていくか試行錯誤して行くべきだと思います。